夏帆が主演をつとめる映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が、現地時間7月28日(日本時間7月29日)にニューヨークで開催されていた第13回「ニューヨークJAPAN CUTS!〜ジャパン・カッツ!〜」で公式上映され、上映後に行われたQ&Aに夏帆をはじめ、シム・ウンギョン、箱田優子監督が登壇した。
・夏帆登壇『ブルーアワーにぶっ飛ばす』北米プレミア、その他の写真
本作は箱田監督の初監督作品。30歳の自称売れっ子CMディレクター砂田(夏帆)は、東京で日々の仕事に明け暮れながらも満ち足りた日々を送っているように見えるが、口を開けば悪態ばかりで、心は荒みきっている。ある日、病気の祖母を見舞うため、砂田の嫌いな故郷に帰ることに。着いて来たのは、砂田が困った時には必ず現れる、自由で天真爛漫な秘密の友だち・ 清浦(シム・ウンギョン)。しかし、再会した家族の前では、身に着けた理論武装は通用せず、やがて全てを剥がされ、見ようとしなかった本当の自分と向き合うことになる。
映画祭最終日のクロージングを飾った本作は、チケット販売開始から即売り切れ。開場前から受付に長蛇の列ができるほどに大盛況。Q&Aでは客席から多くの手が挙がった。
「1人ひとりのキャラクターが強いですが、どのような演出をしたのですか?」という質問に、箱田監督は「撮影期間が2週間と少なかったので、準備期間を濃く過ごしました。主人公・砂田に関しては、役を落とし込んでもらうために夏帆さんと撮影前にたくさん話しました。清浦演じるシム・ウンギョンさんにも、なぜこの役が生まれたのか、砂田にとってどのような存在なのかをしっかりと話し、2人には演じていただきました」と回答。
夏帆も「事前に箱田監督とお会いして、お互いのことをたくさん話し合いました。ちょうど1年前にニューヨークでタイミング良くウンギョンちゃんと会う機会があったので、色々お話をしました。撮影期間が短いこともあり、撮影前に役を作り上げるようにコミュニケーションをとっていきました。また、監督自身を投影している物語でもあったので、ロケハンで監督の地元・茨城へ一緒に行った時や撮影中は、監督をずっと観察していました」と明かすと、箱田監督も「ずっと見られていました。すべて見透かされている気がします」と恥ずかしそうに話し、笑いが湧き起こった。
一方、ウンギョンは「監督が話をする時間をたくさん設けてくれました。もともと俳優として勉強することを大切にしたかったので、チャンスをもらったら色々な国で活動したいと思っていました。日本映画に影響されたことはたくさんあったので、日本で仕事ができることは夢でした。本当にラッキーだと思っています。貴重な経験をもらいました。俳優として、アメリカでもいつか仕事ができればと思っています」と真摯な姿勢で語った。
「本作は砂田の主観で描かれていますが、清浦の存在が入っていることでファンタジーにもなり得る作品。砂田の心の悲しさを埋める存在として清浦がいて、当たり前のような存在だけども、自然とお互いを支え合っている。もしかしたら寂しさをはらむ物語ではありますが、誰にでも大切な存在がいるということに気づいてもらいたいというメッセージを受け取っていただければ嬉しいです」と続けた。
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』は10月11日よりテアトル新宿ほかにて全国公開となる。
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