3度の挑戦で奥田監督が涙の受賞、入江監督は次作に意欲!ゆうばり映画祭

閉会式の様子。グランプリを受賞し涙を流す奥田庸介監督
閉会式の様子。グランプリを受賞し涙を流す奥田庸介監督
閉会式の様子。グランプリを受賞し涙を流す奥田庸介監督
『サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』舞台挨拶。左から安藤サクラ、山田真歩、入江悠監督
『クロネズミ』の深作健太監督(左)と主演の米村美咲(右)
『シュアリー・サムデイ』で監督デビューした小栗旬

5日間にわたって開催された「ゆうばりファンタスティック国際映画祭2010」が、3月1日に閉幕した。第20回目となった今年は、若手人気俳優の小栗旬が初監督した『シュアリー・サムデイ』のキャスト&スタッフが会場を訪れるなど、例年にない盛り上がりを見せ、ゆうばりの街を賑わせた。

2月25日には、オープニング作品『シュアリー・サムデイ』(招待作品部門)の小栗旬、小出恵介、勝地涼、鈴木亮平、ムロツヨシ、綾野剛、小西真奈美、山本又一朗(プロデューサー)という豪華メンバーが登壇、舞台挨拶を行った。この作品で監督デビューを飾った小栗は「ただいま!」という“ゆうばりファンタ”おなじみの挨拶に続けて、「27歳の僕が自分なりに撮れる青春映画ができたと自負しています。みんなに助けられて、ここまで来ることができました。この北の町から南へと伝えてもらえればと思います」と、熱い想いを語り、初日の夜に華を添えた。

会期中には昨年オフシアター・コンペティション部門でグランプリを受賞した『SRサイタマノラッパー』が凱旋上映されたほか、ゆうばり映画祭×スカパー!の制作支援金200万円をもとに完成させた新作『サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』がワールドプレミア上映された。26日夜の上映後には、入江悠監督と山田真歩、安藤サクラなどスタッフ&キャスト一同によるティーチインも行われ、「続編というプレッシャーと闘いながら作りました」と、入江監督。また、『SRサイタマノラッパー』で日本映画監督協会の新人賞を受賞という朗報も舞い込み「『サイタマノラッパー』はずっと作り続けていきたいシリーズ。次は栃木で撮ります!」と、さらなる意欲をみせた。

[動画]『SR サイタマノラッパー』予告編

27日の『クロネズミ』の上映には、地元北海道出身の米村美咲が深作健太監督と共に登場。米村は昨年、佐藤江梨子、酒井若菜などを輩出した日テレジェニック2009を受賞し、本作が初主演となる。アイドルとしてだけではなく女優としても活躍が期待されている17歳だ。会場には上映前から長い行列ができ、立ち見がでるほどの盛況。「ホラー映画が大好きなので、オーディションにはどうしても受かりたくて、がむしゃらな気持ちで臨みました。初めて主演として映画に出演でき、本当に嬉しかったです」と、喜びを語った。

そして、記念すべき第20回のオフシアター・コンペティション部門のグランプリに輝いたのは、『青春墓場〜明日と一緒に歩くのだ〜』(奥田庸介監督)。3度目の挑戦でのグランプリ受賞となった。奥田監督は「今回受賞できなかったら、死んでやろうという覚悟で作品を持ってきました。(実家が豆腐屋で)1個40円の世界で頑張っているおやじが、応援してくれている。期待に応えずにはいられなかった。ゆうばり映画祭がなければ今の自分はありません」と、涙ながらのコメント。

昨年の入江悠監督もそうだが、挫折しながらも2度、3度と挑戦した人たちがグランプリを手にし、新人監督として世界に羽ばたいていく──その誕生の瞬間に立ち会えるのが「ゆうばりファンタスティック国際映画祭」の素晴らしさと言えるだろう。今年グランプリ受賞した奥田庸介監督が来年の「第21回ゆうばりファンタスティック国際映画祭」で、どんな新作を披露してくれるのか期待は膨らむ。
(取材・文・写真[一部]=新谷里映)

オフシアター・コンペティション部門
■グランプリ:『青春墓場〜明日と一緒に歩くのだ〜』奥田庸介監督
■審査員特別賞:『脚の生えたおたまじゃくし』前野朋哉監督
■北海道知事賞:『壁』ヒョン・スルウ監督
■シネガー・アワード:『脚の生えたおたまじゃくし』前野朋哉監督

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