King Gnu・常田大希の才能全開、 『攻殻』最新作の音楽がスゴイ!/#うちで過ごそう

#映画を聴く

NETFLIXオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』4月23日よりNetflixにて全世界独占配信(※中国本土を除く)
NETFLIXオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』4月23日よりNetflixにて全世界独占配信(※中国本土を除く)

1989年に発表された士郎正宗のコミックを原作とするTVアニメーションシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』が、今週の木曜日、4月23日よりNETFLIXで配信される。

『攻殻機動隊』がハリウッド映画化され、『寄生獣』がニュースだけで終わってしまった理由

原作は押井守監督の1995年作『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』をはじめ、これまで何度も映像化されてきたSF/サイバーパンクの古典と言っていい作品だが、フル3DCGアニメーションとして制作されるのは今回が初。TVシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズの神山健治と、映画『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志が共同監督を務め、前者のオリジナルキャストである田中敦子・大塚明夫・山寺宏一が再集結していることもファンの注目を集めている。

ここでは配信に先立ち、音楽面の概要をまとめておきたい。まずオープニングテーマ「Fly with me」を手がけるのは、King Gnuの常田大希によるソロプロジェクト、millennium parade(本作では millennium parade × ghost in the shell: SAC_2045 名義)。先日、公式サイトで楽曲のティザー映像が公開されたばかりだ。King Gnuでギター&ヴォーカルを担当する常田は、東京藝術大学在学時にはチェロを専攻していたというクラシック音楽の素養を持つマルチ奏者。楽曲の作詞・作曲に留まらず、King Gnuのサウンドメイキングにおいても中心的な役割を果たしている。

millennium paradeは、そんな常田の資質をさらに押し進めたソロプロジェクトであると同時に、映像畑のクリエイター陣を巻き込んだ総合的なアートチームでもあり、ティザー映像ではEugene(ゆーじーん)なる独自のキャラクターをフィーチャーした、手の込んだピクセルアートを見ることができる。これは近日公開されるフルサイズのMVの布石となっているという。一度聴いたら忘れられないキャッチーなイントロからヒップホップ的な感覚に溢れるヴォーカルパートになだれ込む数十秒を聴くだけで、『攻殻』ファンの期待は俄然高まるに違いない。

なお、5月にリリースされるシングルCDには、常田と神山・荒牧の両監督、クリエイティブディレクターの佐々木集、デジタルアーティストの神戸雄平によるトークセッションを収録したDVDが付属する。

サウンドトラックを担当するのは、戸田信子と陣内一真。本作と同じくNETFLIX配信で神山・荒牧両監督によるオリジナル3DCGアニメーション『ULTRAMAN』もコンビで手がけている両人は、バークリー音楽大学で学んだ同級生だとか。戸田は、映画のサウンドトラックに特化した演奏活動を行なうフィルム・スコア・フィルハーモニック・オーケストラの音楽監督で、ハンス・ジマーら数多くの映画音楽家を紹介した2017年のドキュメンタリー映画『すばらしき映画音楽たち』では製作総指揮も務めている。陣内も戸田とのコラボで『メタルギアソリッド』シリーズのゲーム音楽を手がけるほか、ロサンゼルスを拠点に『名探偵ピカチュウ』『ジュマンジ/ネクスト・レベル』といったハリウッド大作映画にも多くの楽曲を提供するなど、年々活動の幅を広げている。

映像化にあたってはいつも川井憲次や菅野よう子、コーネリアスの小山田圭吾といった気鋭の音楽家が起用され、従来のアニメの枠にとらわれないスコアでファンを魅了してきた『攻殻』。フル3DCG作品である今回の『攻殻機動隊 SAC_2045』ではどのようなサウンドトラックが映像に重ねられるのか、今から期待が膨らむ。(文:伊藤隆剛/音楽&映画ライター)

INTERVIEW