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「妄想は人間だけができること」押井監督が『アサルトガールズ』を語る | 映画/DVD/海外ドラマ

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(2009年 12月 17日)

「妄想は人間だけができること」押井監督が『アサルトガールズ』を語る

『「妄想は人間だけができること」押井監督が『アサルトガールズ』を語る』
押井守監督

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[ムビコレNEWS]  『アバター』のジェームズ・キャメロン監督や『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟監督など、海外の名だたるクリエイターたちから注目され続ける鬼才・押井守。彼が黒木メイサ主演で撮ったのが、12月19日から公開される『アサルトガールズ』。仮想空間の大砂漠を舞台に、3人の美女ハンターと巨大モンスターの戦いを描いたSFファンタジーだ。

虚構の世界を舞台に、迫力の映像世界を作りあげた押井監督に話を聞いた。

[動画]押井監督、黒木メイサ/『アサルトガールズ』 アフレコ収録&会見

──冒頭の、文明を語ったナレーションが印象的でした。とても哲学的な内容だったのですが、あそこには監督の「文明観」が入っているのでしょうか?

監督:音楽の川井憲次くんには、最後はドリフのコントなのに、冒頭のナレーションは何なんだと言われたんですけど(笑)、実はあそこは、あとからくっつけたものなんです。編集してみたら、ちょっと尺が足りなかったので。過去の作品なんかを引用して作ったのですが、ナレーションの内容は、確かに僕の考えを反映させたものです。
 僕は、ゲームやアニメを扱っているので、世間的に評判が悪いんです(笑)。殺人事件なんかがあると、すぐにゲームが悪いとなるけど、僕はそうは思わない。なぜなら、人間は虚構なしには生きられないから。親や先生や偉い人は、現実だけが大事で、虚構の世界で遊んでいる場合じゃないと言います。そんなことに夢中になっているから、ろくでもない奴が育つんだという話になりがちです。
 でも、人間には妄想する力があり、それがないと、精神的に退廃すると思うんです。妄想は人間だけができることですよね。それを否定するのは間違っている……というより、ファッショですよ。

──黒木メイサさんが演じる主人公は、仮想世界では優秀なプレイヤーですが、現実では、「親がかりで引きこもりのプー」らしいという設定にしたのは、そのためですか?

監督:まあ、そんなもんです。僕もゲーム好きだから、(仮想世界の一種である)ゲームに相当エネルギーを使うわけですよ。仕事以上に一生懸命やるし、何十時間やっても全然平気。仕事は3時間くらいが限度なのに(笑)。
 人間って、苦しくなればなるほど、仮想世界を求める生き物なんですよね。生活が貧しく、苦しいからこそ、映画を見たいし本も読みたい。30年間監督をやってきて、しみじみそう思ったんです。虚構の世界という意味では、多分、仮想世界も映画監督も同じなんです。音楽家だって作家だってそうなんですけどね。現実には何の役にも立たないわけですから。
 日本でロケをしているとすぐ警察が来るんですけど、一度、パトカーの警官にハッキリ言われたことがあります。「あんたらが映画を作らなくても、誰も困らないんだ。撮影されると、車が渋滞して大迷惑なんだ」と。ヨーロッパでも同じようにすぐに警察が飛んで来るんだけど、「何か手伝うことがあるか」って言われますけど(笑)。ただ、映画も音楽も何もなくて、日本のお巡りさんたちは、仕事が終わった後に何をするんだろうとは思います。日本も、テレビ局が中継車を出せば、警察は交通整理するんですけどね。

──つまり、大組織や権威に弱いということ?

監督:そういうことだと思います。

──監督は、海外、特にヨーロッパで高く評価されています。拠点をヨーロッパに移そうと思ったことは?

監督:ありますよ。でも、やっぱり日本人なんですよね。日本が好きだとかいうことではなく、問題は日本語。日本語が日常的に読めたり書けたり話したりできる環境じゃないと、ものが考えられない。もしヨーロッパに移り住んだとしても、日本語に囲まれていないので、すぐに行き詰まっちゃうと思う。

──劇中、二宮金次郎像やカタツムリが出てきたりして、可笑しかったです。

監督:基本的に、チャチャを入れたくなる性格なんです。真面目な顔をしているときに、冗談を言いたくなる。淡々とドラマを撮っていくことに絶えられず、バカをやらないと調子が出ない(笑)。ああいう演出の発端は、いたずらと思い付き。砂漠の真ん中に二宮金次郎像があったらどうだろう→見てみたい→撮ってみたいとなる。
 今回は半分くらいが思い付きの演出でしたけど、理想は100%思い付きで映画を作ること。そうするともっと面白くなると思う。そうしないのは、現場が大混乱に陥るからです。

──主演の黒木さんの他、菊地凛子さん、佐伯日菜子さんも出演し、美しい競演を繰り広げていますね。

監督:みんな、僕が望んでキャスティングするわけですが、最初は「(出演を)辞めた方がいいと思う」と話すんです。あれこれバカなことをさせるから(笑)。僕を信用してくれないと仕事にならないのですが、凛子や佐伯は前もやっているので、面白がっていましたね。でもメイサがどう思っていたのか分からなかった。本人も、どう感じていいのかすら分からなかったんじゃないですか?「撮っている最中は、何をやらされているのか分からなかった」と言っていましたから。

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