渡辺奈緒子

AV女優を演じた『nude』で初主演。今、注目の若手女優

 

『nude』渡辺奈緒子インタビュー

『nude』渡辺奈緒子インタビュー

 

辛いことはあったけれど、
挑戦したことで自分の壁を破ったことも確かなんです

  • 国民的AV女優として人気を博しながらも、2010年6月に惜しまれながらAV界を引退。女優としての道を本格的に歩き始めたみひろ。彼女が書き下ろした私小説を映画化した『nude』が劇場公開される。

    なぜ、AV女優の道に入ることになったのか? そこに秘められた不安や葛藤。そうした、これまでに語られることのなかった真相が赤裸々に綴られた本作で、主人公を演じているのが渡辺奈緒子だ。

    渡辺は『東京大学物語』(06)でデビュー。窪塚洋介がカメラマンをつとめた「月刊渡辺奈緒子」が話題を集めたほか、『リアル鬼ごっこ2』ではクールなレジスタンスの一員を演じるなど、今、注目の女優。そんな彼女に、出演に至る経緯から初主演の感想、裸になったことについても語ってもらった。

    [動画]『nude』渡辺奈緒子トークショー

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  • ──まずは、この映画に出演するに至った経緯を教えてください。
  • 渡辺:最初にみひろさんが書かれた「nude」の原作と脚本をマネージャーから渡されて、その段階では主演ということを聞かされていなかったので、一観客として読ませていただきました。みひろさんが新潟から上京してきて、夢のためにいろいろな人から反対されながらもどんどんと前に進んでいく。その姿が自分自身と重なって。私も女優として前に向かって歩いていくなかで、不安や悩みを抱えていて、だからこそ感情移入し、自然と涙がこぼれてきたんです。そのときに、こういう感情を大事にしたいなと思ったのが、この役を演じてみたいと思ったきっかけです。
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  • ──この映画のどの部分が渡辺さんに「ぜひ、出演したい」と思わせたのでしょう?
  • 渡辺:私が演じた山瀬ひろみは平凡な女の子で、最初は東京に行きたいという漠然とした気持ちで上京するんです。そのなかで夢を見つけたというか……。入る道は間違っていたかも知れないけど、最終的に女優になりたいっていう夢を見つけ、進んで行く姿に本当に共感できたし、生き方としてもカッコイイなって思って。
    ただ、今回はAV女優役なので、決断には勇気が必要だったんじゃないですかという質問はよく受けます。でも大切なのは、1人の女の子が夢に向かうまでの道のり。AV女優になるってところだけ抜き取れば衝撃的かも知れませんが、たまたまAV女優だっただけ。もちろん、そこは大きいと思いますが、一方で、誰にでも置き換えられる話なんじゃないかと。この物語は、どこにでもいる普通の女の子が、道に迷いながらも夢に向かって歩んでいく話で、それを表現できたら、自分の成長にも繋がると思ったんです。
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  • ──ほかの作品でも脱いでいますが、渡辺さんにとって裸になるのはどんなことでしょう?
  • 渡辺:無駄って言ったらおかしいですが、必要性を感じなければ脱ぐことに抵抗も感じますし、恥ずかしいと思う気持ちはもちろんあります。でも、例えば大好きな彼がいて、四六時中一緒にいたい、抱きついていたい、キスもしたい、セックスもしたいって思ったら、そこから裸だけスッポリと抜け落ちていたら不自然ですよね。お風呂に入るときは裸になるし、家に帰れば着替えるでしょう。そういう(裸や着替えの)シーンだけを抜き取ってしまうと、逆におかしいんじゃないかなって思うので、どんなシーンであれ裸になりませんっていうのは、ちょっと違うのかなって思っています。
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  • ──主人公のひろみは、初めて脱いだり、AV出演するときに悩みます。渡辺さんも、初めて脱いだとき、同じように悩みましたか?
  • 渡辺:これで良かったんだろうかって、そのときは思いました。ですが、自分でやるって決めたことだったので、後悔はまったくありません。『シルク』という映画で脱いだときも、すごく悩みましたが、初めて自分を必要としてもらえた役だし、自分でも表現したいと思った役。だからこそ脱いだし、後で完成した作品を見て、脱いで良かったと思ったんです。
