邦画と洋画の攻防(3回目)/ジブリとテレビ局主導で邦画人気が定着した2000年代

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邦画と洋画の攻防を3回に分けて解説する3回目は「2000年〜現在まで」。

99年に1億4476万人を記録した年間観客動員数は、2000年に1億3540万人にダウンするが、翌01年に1億6328万人に上昇すると、以降2000年代は1億6000万〜1億7000万人で推移。11年は震災の影響で1億4473万人に落ち込むが、14年は1億6111万人。90年代に冬の時代を迎えた映画界は復活を果たす。

【興行トレンド】邦画と洋画の攻防(2回目)/90年代映画界は冬の時代。人気は洋高邦低でハリウッドスターが大活躍

その原動力となったのがシネコンだ。郊外や地方都市など、それまで映画館のなかった地域を中心に建設ラッシュが続き、04年にシネコンのスクリーン数が既存映画館数を超えた。

洋画と邦画の年間興行収入シェア(映連では2000年から興行収入で統計を発表)では、2000年代前半は洋画人気が続いた。特に02年には洋画が73.9%にまで拡大する。その後、06年に邦画のシェアが53.2%と21年ぶりに洋画を上回る。翌07年は47.7%と再び下回るが、08年に59.5%を記録してからは14年に至るまで邦画人気が続いている。

00年代前半の洋画人気を引っ張ったのが、90年代と同じくトム・クルーズだ。シリーズ2作目となる『M:I−2』が00年に公開され、興収97億円をあげ年間1位の大ヒット。03年『マイノリティ・リポート』、04年『ラストサムライ』、05年『宇宙戦争、06年『M:i:III』と、毎年大ヒット作を連発した。

00年代に人気を得たハリウッドスターがジョニー・デップだ。90年代は個性派俳優として映画ファンに注目される存在だったが、03年『パイレーツ・オブ・カリビアン』が大ヒットしてから一気に人気者に。『パイレーツ』シリーズのほか、『チャーリーとチョコレート工場』(05年)や『アリス・イン・ワンダーランド』(10年)なども大ヒットしている。

00年代は『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』がファンタジーブームを生んだ。『ハリー・ポッター』は02年『賢者の石』が興収203億円をあげたのを皮切りに、11年に『死の秘宝PART2』で締めくくるまで、毎年のように洋画年間1位の興収をあげ続けた。『ロード・オブ・ザ・リング』は02年春〜04年春まで、『ハリー』と時期がぶつからない春に3部作が公開されてブームを引っ張った。

10年には『アバター』が156億円の大ヒットとなり3Dブームが到来。『アリス・イン・ワンダーランド』『トイ・ストーリー3』と、興収100億円超えが3本も生まれる絶好調ぶり。年間興収は2207億円と過去最高を記録。観客動員数は1億74366万人と、実に1975年以来の活況を見せた。

一方邦画では、00年代に入ってもスタジオジブリの快進撃が続く。01年に『千と千尋の神隠し』が304億円をあげ、『タイタニック』を抜いて歴代新記録を樹立したのを皮切りに、02年『猫の恩返し/ギブリーズ episode2』、05年『ハウルの動く城』、06年『ゲド戦記』、08年『崖の上のポニョ』、10年『借りぐらしのアリエッティ』、11年『コクリコ坂から』、13年『風立ちぬ』と、邦画年間1位が相次いだ。

03年『踊る大捜査線THE MOVIE 2』が興収173億円をあげ、『南極物語』を抜いて邦画実写新記録を樹立。テレビ局が邦画界をリードする時代に突入する。テレビドラマ発の映画が次々と公開され、06年『LIMIT OF LOVE 海猿』、07年『HERO』、08年『花より男子ファイナル』、09年『ROOKIES-卒業-』、10年と12年には『THE LAST MESSAGE 海猿』、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』が大ヒットした。

ドラマ発以外にもテレビ局が製作する映画が増える。TBSは04年『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いに行きます』、05年『NANA』、06年『日本沈没』など、日本テレビは05年『ALWAYS 三丁目の夕日』、06年『デスノート』、08年『20世紀少年』など、フジテレビは06年『THE 有頂天ホテル』、12年『テルマエ・ロマエ』などを製作。視聴率競争で培われた「観客の好みを重視した作品づくり」に加え、自局を活用した一大プロモーションの力もあり、次々とヒット作を生み出している。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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