(前編)役者も音楽も、意外な組合せが魅力! 田口トモロヲ監督渾身の第3作目『ピース オブ ケイク』

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『ピース オブ ケイク』
(C)2015 ジョージ朝倉/祥伝社/「ピース オブ ケイク」製作委員会
『ピース オブ ケイク』
(C)2015 ジョージ朝倉/祥伝社/「ピース オブ ケイク」製作委員会

『アイデン&ティティ』『色即ぜねれいしょん』で映画監督としても評価の高い俳優、田口トモロヲによる監督作品第3弾『ピース オブ ケイク』が公開される。原作はジョージ朝倉が2008年まで連載した恋愛コミック。

原作に根強いファンが多く、当初は出版社も実写映画化に難色を示していたというが、かねてから田口ファンだった原作者が「田口監督が撮ってくれるなら」と快諾。25歳女子のリアルな恋愛にレンタルビデオ店や小劇団、インディーズ音楽といったサブカル的な要素が自然に絡み合った、田口監督ならではの恋愛ドラマに仕上がっている。

恋愛も仕事も流されるままにこなしてきたヒロインの志乃役に多部未華子、引っ越し先の隣人にしてバイト先のレンタルビデオ店店長の京志郎役に綾野剛、劇団の看板役者“オカマの天ちゃん”役に松坂桃李といった旬なキャストが並ぶいっぽう、過去の田口監督2作品『アイデン&ティティ』『色即ぜねれいしょん』両方に主演級で出演したミュージシャンの峯田和伸(銀杏BOYZ)や、『アイデン〜』に脚本、『色即〜』に役者として関わった宮藤官九郎がライヴハウス「阿佐ヶ谷ロフト」の店長として出演。コアな田口トモロヲファンが見てもグッとくるシーンがたくさん用意されていると思う。

それは音楽に関しても同様。『アイデン〜』『色即〜』と田口映画を手がけてきた大友良英が、本作でも的確かつムダのない音楽を提供している。連続テレビ小説『あまちゃん』のブレイクで、一気にお茶の間にまでその音楽が届くようになった大友だが、本作でもフリー・ジャズから歌謡曲にまでおよぶ該博な音楽知識を駆使して物語をバックアップ。耳の肥えた音楽ファンが見ても十分に楽しめる奥行きを作品にもたらしている。(文:伊藤隆剛/ライター)

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『ピース オブ ケイク』は9月5日より全国公開。

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