前編/日本が世界に誇る傑作『AKIRA』がスクリーンに蘇った!

#映画作りの舞台裏

マンガアーツの公式サイトより
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根強い人気の『AKIRA』
上映会をクラウド・ファウンディングで開催!

『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラー、『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉弟、クエンティン・タランティーノ……名を挙げ出すとキリがないほど、世界の名だたるクリエイターが影響を受けたと言われる日本映画の傑作、それがアニメ映画『AKIRA』だ。

原作漫画は1982年に連載開始され、1988年に原作者である大友克洋が監督・脚本を手がけてアニメ映画化した。ひとことで言うとサイキックSFアクションだが、根底に流れる哲学と、ポリティカルなドラマ展開、そしてなんといってもその独自の世界観の見ごとさはひとことではとても言い尽くせないものだ。

物語が“東京オリンピック開催を翌年に控えた2019年”を舞台としており、実際に2020年の東京オリンピック開催が決定したときに、『AKIRA』の先見の明としての鋭さが話題となってニュースが駆け巡ったのも記憶に新しい。

最近では、浮上しては立ち消えとなるのを繰り返してきたハリウッドでの実写化の企画がニュースとなって注目を集めた。『インターステラー』のクリストファー・ノーランが監督を務めるのではないかという噂は、元ネタのファンとしてはこれまでで一番期待が持てるといったところではないだろうか。ハリウッド実写化の噂が何度途絶えても諦めきれないとばかりに蘇ることからも、この作品が四半世紀過ぎた今でも魅力を放ち続けていることを物語っているだろう。

そして、今回、いまなお根強い人気を誇る、この『AKIRA』の上映会が開催されたのである。11月21日にテアトル新宿にて2回、12月5日に川口スキップシティにて、全3回行われた。これまでにも『AKIRA』上映会は幾度か行われていたが、今回は現時点で2本しかないというHDCAM Master5.1ch版で画質、音質ともに非常に高いクオリティでの上映だ。さらに、12月5日には主人公・金田役の声を務めた岩田光央氏を中心としたトークショーも開催された。

主催したのは、クラウド・ファウンディングのMANGA ARTS(www.mangaarts.jp)と、アニメのランキング・サイトである、あにこれβ(www.anikore.jp)。チケットはクラウド・ファウンディングを利用して販売され、各回200名に満たないと上映中止となるところ、各回とも見事にクリアした。それどころか、あまりの売れ行きにテアトル新宿では立ち見席チケットまで発売され、こちらも完売。川口スキップシティもソールドアウトとなって、期待以上の大盛況を見せることとなった。

MANGAARTSの菅野康一氏によると、「クラウドファンディングと過去アニメ作品の共通点の可能性を目論み、募集をかけた。1クールの萌え系アニメもいいけれど、もっと骨太の劇場版アニメもあるということを多くの人に知ってほしい」との思いを上映会に込めたということだ。(中編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)

【映画作りの舞台裏】中編/日本が世界に誇る傑作『AKIRA』がスクリーンに蘇った!
【映画作りの舞台裏】後編/日本が世界に誇る傑作『AKIRA』がスクリーンに蘇った!

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