【映画興収レポート/5月】『アナ雪』効果か、『コナン』『しんちゃん』が最高興収

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『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
(C) 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014
『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
(C) 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014

4月下旬〜5月公開作の興行成績をまとめた。5月に入っても好調なのは『アナと雪の女王』だ。4月27日時点での興収は121億円だったが、5月25日時点で198億円。翌26日に200億円を超え、29日には203.7億円を突破。この1ヵ月で売り上げた興収は82億円にのぼり、『もののけ姫』(193億円)や『ハウルの動く城』(196億円)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(203億円)を上回って歴代興行成績3位になる。2位『タイタニック』(262億円)にどこまで迫れるかが注目点だ(1位は『千と千尋の神隠し』の304億円)。

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5月24、25日の週末は約7億円を稼ぎ、全国週末動員ランキングで10回目の1位。前週比86.8%で、公開から2ヵ月以上を経ても落ちが少ない興行を展開している。4月26日から「3D吹き替え版」「みんなで歌おう歌詞付版(2D字幕・吹き替え)」がスタート。5月3日には日本語吹き替え版を含むサントラCDが発売され、ゴールデンウィーク中に『アナ』大ヒットのニュースを改めてテレビの情報番組が取り上げたり、主題歌を歌うMay Jが歌番組に出演したことなどで、話題性が途切れず動員が引き続き伸びた。

ちなみに世界各国の興収を見ると、米国が4億ドルで1位だが、続くのは日本で2億ドル(1ドル=100円換算)。3位が韓国で7670万ドル。本国・米国で人気なのは当然だとして、世界的に『アナ』人気が日本で突出している。

さて、5月公開作の1位は『テルマエ・ロマエII』の38億円。公開後30日間の興収を前作(最終59.8億円)と比較すると90%で、『アナ』の影響はあまり感じられない。阿部寛をはじめとする“濃い顔”のキャストが古代ローマ人を演じ、薄い顔のキャストを「平たい顔族」として配置するギャップの面白さが、前作に続き好評だったようだ。SF映画『ターミネーター2』の予告編をパロディ化したテレビCMや、「HOME’S」「レヴール」とのタイアップCMなども動員増に貢献した。

2位は『アメイジング・スパイダーマン2』の28億円。公開後30日間の興収を前作(31.6億円)と比較するとほぼ同じで、こちらも『アナ』の影響を感じさせない。両親不在の謎が徐々に明かされたり、悪役が3人に増えてスパイダーマンがピンチに陥るなど、前作より展開が早くなったストーリーと、スケールアップしたアクションが観客を引き付けたようだ。今年は『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』とアメコミヒーロー映画が相次いで公開されたが、興収は10億円に届かず伸び悩んでいる。スパイダーマンは例外だったようだ。

3位は『相棒−劇場版III− 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』の19億円。公開後30日間の興収を前作(31.8億円)と比較すると73%で、こちらは『アナ』の影響があったようだ。1作目が44.4億円、2作目が31.8億円と回を重ねるごとに興収を下げており、3作目ということでファンの飽きが出ているともいえる。

なお『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』は5月25日時点で38億円。シリーズ最高を記録した昨年の『絶海の探偵』(36.3億円)を上回り、新記録樹立となった。また『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』は16億円で、2007年の15.5億円を上回り、2000年以降ではシリーズ最高を記録した。『アナ』効果でシネコンを訪れるファミリー客が増え、両作品を見る観客も増えたようだ。(文:相良智弘/フリーライター)

[4月下旬〜5月公開作ランキング]
1位 『テルマエ・ロマエII』38億
2位 『アメイジング・スパイダーマン2』28億
3位 『相棒−劇場版III− 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』19億
5月25日時点。ムビコレ調べ

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