全国各地から初雪の便りが届き始める時期となったが、陽も短く寒さも厳しくなってくるこれからは、温かな家で落ち着いた時間を過ごしたくなってくる。クリスマスやお正月も近くなってくるので、家でのひとときにカードや年賀状をしたためる人も多いのでは? 人の温もりが感じられる手紙やハガキは昔から様々な映画の小道具となることも多く、印象的な作品も多い。
・高倉健が富山刑務所で異例の舞台挨拶、心に染みる言葉に涙ぐむ受刑者も
まず思い出される名作が、岩井俊二監督の記念すべき長編デビュー作『Love Letter』。主人公・博子が亡くなった恋人に宛てて戯れに出したラブレターが、同性同名の女性のもとに誤配されたことから語られていくラブストーリー。1995年の公開当時、切ない恋の物語に胸がしめつけられたという人も多いのでは。
続いて紹介したいのが上映中のヒット作『エクスペンダブルズ2』。「アクション映画じゃないの?」と意外に思う人もいるだろうが、元オーストラリア特殊空挺連隊の凄腕スナイパー、ビリー“ザ・キッド”ティモンズが恋人に書いたものの送らずにいた手紙にまつわるエピソードは、傭兵という仕事の過酷さを物語り涙を誘う。
また、こちらも同じく上映中の高倉健の最新作『あなたへ』も、亡くなった妻から届いた絵手紙を読んだ主人公が彼女の思いを叶えるために旅立つという、手紙を軸にした物語だ。夫婦の愛と共に、主人公が旅路で出会う様々な人の人生が丁寧に描かれ感動を巻き起こす。
一方、11月23日に公開となる『カラスの親指』は、家族への愛を呼び起こす作品。借金を背負った上、心のより所としていた幼い娘を亡くしサギ師となった主人公と、ひょんなことから彼の回りに集まってきた仲間が一世一代の大勝負をしかける物語だが、そのなかで、主人公がある姉妹に送り続けた“手紙”が印象的に登場する。また、娘たちが持ち続けた“失踪した父親の手紙”も、親子の絆の深さを物語りしみじみとした余韻をもたらす。
東京に行ったきり帰らない母からの手紙を心待ちにする少女の成長を描いたのは、蒼井優の初の単独主演作『ニライカナイからの手紙』だ。毎年誕生日に届く手紙を心のより所にしてきた少女の健気さと、その手紙に込めた母の思いに涙がこみ上げるはずだ。
メールでのやりとりも楽しいけれど、行間に込められた想いまで伝わる手紙の良さはまた格別だ。たまには、とっておきのペンでお気に入りの便せんに大切な人への思いをしたためてみてはどうだろう。
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