竹野内豊「雪風」艦長役で戦争の記憶と向き合う “助け舟”の意味に胸を打たれて

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『雪風 YUKIKAZE』
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『雪風 YUKIKAZE』
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「当時の人々の精神性に心を打たれた」と真摯な眼差し

映画『雪風 YUKIKAZE』の完成報告イベントが7月9日に開催され、主演・雪風艦長役の竹野内豊と、その部下で先任伍長役の玉木宏、さらにその部下にあたる水雷員役の奥平大兼が3名で登壇。また、同日には完成披露上映会舞台挨拶も行われ、竹野内、玉木、奥平に加え、田中麗奈、藤本隆宏、三浦誠⼰、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央、そして、脚本を担当した長谷川康夫、山田敏久監督が集結した。

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完成報告イベントは、esports 銀座 studioにて開催。キャストより、竹野内豊と玉木宏、そして奥平大兼が登壇した。

・『雪風 YUKIKAZE』完成報告イベント&完成披露上映会舞台挨拶の写真はこちらから!

太平洋戦争中に実在した一隻の駆逐艦「雪風」。激戦を生き抜き、沈むことなく、ほぼ無傷で終戦を迎えた艦の勇姿を描いた本作で、「雪風」艦長・寺澤一利を演じた竹野内は、本作の脚本を読んで「国を守る駆逐艦の長であり、また多くの乗員、彼らに関わる全ての大切な人々の命を守らなければならない艦長の重責を想像することは容易ではなかった」と明かした上で、「撮影を進める中で、乗員を演じたキャストの皆さんの一致団結した姿に、いつのまにか艦長にしていただいた」と語った。

先任伍長・早瀬幸平を演じた玉木は、これまでにも戦争を題材とする映画に複数出演してきたが、「先任伍長は船のことを知り尽くしている人物。現場の人間感を大事に演じた」とこれまでの役柄との違いをコメント。

『雪風 YUKIKAZE』

水雷員・井上壮太を演じた奥平にとっては、本作が初の戦争映画出演となったが、「学生時代に戦争について勉強することはあったが、台本を読んで知らないことだらけだったと気づかされた。本作で描かれる当時の人の生活や思いを、若い人たちに届けたいという思いで取り組んだ」と明かした。

奥平は劇中のナレーションも務めたが、「最初は僕でいいのかな、という思いもあったが、井上として読むことによって、さらに先の未来の人たちに繋いでいくという意識を持つことができた。任せてくださってありがたかった」と語った。

意外なことに本作が初共演だった竹野内と玉木。竹野内は「役柄上、現場で多くのことを語ることはなかったものの、鍛え上げられた体格や響き渡る声で、はじめから先任伍長として存在されていた」と初共演の印象を振り返った。

玉木は「ご一緒する前から物腰の柔らかな、穏やかなイメージがあったが、現場でご一緒して改めて繊細な優しさを持っている方だと感じた」と明かし、「イベントの会場に向かう途中の車でも、エアコンの風がみんなに届くよう、一つひとつ吹出し口を調整してくださっていた」というエピソードで会場を和ませた。

直接の上司と部下として対峙するシーンが多かった玉木と奥平。奥平は印象的なシーンとして艦の点検をしながら初めて2人きりで話すシーンを挙げ、「対人間として話をしている心地よさがあった。言葉にするのが難しいような不思議な絆があった」と早瀬と井上の関係性を振り返った。

そんな奥平に対し玉木は「本作は早瀬が井上を助けるところから始まり、井上の心の変化を感じることができる作品になっていると思う。奥平さんの真っ直ぐな人柄と相まって、井上がとても魅力的な人物として存在していた」と賛辞を贈った。

そんな2⼈を艦長として見守っていた竹野内は「雪風の乗員たちは、たとえ上官相手であっても意見や冗談を言えるような、良い関係性を築いていたのだと思う。それは相手に対する敬意を持ちながら、自分の信念をもっているからこそできることであり、それは現代においても大切なことだと感じた」と語った。

艦長として、⼠官たちとの穏やかな会話から⼀転、戦闘が始まると的確に指示を出す必要があった竹野内は、撮影前に横須賀基地に伺って護衛艦『やまぎり』の見学をしたそうで、「模擬戦闘の模様を拝見する中で知った、戦時中から受け継がれている号令をかけるときのイントネーションを参考にした」と役作りの一部を明かした。

また緊迫した戦闘シーンだけでなく、水雷員同士の和気あいあいとしたシーンもあった撮影現場について、玉木は「戦火の中の厳しい時間もある一方で、若者として過ごす時間は現代の人ともそんなに変わりのないものだと思った。その緩急をお芝居の中で見せられたらと思っていた」と語った一方で、奥平は「水雷員のキャストにサディスファクション・渋谷さんという芸人さんがいらっしゃって、その方がすごい数の一発芸を見せてくれた」という、活気に満ちた船員たちのシーンの裏側を明かした。

ついに完成した映画を見て、奥平は「水雷員みんなで羊羹を食べるシーンに、彼らの人間性が垣間見えた」、玉木は「寺澤艦長との会話の中で『普通がいいな』と言うシーンがあるが、普通の、目の前にある幸せの大切さが伝わるといいなと感じた」と本作で描かれる「普通の幸せ」が印象に残ったと明かした。

