『下忍 赤い影』山口まゆ インタビュー

演技力抜群! 期待の若手女優が時代劇に初挑戦

#山口まゆ

なかなかお姫様になることはないから、本当に嬉しかった

日本最高峰のアクションチームが放つ本格忍者アクション『下忍 赤い影』(10月4日公開)『下忍 青い影』(11月15日公開)が2作連続で公開される。『下忍 赤い影』は、忍者組織の最下層である「下忍」の末裔である竜(寛 一 郎)の物語。彼が勝海舟(津田寛治)にスカウトされ、「江戸に嫁がせた薩摩藩の姫・静(山口まゆ)を奪還して国に送り戻せ」というて密命を授かることから始まる命がけの戦いが描かれる。『猫侍』の山口義高が監督し、『キングダム』の坂口拓がアクションを担当。

そんな同作で静姫を演じ、時代劇初出演となった山口まゆに話を聞いた。

──今回が初めての時代劇ということで、いろいろと大変なこともあるかと思うのですが。

山口:最初は時代劇だと言われてもあまり想像ができなくて。どんな感じの作品になるんだろうと思っていたんです。でも、衣装合わせの時に、衣装をどうするか、髪の毛をどうするか、メークをどうするか、という話になってようやく時代劇をやるんだなという実感が湧きました。

──ということは、これまでは時代劇にあまりなじみがなかった?

山口まゆ

山口:そうですね。親が見ていたもの、という印象があって。わたしはあまり見ていなかったですし、あったとしても歴史の授業とかですかね。だからすごく新鮮でした。

──静姫役が決まった時の感想は?

山口:本当に嬉しくて。まわりに言いふらしていました。「次は姫なんだよ」って。なかなかお姫様になるということはないですからね。それはすごく新鮮でしたし、所作や言葉使いといった基本の部分は身につけておかないと、すぐにバレてしまうなと思って。そこはやはり意識しました。初期の段階から、背筋を伸ばす、手をそろえる、内股で歩くということは意識していました。

──そういったなじみのない所作は難しかったのでは?

『下忍 赤い影』
(C)2019「下忍」製作委員会

山口:そうですね。時代劇はお着物なので、基本は内股でいなきゃいけなかったり。できるか心配してたのですが、たまたまわたし、お鍋屋さんでアルバイトをしていたことがあって、その時に着物を着ていたんです。着付けも自分でやっていたので、必要な部分が少しは身についていて良かったなと思いました。あと学校でも日舞をやっていたので、いろいろと重なって良かったなと思って。

──セリフは難しくありませんでしたか?

山口:バシッというところはバシッといわないといけないなと。セリフがすごくカッコいいので、セリフ負けしないようにしないといけないなというのはありました。監督からも「ここは強く」とか、「目線をもっとにらんで」とか、そういう指示をいただきました。

──映画を見ての感想はいかがでしたか?

山口:やはり台本を読んでいた段階ではアクションシーンも想像がつかなかったんですけど、現場や本編でアクションを見た時にすごいインパクトがあって。みんなカッコよくて素敵だなと思いました。わたしもやりたいなと思いながら、遠くでずっと見ていたんですよ。やっぱりこの作品はアクションが見物ですから。

──とはいえ山口さんも、短刀を使ったアクションがありましたね。

山口:ほんの少しでしたが、アクションができてうれしかったです。あの撮影は確か最終日だったと思うんですが、あっという間に終わってしまいました。楽しかったですね。

──寛 一 郎さんとは多くのシーンでご一緒していたかと思うのですが、いかがでしたか?

山口:寛 一 郎さんはとてもラフな方というか、自然体なので、飾らない感じの方でした。それがちょっと竜に近いようなところもあって。忍者として自立しているのかいないのか、曖昧なところがあって。そこがなんだか人間味があって。そういうところが静姫が気に入るところなのかなと思いました。そういったフワフワした、完成していない竜を寛 一 郎さんが演じることによって、すごくマッチしているなと思いました。

──姫との掛け合いも面白いなと思ったのですが。

山口:そうですね。それもまた面白くて。絶対的に姫が勝っちゃうとつまんないんですよ。やはり屋敷を出ちゃうと、生きる知識があるのは確実に竜の方なんです。でも人をまとめたりするような行動力があるのは姫の方で。そのバランスがいい具合に2人をマッチさせてくれるというか。そこの掛け合いは面白い部分かなと思います。

苦しい時期もあったけれど、最近、楽しくなってきました
──山口さんは子役の頃から活動を続けてきたと思います。特にドラマ『コウノドリ』で見せた高い演技力で注目を集めましたが、ここまでの女優業を振り返ってみていかがですか?

『下忍 赤い影』
(C)2019「下忍」製作委員会

山口:実は最近、過去を振り返るのをやめようと思っているんです。それであんまり昔のことを考えなくなりました。この年齢でいろんなことに挑戦させていただけてますし、18歳の冬ぐらいから、いろんなジャンルの作品をやらしてもらっていて。その中で新たに時代劇というものにも出会えて、今はなんかすごく楽しいですね。

──幅が広がったということですね。

山口:いろんな役ができるというのもそうですし、こういうことが自分はできるのかな、とか。試せることもたくさんあるので、ここに来て急になんだか楽しくなってきました。もちろんずっと好きでやっていたんですけど、結構苦しい時期もあったし、「なかなかできないな」「どうしたらいいのかな」とか、いろいろと考えることもあったんですけど、いろんなことをポンポンポンとやっていくうちに、意外といろんなものが見えてきて。それで課題も増えましたけど、でもそれはそれですごく楽しいので……。今は楽しいですね、お芝居をすることが。

──今はいろいろなことを吸収している最中なんですね。

山口:そうですね。最近は映画をたくさん見ているんですけど。洋画が好きなんですよ。1日に2本とか。この前は5本くらい見た日もありました。海外の映画の世界観が好きで。ずっとハマって観てますね。洋画のいろんな作品からもいろいろ吸収していて。この人の声質を盗みたいとか、こういうお芝居は面白いとか。今まで洋画をそういう視点で見ていなかったんですけど、最近はそういう見方をしています。この俳優さんと決めたら、その俳優さんの作品をまとめて見たりとか。そんなことにハマっています。昨日も映画館で2本見ました(笑)。

──それではそろそろ時間になってしまいました。最後にこれから映画を見る人にメッセージをお願いします。

山口:いろんな世代の方が楽しめる時代劇になっていると思いますし、やはりアクションに注目してもらいたいですね。最後のアクションシーンはワンカットで撮っているので、ぜひそこは見てもらいたいなと思います。

(text&photo:壬生智裕)

山口まゆ
山口まゆ
やまぐち・まゆ

2000年11月20日生まれ。東京都出身。14年の『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』でテレビドラマデビュー。15年の映画『くちびるに歌を』やドラマ『コウノドリ』で注目を集め、17年の映画『相棒 劇場版IV』のヒロインに抜てき。NHKドラマ『マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜』(19年)や長渕剛の20年ぶりとなる主演映画『太陽の家』(来年公開)に出演するなど、若き演技派女優として活躍の場を広げている。