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ハリウッドを干され…どん底を乗り越え再び活躍し始めたトップスター、メル・ギブソン | 映画/DVD/海外ドラマ

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(2014年 10月 31日)

【あの人は今】ハリウッドを干され…どん底を乗り越え再び活躍し始めたトップスター、メル・ギブソン

『ハリウッドを干され…どん底を乗り越え再び活躍し始めたトップスター、メル・ギブソン』
メル・ギブソン
1956年1月3日生まれ、現在58歳
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』より/(C)EX3 Productions, Inc. All Rights Reserved.

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[ムビコレNEWS] 
恋人へのDV、人種差別発言などで
ハリウッドから追放状態に

80年代に大活躍したベテランを中心に、新旧アクション・スターが一堂に会する『エクスペンダブルズ』シリーズ。ハリソン・フォードやアントニオ・バンデラスまでもが参戦した第3作『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』で、敵役コンラッド・ストーンバンクスをつとめるのがメル・ギブソンだ。

出演料の低下で製作しやすく…ハリウッドの老スター映画が増えるワケ

『マッドマックス』と『リーサル・ウェポン』という超人気シリーズで絶大な人気を誇った彼の役どころは、エクスペンダブルズ創設メンバーの1人ながら袂を分かち、今は闇の世界で暗躍する武器商人。情け容赦ない悪役がやけに板について見えるのは、ここ数年来の私生活での行いゆえだろうか。一児をもうけた恋人へのDV、スピード違反で逮捕された際の警官に対する人種差別発言といった過ちを重ねた彼は、ハリウッドから干された状態になっていた。

12歳でアメリカから家族と移住したオーストラリアで俳優デビューし、79年に23歳で『マッドマックス』に主演、一躍スターとなったメル。アクション・スターでありながら、青い瞳が魅力的で「People」誌から「最もセクシーな男性」に選ばれたこともある。看護師だった妻との間に7人の子どもをもうけた彼には、敬けんなカトリック教徒のよき家庭人のイメージがあった。

監督としても才能を発揮

オーストラリア国立演劇学院に学び、アクションだけに留まらずシリアスなドラマやコメディまで、ジャンルを問わずに活躍する演技派だった彼は、90年代に入って映画監督として活動し始めた。1993年、37歳で第1作『顔のない天使』を主演も兼ねて撮っている。第2作『ブレイブハート』はスコットランド独立を求めて戦った13世紀の実在人物、ウィリアム・ウォレスを描く約3時間の大作。第68回アカデミー賞で作品賞、監督賞など5冠に輝いた。

その後しばらく俳優として、ハリウッド大作に出演し続けたのは、2004年の監督第3作『パッション』を撮るためだった。イエス・キリストが磔になるまでの12時間を克明に、全編アラム語とラテン語の台詞で描く問題作製作のためにメルは私財をつぎ込んだ。妥協なしの過激な描写に反ユダヤ的との批判も高まり、世界中で大論争を巻き起こしたが、それゆえにヒット作にもなった。

そして06年に古代マヤ文明の世界を舞台にした『アポカリプト』を撮る。正視できない凄惨な暴力描写はさらにエスカレート。同時に私生活でのトラブルがメディアを賑わすようになり、出演予定だった『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える』を降ろされるなど、不遇の時代が始まった。そんな時、彼に救いの手を差し伸べたのはかつての共演者たちだ。監督作『それでも、愛してる』の主演に起用したのは、『マーヴェリック』(94年)で共演したジョディ・フォスター。彼女が人工授精でもうけた息子の父親という説があるほど、2人は親しい。優れた演技者であり監督である者同士、部外者にはわからない親和があるのだろう。

友人たちは決して彼を見捨てない

そして『エア★アメリカ』(90年)で共演したロバート・ダウニーJr.は2011年、アメリカン・シネマテーク賞で表彰された際に、プレゼンター役をメルに依頼した。ロバートが薬物依存で何度も逮捕され、身体的にもキャリア的にもボロボロになっていた時期に、「希望を捨てるな」と励まし、自分が主演予定だった出演作を彼に譲ったのがメルだったのだ。受賞スピーチをメルへの言及に費やしたロバートは、メルからかけられた言葉を披露した。

「自分の過ちに対する責任を認め、魂に醜い部分があると受けいれることを“サボテンを抱きしめる”と彼は表現した。サボテンを十分に抱きしめたら、一人前になれる、と言ってくれた」。当時メルが見返りに求めたのは「いつか困っている人に出会ったら助ける」ことだという。まさにその機会が訪れ、ロバートは集まった業界の人々に「もう十分サボテンを抱きしめたのだから」とメルを許してほしいと訴えた。そればかりか、『アイアンマン』シリーズ4作目についても「メル・ギブソンが監督なら出演する」とまで言っている。

頑迷ともとれる極端な言動で大きな批判にさらされるが、心の通じた友人たちは彼を決して見捨てない。映画監督としては、北野武が黒澤明やクリント・イーストウッド、マーティン・スコセッシと並んでその才能を賞賛する1人でもある。胸にサボテンの棘を刺したまま、孤高の天才は再び歩み始めた。(文:冨永由紀/映画ライター)

『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』は11月1日より公開。

冨永由紀(とみなが・ゆき)
幼少期を東京とパリで過ごし、日本の大学卒業後はパリに留学。毎日映画を見て過ごす。帰国後、映画雑誌編集部を経てフリーに。雑誌「婦人画報」「FLIX」、Web媒体などでレビュー、インタビューを執筆。好きな映画や俳優がしょっちゅう変わる浮気性。

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