貧しい12歳少年が、自らの両親を「僕を産んだ罪」で訴える

#存在のない子供たち#ナディーン・ラバキー

(C)2018MoozFilms
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ナディーン・ラバキー監督

12歳の少年が自らの両親を訴える、センセーショナルな内容が話題の映画『存在のない子供たち』の特別予告編が解禁となった。

映画『存在のない子供たち』 その他の写真

本作は、わずか12歳で自分の両親を「僕を産んだ罪」で訴えたゼイン少年の物語。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らない上に、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされている。そんな中、唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、さらに過酷な現実だった。

今回解禁となった特別予告編でも、ゼインが「両親を訴えたい、僕を産んだ罪で」と力強いまなざしで語るシーンから始まる。「学校へ行きたい? 働かないと妹たちが飢え死ぬぞ」と大人から諭される少年は、過酷な環境の中幼子を抱き「大人たちに言いたい」と自らの痛切な思いを語っている。

苛烈なまでの中東の貧困と移民の問題にひるむことなく果敢に挑んだ監督は、レバノンで生まれ育ったナディーン・ラバキー。監督・脚本・主演を務めたデビュー作『キャラメル』がいきなりカンヌ国際映画祭の監督週間で上映された逸材だ。本作はリサーチ期間に3年を費やし、監督が目撃し経験したことを盛り込んでフィクションに仕上げた。主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、演じる役柄によく似た境遇にある素人を集めた。感情をありのままに出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出するという手法をとった結果、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる“物語の強さ”を見る者の心に深く刻み込む。

また、ラバキー監督の初来日が7月上旬に決定。2008年に開催された第21回東京国際映画祭での『キャラメル』の上映から11年越しの来日となる。監督は初来日に際して「この映画は12歳の少年ゼインが体験する旅を描いています。この映画を通して少しでも現在の状況をみんなに知ってもらいたい。たとえ何かを変えることが出来なくても話し合いや考えるきっかけになるはず。私は映画の力を信じています。日本に行くのを楽しみにしています」とのコメントを寄せている。

『存在のない子供たち』は7月よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開となる。