高岡早紀

渡部篤郎の初監督作に主演した高岡のリラックス方法とは?

 

『コトバのない冬』 『ゲキ×シネ/蜉蝣峠』高岡早紀インタビュー

『コトバのない冬』『蜉蝣峠』高岡早紀インタビュー

 

エチュードっぽい作り、本番では本当に笑ってしまった

  • 2月20日に封切りとなった『コトバのない冬』。その1週間前の13日より公開中の『ゲキ×シネ /蜉蝣峠』。この2つの映画でヒロインを演じているのが高岡早紀だ。

    俳優・渡部篤郎の初監督作となる『コトバのない冬』では、北海道の小さな町で、単調ながらも幸せに暮らしている黒川冬沙子役を。劇団☆新感線の舞台を複数カメラで映像に収めたゲキ×シネ 『蜉蝣峠』では、主人公の闇太郎と互いに思いを寄せ合うお泪を演じた高岡。その高岡に、両作品の魅力や裏話をお聞きした。

    [動画]『コトバのない冬』 インタビュー

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  • ──まずは『コトバのない冬』についてお聞きします。この映画は、いつ頃、どこで撮影されたのでしょうか?
  • 高岡:寒いなんてもんじゃないくらい、すごくすごく寒くて、頭の上よりも遥かに高いところまで雪が積もっている場所で。私、どれくらい着込んだだろうっていうくらい何枚も重ね着し、全身ホッカイロを貼りまくっても、10分は外にはいられないってくらいの寒さでした。
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  • ──そもそも渡部監督からは、どのような形で出演依頼があったのでしょう?
  • 高岡:渡部さんとは20年来の友人で、子ども(18歳)の頃からの知り合いなんです。で、普通に何かの話をしているときに、「実はこういう映画を撮りたいと思っているんだけど、出演してくれないかな」って感じで話を聞きました。
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  • ──実際の渡部監督の“監督ぶり”はどうでした?
  • 高岡:毎日、感心していました(笑)。渡部さんは監督なので、自分が最初に温まるわけにいかないんですね。にも関わらず薄着で、「ズボンの下に何かはいてるの?」って聞くと、「何もはいてない」って答えるんです。本当にジーンズ1枚で、上はTシャツに上着くらいという薄着で。絶対、寒いに決まっているけど「寒くない」って言い張ったり、ビチョビチョになりながら頑張ったり。実際の演出でも、とにかく、その場の雰囲気をとても大切にする方。そこに時間をかけてくれるので、撮影は長回しが多くて大変でも、困ったことはなかったです。
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  • ──すごく自然な演技だなと思いましたが、どんな演出だったのでしょう?
  • 高岡:今回は特に、最初から最後までセリフがちゃんと決まっているわけではなかったので、これから撮るシーンに対して入念に打ち合わせし、十分な時間をかけながら作っていきました。
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  • ──1番驚いたのが渡辺えりさんらとの会話のシーン。本当に自然で素晴らしかったです。
  • 高岡:あのシーンは、ちょうど夕食時で。細かくセリフの割当がなく、このシーンをどんな風にしようかっていう話し合いからはじまったんですね。みんなでいろいろな話をしながら、渡部さんが「その話、面白いから、ちょっと待って」とか「その話からはじめてみようよ」みたいな感じで作っていって。普通の会話と同じようにみんな、聞きたいことを聞いたり、エチュードのように作っていきました。本番では、渡辺えりさんの話をずっと聞いていて、みんな本当に笑っちゃったりとか(笑)。
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  • ──あのシーンの笑った顔は、本当に素晴らしかったです。
  • 高岡:演じていて、本当に楽しかったんです。通常は、台本で笑いのポイントまで決められていたりしますが、今回は、そういうのも一切なく、食べたいときに食べ、喋りたいときに喋り、チャチャを入れたいときに入れたりしながらの撮影でした。

    [動画]『ゲキ×シネ/蜉蝣峠』インタビュー

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  • ──現在、劇団☆新感線の舞台を16台ものカメラで撮影し映像化したゲキ×シネ『蜉蝣峠』も公開中です。高岡さんにとって演劇とは、どんなものでしょう?
  • 高岡:そういう風に難しく“演劇とは?”と問われると、私もまだまだ勉強中なので、「こう思っていますす」とは言えませんが。ただ、映画やドラマと違って、舞台は1か月近く、毎日毎日、稽古を重ねて、試行錯誤の上でお客さんに見せるものなので、役作りの上で、気持ちの上げ方の鍛錬(たんれん)になったりしますね。私は舞台って、すごく贅沢だと思っているんです。映画で1か月稽古できる現場なんて、まずあり得ませんから。そういう意味では舞台をやらせていただき、すごくありがたいなと思っています。
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  • ──劇団☆新感線の舞台に出演した感想は?
  • 高岡:演出のいのうえひでのりさんとはご一緒させていただいたことがあって、古田新太さんとも映像では、ちょこちょこご一緒させていただいているのですが。とにかく、新感線は本当にゲストの迎え方がすごく手厚くて、「ようこそ、ようこそ!」って感じなんです。しかも、毎日毎日「大丈夫?」って誰かが必ず気を遣ってくれる。居心地は最高です。
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  • ──ゲキ×シネは、舞台を映画館で見せている点がユニークですが、どの辺りが魅力でしょう?
  • 高岡:舞台では見られない細かい表情だとか、手や目の動きを見たい気持ちはあるじゃないですか? だからみんな双眼鏡を使ったりするのだと思いますが、ゲキ×シネだと、どんな表情をしているのかを、ちゃんとアップで押さえてくれている。舞台では見られない、もっと深い心の感情が見えるのがゲキ×シネのいいところなんだろうと思います。
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  • ──では最後に、オンとオフの切り替え方法について教えてください。
  • 高岡:私の場合、いやでも家に帰ったら子どもたちがいて、普通の現実が待ち受けているんですね。心の奥にはベッドで休みたい気持ちがあったとしても、そういう現実は私にはないんです。ただ逆に、家に帰って子どもの寝顔を見たりとか、お休みの日に、うるさいって思いながらも、ピーピーしている子どもの声を聞いたりとか。そうしたことが、私の1番のリラックス方法なのかなって思っています。
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(2010/2/27)

高岡早紀

Zoe Saldana
1972年生まれ。89年に『cfガール』で映画デビュー。以来、映画、テレビ、舞台などで活躍。94年に出演した映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』ではお岩役を演じ、ブルーリボン賞主演女優賞、日本アカデミー賞主演女優賞など、その年の賞を総なめする。主な出演映画に『The Harimaya Bridge はりまや橋』『カフーを待ちわびて』(共に09)など。

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『コトバのない冬』インタビュー

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『ゲキ×シネ/蜉蝣峠』インタビュー 

高岡早紀
高岡早紀

インタビュー中、さまざまな表情を見せてくれた高岡早紀。

『コトバのない冬』場面
 『コトバのない冬』
ユーロスペースほかにて全国順次公開中
(C) 2008 Laetitia,Inc.All Rights Reserved

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『コトバのない冬』場面
 『ゲキ×シネ/蜉蝣峠』
新宿バルト9ほかにて全国公開
(C) 2010 ヴィレッヂ 劇団☆新感線

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