(C)2022Blue Island project

香港では上映不可だった『Blue Island 憂鬱之島』7・16世界初の劇場公開

7月16日から、全国で公開される、香港・日本合作で製作されたドキュメンタリー映画『Blue Island 憂鬱之島』に各界の著名人総勢14名から応援コメントが寄せられた。

同作は北米最大のドキュメンタリー映画祭「Hot Docs 2022」での最優秀国際ドキュメンタリー賞受賞に続いて、第13回台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)にて3冠を獲得しながらも、香港では上映できず日本での公開が世界初の劇場公開となる。

初日の7月16日には、東京・渋谷のユーロスペースで、香港にいるチャン・ジーウン監督とオンラインでつなぎ、舞台あいさつ開催が決定している。

コメント寄稿者には、俳優の東出昌大、映画監督の森達也、リム・カーワイ、西原孝至、ジャーナリストの福島香織、堀潤、写真家のキセキミチコ、時事芸人のプチ鹿島など、総勢14人が名を連ねる。

コメントを掲載した折チラシは都内の劇場を中心に設置予定だ。

また今夏、香港での自由を求める闘争の記録を描いた同作と、8月13日から、同じく渋谷のユーロスペースにて公開となる映画『時代革命』との相互割引きも決定した。

ユーロスペースにて、『Blue Island 憂鬱之島』の当日券購入時に『時代革命』の前売り券を持参、もしくは『時代革命』の当日券購入時に『Blue Island 憂鬱之島』の半券を持参すると当日料金より200円割引となる。(※実施劇場はユーロスペースのみ、一般券・窓口のみの適用)

・その他の場面写真はコチラ!

 

著名人からのコメント

■福島香織(ジャーナリスト)

文革から逃れて海を泳いで香港に来た老人の体験を、雨傘運動、反送中デモを戦った今の若者が演じてみせることで立体的に浮かび上がる香港人の運命。逃げるにしろ、戦うにしろみんな命がけだった。これは中国との関係に翻弄される香港の悲哀としぶとさの記録。泣いたけど絶望はしなかった。

■森達也(映画監督)

メディアの最前線にあったはずの香港情勢は、いつのまにかすっかり後退した。今も問題は現在進行形のまま続いているのに。現実に挟まれるフィクション。その虚と実のグレイゾーンに中国共産党の光と影が重なる。過去から始まる本作は未来へと繋がりながら終わる。これほどに洗練されたドキュメンタリーはちょっとない。

■劉靈均(「ひまわり学生運動」参加者、大阪公立大学人権問題研究センター特別研究員)

朝が怖くて……目覚めたら世界はさらに不条理になってゆくかも……。これは映画の中の、林耀強(ケネス・ラム)さんのお言葉。文化大革命の時の中国人、天安門事件の時の北京と香港の若者だけではなく、ひまわり学生運動の時の私もそう思っていた。今のミャンマーの、香港の、ウクライナの人々もおそらく……。海の向こうの戦争が始まる。否、一緒に戦わないと、こちらの戦火にもなるだろう。

■西原孝至(映画監督)

カメラは世界を映す。ドキュメンタリーの苛烈さとフィクションの生々しさを携えて。その音と画は限りなく現実に接近する。97分、すべての瞬間が、いまを生きる私たちに問いかける。「時代の革命はやってくるのか。それは誰が起こすのか? 」

■リム・カーワイ(映画監督)

2014年、雨傘運動を記録した『乱世備忘』から、チャン・ジーウン監督は2019年の民主化デモを予想していただろうか。『Blue Island 憂鬱之島』は、チャン監督の予見能力と、歴史的視野に驚かされる。しかしもっと驚くべきなのは、このエモーションナルな映画の裏に隠された冷静さ、ドキュメンタリーとフィクションを融合して語ろうとする「香港」への多重的な思考だ。この冷静な思考は、我々が熱く「香港」を語る時に欠けているものだと思い知らされた。

■キセキミチコ(写真家)

長い歴史の中でいつも他国に翻弄され続け、もがき続けている香港。そんな香港を描く「憂鬱之島」には、深く、重く、心に突き刺さる彼らの言葉が散らばっていた。ここには多くのメッセージが詰まっている。アイデンティティとはなにか?私たちはアイデンティティを持っているのだろうか? 全てが正常に戻るように見えて、実は全てが異常なのだ。今は沈黙することしかできない彼らに孤独を感じさせてはならない。

■ふるまいよしこ(中国・香港専門フリーランスライター)

2019年の香港デモはたびたび「参加者は若者が中心」と強調された。まるで「若さ」が間違いであるかのような揶揄もあった。だが、この作品は、デモと香港の歴史をオーバーラップさせることで一つの真理を描き出した。それは、「いつの時代の運動や行動も、先頭に立つのは若者たちだ」ということだ。

■東出昌大(俳優)

「なぜ銃を向けるんだ? 」。世界中で叫ばれる無辜の市民の悲痛な訴えの起こりを、私達は探さなければいけない。そしてこの映画は、その一端の真実を鮮烈に教えてくれる。

■増田ユリヤ(ジャーナリスト)

2019年12月。香港を訪れた。ポールの折れ曲がった信号機。歩道に残る「加油」の文字。警察とデモ隊が激しく衝突した香港理工大学は封鎖され、多数の雨傘が残されていた。自由を求め、香港人として生きる人々を応援し続けたい。彼らの苦悩を見て、改めて思う。

■堀潤(ジャーナリスト)

私はなす術もなく見つめることしか出来なかった。あの時、結局、抗えなかった。民主主義が目の前で破壊されているのに。しかし、この映画を命をかけ香港人たちが完成させた。世に放った。諦めない。諦めてはいけない。だから、負けない。共に、声を。自由を希求するその精神を失ってはいけない。

■野嶋剛(ジャーナリスト・大東文化大教授)

何もない岩だらけの島だった香港を「東洋の真珠」に育て上げたのは、人間の力にほかならない。同作は、その香港人の世代を超えた生き様を重層的に映し出し、「香港の価値は人にある」と観客に語りかける。香港人こそ香港なのだ。だからこそ、今の苦難に彼らがいつか打ち勝つ日を信じたい

■くれい響(映画評論家)

「香港を愛している」という想いで繋がった、時代と世代を超えた斬新なコラボ。彼らによって放たれる熱く切実なメッセージの数々は、観る者の胸を掴んで離さない!

■プチ鹿島(時事芸人)

「導いてくれる聖人はいません」。この映画に出てくる印象的な言葉の一つだ。よく日本の選挙では「投票したい人がいない」という理由を聞くが、すべて任そうとするからでは? 常にチェックも必要であり、「自分で考える」大切さを教えてくれた作品です。

『Blue Island 憂鬱之島』7月16日から、東京・渋谷のユーロスペースなど、全国で順次公開される。