竹野内は「何よりも、当時の人々の精神性の高さには心を打たれるものがあった。誰かのために生きた証は、どんなに月日が経っても多くの方に感動を与えられる、と感じることができた映画だった」と語ったうえで、「雪⾵」がなぜ「幸運艦」と呼ばれるようになったのか、その理由については「この映画を見て、日ごろ何気なく使っていた『助け舟』という言葉について考えさせられた。船員の強い精神力によって『雪風』は“幸運艦”となったのではないか」とコメントした。

最後に、これから映画をご覧になる方に向けて、奥平が「特に若い人たちに興味を持ってほしい。自分自身この映画を通して知れて良かったことがたくさんある。それを他の若い世代にも感じてほしい」、玉木は「たった80年前の出来事であること。そのことが戦争を知らない世代にも届いてほしい。そして、今を一生懸命に楽しく生きることが未来につながっていく、と感じてほしい」とメッセージを贈った。

そして竹野内が「今となっては遠い昔のように感じられるが、単なる歴史の1ページとして終わらせてはいけないと思う。どんな資料や体験談から学ぶことがあったとしても、本当に戦争の恐ろしさを知ることはできない。当時を生きた人々の心情を、映画で体感することで、情景としてより深く皆さんの心に残せたらと思い、キャスト・スタッフ一同一丸となって作り上げた。多くの方に広く届くことを祈っています」と締めくくり、完成報告イベントは幕を閉じた。

完成披露上映会舞台挨拶は、TOHOシネマズ日比谷スクリーン12にて開催。完成報告イベントに参加した竹野内、玉木、奥平に加え、田中麗奈、藤本隆宏、三浦誠⼰、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央、そして、脚本を担当した長谷川康夫、山田敏久監督が登壇した。

まず初めに、雪⾵の艦⻑・寺澤⼀利役を演じた⽵野内は「本日が初お披露目ということで楽しんでいっていただけばと思います」、雪⾵の先任伍⻑・早瀬幸兵役を演じた⽟⽊は「本作は今まで見たことがないような戦争を題材にした映画に仕上がっていると思います。楽しんでご覧ください」、雪⾵の⽔雷員・井上壮太役を演じた奥平は「無事に映画が完成して、今日初めて皆さんに見ていただけるということでちょっとでも色んなことを考えてほしいなと思います」と挨拶した。

『雪風 YUKIKAZE』

続いて寺澤の妻・寺澤志津役を演じた⽥中麗奈は「たくさんの方が期待してくださる映画に出演できたこと大変光栄に思います。皆様と一緒の時間を楽しみたいと思います」、雪⾵の砲術⻑・有⾺岩男役の藤本は「今日こうやって披露できることを光栄に思っております。2つのことを大事に演じさせていただきました。戦争を2度と起こさないこと、そして多くの犠牲の上に今の平和な日本があるということ。その思いが皆さんに届けばいいなと思っています」と挨拶。

『雪風 YUKIKAZE』

雪⾵の航海⻑・中川義⼈役の三浦は「この作品が決まった時に身が引き締まる思いで挑みました。この映画をきっかけにこの映画の感想や戦争について身近な方と語り合っていただけたら嬉しいです」、雪⾵の⽔雷⻑・佐々⽊伊織役の⼭内は「一生懸命、精一杯、いつも通り演じさせていただきました。最後まで見ていただけると必ず何かしら生まれてくる作品だと思います」、雪⾵の機関⻑・藤井道郎役の川⼝は「雪風は激戦のなか沈没することなくたくさんの命を救い、終戦まで生き残った奇跡の艦です。今の時代に必ず何か感じていただける作品ですので、ゆっくりとご鑑賞ください」と挨拶

さらに、雪⾵の主計⻑・佐藤捨造役の中林は「この撮影に入る前に、特攻記念博物館に行ってきました。そこで特攻隊員の方が過ごしたと言われるお部屋をみてすごく胸がつまりました。皆さんもぜひ、自分がもしその時代に生きる立場だったら、その人を待つ立場だったら、そんなことを想像しながら見ていただけたらと思います」、⼤和の艦⻑・有賀幸作役の⽥中美央は「あの戦争からまだ80年しか経っていないということをこの映画を見ながらひしひしと噛みしめておりました。今生きていることに感謝するきっかけになっていたらいいなと思います」とそれぞれ挨拶した。

『雪風 YUKIKAZE』

最後に、竹野内は「この映画を見た時に、決して歴史の1ページにしてはならないと感じました。どんな資料や体験談から学ぶことはできたとしても、本当の戦争の恐ろしさは知りえることはできないと思います。ですが、当時を生きた人々の心情を映画で一緒に体感することで、より深く当時の情景が皆さんに深く残せるのではないかと思って、キャスト・スタッフ一丸となって心を込めて作りました。多くの方々に広く伝わることを切に願っております」と会場に呼びかけ舞台挨拶を締めくくった。

『雪風 YUKIKAZE』は2025年8月15日より全国公開。