    「月刊渡辺奈緒子」もそう。辛いことはあったけれど、挑戦したことで自分の壁を破ったことも確かなんです。脱ぐことがきっかけだったかどうかはわからないけれど、すごく突き抜けられたというか。もちろん、すっごく考えたし、いざ脱げと言われたときに恥ずかしいと思う気持ちもあったけど、最終的に完成作を見て、恥ずかしいと思ったことは1度もありません。
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  • ──本作の主人公も芸能界に入るときに友人に反対されますが、渡辺さん自身、誰かに反対されましたか?
  • 渡辺:母はいつも寛大な心で全力応援してくれるのですが、父や兄は露出がある仕事だったりするとショックを受けてるみたいです。私には直接言ってきませんが、何となく、そういう話が耳に入ってくるので。
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  • ──原作者のみひろさんとは共演シーンもありましたが、どんな印象をお持ちでしょう。
  • 渡辺:会ってすぐにファンになっちゃうくらい、自分の信念をもっている方。プロ意識もありますし、前に前にと進んでいる。すごく可愛らしい印象に、力強いイメージも加わって、女性から見てもカッコイイなっていう印象です。
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  • ──初主演になりますが、プレッシャーを感じましたか?
  • 渡辺:作品に対する責任を負うという意味での精神的なプレッシャーは相当ありました。最初はそれに負けてしまい、両手両脚が揃っちゃうほどに緊張して、歩くだけでもガチガチ。私、どんな風に歩いていたっけって思ったくらい(笑)。でも、そういうことを経験できる現場を今まで経験してこれなかったので、今回、ここまで追い込んでくれた現場に出会えたのは、本当に良かったなって思います。
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  • ──演じるにあたっては、原作者のみひろに似せようという部分と、逆に似せなかった部分があるのではないかと思いますが、その辺りのバランスはいかがでしょうか?
  • 渡辺:みひろさんからは、彼氏とはこうだった、新潟から出てきたときの気持ちはこうだったと、参考になる話をいろいろと聞かせてもらいましたが、それをそのままをわかったつもりになって演じてしまうと、本当にただのマネになり、観客にもバレてしまう。だから、監督ともそこはきちんと話をし、絶対に嘘をつかないようにしようと約束したんです。
    そのためには、みひろさんの立場に自分を置き換えて、きちんと受け止めて、感じて、考えて、答えが出たときに、それを相手(共演者)に届けるようにする。その作業を1回1回、全部の芝居でやることを心がけました。私がみひろさんの立場だったら、彼氏に反対されたときにどう思うだろうとか。そういうことを考え、私だったらやっぱり彼氏ではなく仕事を選んじゃうかな、でも、彼氏の前ではいい顔するかも、とか、いろいろと感じ考えた上で返していく。微妙なところなんですけど、その微妙な違いをきちんと演じないと、スクリーンを通したときに観客にウソなのがバレてしまうと思っていて。
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  • ──最後に渡辺さんの気分転換方法を教えてください。
  • 渡辺:映画を見るのが好きなので、1人で映画館に行くこともよくありますが、やっぱり同世代の友だちと、甘いものを食べながら、何時間も他愛のないお喋りをすることですね(笑)。仕事だと、どうしても余計なことまで考えちゃうんですけど、友だちとはそういうのがなく、本音でぶつかれば本音で返ってくる。そういうところが、すごく気分転換になってます。

(2010/9/17)

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渡辺奈緒子

わたなべ・なおこ
1984年、神奈川県出身。江川達也監督作『東京大学物語』(06)でデビュー。2008年『シルク』に出演し話題となる。2009年、窪塚洋介がカメラマンをつとめた「月刊渡辺奈緒子」がきっかけとなり、本作での映画初主演に抜てき。ほかに2010年は出演作『リアル鬼ごっこ2』『アウトレイジ』が公開されたほか、『行きずりの街』が11月20日より公開となる。

動画マーク

渡辺奈緒子

『nude』場面
『nude』場面
『nude』場面
『nude』場面
『nude』場面
 『nude』
2010年9月18日よりシネマート新宿ほかにて全国順次公開
(C) 2010「nude」製作委員会

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