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『劔岳』の木村大作監督、「命をかけて作った」と熱弁。次回作にも意欲!? | 映画/DVD/海外ドラマ

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(2009年 12月 22日)

『劔岳』の木村大作監督、「命をかけて作った」と熱弁。次回作にも意欲!?

『『劔岳』の木村大作監督、「命をかけて作った」と熱弁。次回作にも意欲!?』
木村大作(Kimura Taisaku)……1939年生まれ。東京都出身。1958年東宝撮影部にキャメラ助手として映画界入り。1973年「野獣狩り」で初めて撮影監督に。代表作は「八甲田山」(77)「復活の日」(80)「居酒屋丁治」(83)「華の蘭乱」(88)「あ・うん」(89)「誘拐」(97)「ホタル」(01)「赤い月」(04)「憑神」(07)など。本作で初監督を務める。

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『劔岳 点の記… 『劔岳 点の記… 『劔岳 点の記…

[ムビコレNEWS]  時は明治。日本地図最後の空白を埋めるため、劔岳の初登頂を命じられた陸軍参謀本部陸地測量部の男たちが、苦難の末に使命を果たし、日本地図を完成させていく──。

新田次郎原作のこの物語を映画化したのは、この世界に足を踏み入れて50年のキャリアを持ち、日本屈指の撮影監督として知られる木村大作。この『劔岳 点の記』で監督デビューをはたした木村が徹底的にこだわったのが、CGや空撮に頼らない本物の大自然を描くこと。そのために俳優やスタッフたちは、標高3000メートルに達する北アルプスで、200日に及ぶ山中での撮影に直面することになった。

そのこだわりが興収26億円、観客動員240万人を突破するヒットを生み出した。CG全盛の時代に、木村監督が描きたかったものは何だったのか? 『劔岳 点の記』を映画化しようと思った経緯から、過酷な撮影まで、この映画にかけた監督の思いを振り返ってもらった。

[動画]木村大作監督インタビュー

──まずは、長年撮影監督を務めてきた木村さんが、『劔岳 点の記』で監督に初挑戦した理由を教えてください。
木村:この映画を本物にこだわって撮るなら、北アルプス3000メートルで撮影し、2年はかかるし、俳優も200日くらいは山の中で過ごすことになる。そんな映画を、今の日本映画界で撮れる監督は誰なんだろうって考えると、そりゃいない。ごまかすのではなく本物にこだわって撮れる人はね。じゃあ、1番こだわるのは誰かって、そりゃ、俺だって話なんだよね。だから、自分が監督すると、自分で決めたんだ。

──ずっと前から、『劔岳 点の記』を撮りたいと思っていたのでしょうか?
木村:全然。俺はよく、1人で35ミリのフィルムとアリフレックス2Cというキャメラを持って撮影旅行に出かけるんだ。その一環で、2006年2月に能登半島に日本海の荒波を撮りに行ったんだが、10日間待っても波が静かなので帰ることにした。そのとき、昔読んだ新田次郎さんの『劒岳 点の記』を思い出し、1度も見たことがないから、拝んで帰ろうと立ち寄ったんだ。
 それで、これを機に、もう1回、『劒岳 点の記』を読み返したら、ただ地図を作るためだけに、黙々と仕事に献身している人たちの話に感動した。ただ映画を作るためだけに50年やってきた自分の人生が、全部この作品に詰まっているんじゃないかとね。地図を作る経儀器をキャメラに置き換えたら、行動も考え方もまったく同じだし。そういう意味では、自分たちの仕事を地図作りに当てはめられたことも大きかった。
 ただ、こういう企画は、今時の映画界には受け入れられないだろうと思ってたんだ。それが、お金を出してくれるところが出てきて、逆にビックリしちゃった。ならばやろう。やるからには、考える(企画)、作る(製作)、売る(営業・宣伝)という映画に必要な要素に全部関わろうと。そして、これを最後に映画界とおさらばしようと考えたんだ。言えば、この映画に命をかけるってことだよね。でも、うまくいかなかった。だって、生きているんだから(笑)。

