ツイッター上を賑わわせたハッシュタグ「Oscar So white(オスカーは真っ白)」

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●アカデミー賞、2年連続で俳優部門の候補全員が白人/前編

いよいよ現地時間28日(日本時間29日)に発表が迫る第88回アカデミー賞。今年は1月14日(現地時間)のノミネート発表と同時に、俳優部門の候補全員が白人であることを中心にノミネーションが偏向していると批判の声がネット上で噴出。「Oscar So white(オスカーは真っ白)」というハッシュタグがツイッター上を賑わせた。

主演、助演を合わせた俳優部門の候補20人全員が白人というのは昨年に続いて2年連続。だが、ゴールデン・グローブ賞など前哨戦ではウィル・スミス(『コンカッション』)や『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のオスカー・アイザック(『Ex Machina』原題)、イドリス・エルバ(『ビースト・オブ・ノー・ネーション』)といったアフリカ系、ラテン系の俳優たちが主演賞、助演賞で候補になっている。2015年が必ずしも白人俳優ばかりが活躍した年ではないことは明らかであり、しかも投票権所有者がアカデミー賞とほとんど同一と言われる映画俳優組合(SAG)賞の助演男優賞を受賞したのは(数年前に「初の黒人ボンド」になるかどうかが話題になった)イドリス・エルバだった。

エルバが候補になっていないオスカー助演男優賞で本命視されているシルヴェスター・スタローンの出演作『クリード チャンプを継ぐ男』も、主演のマイケル・B・ジョーダンやライアン・クーグラー監督はノミネートされなかった。新人女優のデイジー・リドリーとアフリカ系のジョン・ボイエガのコンビが活躍した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は世界中で記録的大ヒット作となりながらも作品賞など主要部門ではノミネートされず、ラップグループ「N.W.A.」を描き、音楽関連の伝記映画としては歴代1位の全米興行収入を記録した『ストレイト・アウタ・コンプトン』もノミネートされたのは脚本賞のみ。執筆したのは白人だ。

こうした現状には、賞を主催する映画芸術科学アカデミーのシェリル・ブーン・アイザックス会長自らが「多様性に欠けていることに心が痛み、フラストレーションを感じています」とコメント、2020年までに白人男性が圧倒的多数派を占めるアカデミーの会員構成の見直しを行うと発表した。2012年時点で6000名を超えていた会員の94パーセントは白人で、平均年齢は62歳と発表されている。しかし、映画業界内からは会員構成のテコ入れよりも、マイノリティについて描く映画製作を支援する対応こそが、根本的な解決として必要だという意見も出て来ている。(後編「LGBTも差別? 白人への逆差別発言も」へ続く…)

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