──撮影は相当過酷だったそうですが、現場で俳優さんやスタッフから暴動を起こされませんでした?
木村:「この映画に参加してくれ」って頼みに行ったときから、俳優にも相当過酷な仕事だと伝えていたからね。例えば浅野さんには「200日は山に入ってもらわないといけません。それも山小屋です。風呂もありません。携帯も通じない。しかも雑魚寝です」と話したんだ。「普通の撮影だと思っていたら最後まで辿り着かない。これは“行(ぎょう)”ですけど、どうしますか? 申し訳ないけど、帰るまでに返事をしてください」とね。そしたら、15分で決まった。ほかの俳優さんもそういう形ですよ。

──覚悟していたこととはいえ、想像より大変で後悔したことは?
木村:後悔はしなかったけど、シナハン(シナリオ・ハンティング)のために1人で山に行って、自然の猛威に「これは無理かな」って思わされたことは何遍もあるよ。
 山小屋に「3週間いさせてください」と頼んだら「満杯だ」と断られて。それなら、従業員が寝ているところでもいいから置いてくださいとお願いした。「そこなら、いつまでいてもいい」って言われてからは、毎日のようにフラフラと出歩いていたね。そういう時間を過ごしていくうちに、「やれるかな」って思ったり。
 地元の人はみんな、新田さんの本を読んでいて、映画になんてできるわけないと思ってる。だから、最初はけんもほろろ。あなた何考えているんですか、と。でも、そう思っていた人たちも、天気の悪い日に、俺が食堂で台本を直しているのを見て、「あの人、本当にやるつもりなんだ」と変わってくる。そうすると対応も変わり、「あの山に行くなら、こう行った方がいい」といった具合に協力が得られるようになってきた。さらに、撮影隊が入ってからは、不思議なもので、ご飯もどんどん良くなってきたんだ(笑)。

──初監督に当たって、まわりからは何か言われました?
木村:そりゃ、みんな言うよ。「大丈夫なんですか?」とかね。まず、俺の演出力に信用がない。「木村大作が撮影もするんだから、すごい映像が上がるだろう。でも、あいつに演出ができるのか?」ってね。全員そう思ってたんじゃないかな。でも、俺の最大の演出は、本当の場所に、本物の俳優さん連れて行って、明治40年に測量隊が行ったのと同じ行動を取らせたこと。
 浅野さんや香川さん、ほかの俳優も体験していくわけ。脚本を読みながら、「このシーンはこうしよう」なんて考えてたことも、山の中を9時間も歩いていれば、みんな吹っ飛んじゃう。あまりにも、現実がすごいんでね。そうやって撮影していくから、いちいち、「このシーンはこういう感情で」という説明もいらない。撮り方は、ほとんどドキュメンタリー映画。撮影は全部順撮りだったんだけど、最初の顔とラストのほうでは、俳優さん自身が「こんなに顔が変わるんだ」と実感するくらい変わっていたね。

──映画はヒットしました。最初からヒットすると思っていましたか?
木村:いやあ、まったく(笑)。でも、多くの人に見てもらいたいとは思ってた。だから、その努力は俺自身がやらなきゃと、劇場公開前に47都道府県を自分の車で回って宣伝することを考えたわけ。
 見てもらった後に白紙を配って感想文を書いてもらったら、アンケートじゃないのに10割近い返事が戻ってきてビックリした。映画を見て感じたことを書いてもらったわけだけど、それこそ、俺が読んも感動するようなものがほとんどで、そういう意味でも思い残すことのない映画を作れたと実感しているんだ。

──それだけ反響があると、次回作を撮りたいと思うのでは?
木村:必ず聞かれるんだよね、次回作について。この映画はただ1度の監督、『八甲田山』にはじまり『劔岳 点の記』で俺の人生は終わる──。最初は、そういう気持ちだったんだけど、こうなっちゃうと人間って欲が深いからね(笑)。何か企画がないかなって考えちゃいるけど、映画作りってそんなに簡単なものじゃないから、「はい、次はこれ」っていう風にはならない。
 理想はね、高倉健主演、降旗康男監督、木村大作撮影で映画を作れないかっていうこと。でも、健さんも降旗さんも、なかなか撮らないから。そうなると、俺も生活があるので、何かやり出すかもしれないっていうのが今の心境だよね。

『劔岳 点の記』
2009年12月11日(金) DVDレンタル開始
販売元:東映株式会社
発売元:東映ビデオ株式会社
「劔岳 点の記」公式HP:http://www.tsurugidake.jp/
■同日、DVD&ブレーレイ3バージョン、ポニーキャニオンより発売

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