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ディストピアからユートピアへの鮮やかな転調、その爽快感を体験して! | 映画/DVD/海外ドラマ

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(2018年 10月 12日)

【映画を聴く】ディストピアからユートピアへの鮮やかな転調、その爽快感を体験して!

『ディストピアからユートピアへの鮮やかな転調、その爽快感を体験して!』
『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』
(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会

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[ムビコレNEWS] 
…前編「HYDE、あいみょん、橋本絵莉子、安部勇磨…適材適所の作家を起用!」より続く

【映画を聴く】『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』後編

本作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の世界では、“声帯ドーピング”により驚異的な歌声を得たシンこそが絶対的に“アリ”で、ふうかのように声の小さなシンガーはほぼ“ナシ”とされる。もちろん現実の大衆音楽はそこまで二元論的ではないし、そもそもふうかのようなウィスパー系シンガーが自分の音楽のアウトプット方法として路上ライヴを選ぶとも思えないが、“ナシ”の音楽も先述のように豪華な布陣でしっかり作り込まれているところに三木聡監督や本作の音楽プロデューサーである西條善嗣のニュートラルな視点が感じられて嬉しい。

騒音は、大気汚染に次ぐ重大な公害! 騒音に満ちた現代社会を生き抜く方法を探求する

中でもふうかの在籍するバンド“君のいる風景”のオリジナル曲「夏風邪が治らなくて」は、現在ブレイク中のnever young beachの安部勇磨が書き下ろした楽曲で、1分半の小品ながらシンの「人類滅亡の歓び」とは対照的なふうかの個性を浮かび上がらせる。ふうかがソロで弾き語る「まだ死にたくない」「ゆめのな」も同様。元チャットモンチーの橋本絵莉子による両曲は、どちらも一筆書きのラフスケッチのように素朴だが、ふうかのキャラクター造形になくてはならないパーツとなっている。

とはいえ、本作の重要曲を1曲だけ選ぶとしたら、やはりエンディングで鳴らされる「体の芯からまだ燃えているんだ」ということになるだろう。詞曲を手がけたあいみょんは1995年生まれの23歳。尾崎豊から小沢健二まで幅広いアーティストからの影響を独自性の高い自作曲に昇華することで、コアな音楽ファンからも高い支持を得ているシンガー・ソングライターだ。

ネタバレ厳禁のため詳しくは書けないが、この曲には本作の終盤にやってくる“継承”や“融合”を一手に引き受ける度量があり、すべてのエピソードは最後にこの曲を鳴らすための前振りにすぎないとさえ思える。ディストピア的な「人類滅亡の歓び」からユートピア的な「体の芯からまだ燃えているんだ」への鮮やかな転調。その瞬間の爽快感を、ぜひとも劇場で体験していただきたい。(文:伊藤隆剛/音楽&映画ライター)

『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』は10月12日より公開順次公開中。

伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
出版社、広告制作会社を経て、2013年に独立。音楽、映画、オーディオ、デジタルガジェットの話題を中心に、専門誌やオンラインメディアに多数寄稿。取材と構成を担当した澤野由明『澤野工房物語〜下駄屋が始めたジャズ・レーベル、大阪・新世界から世界へ』(DU BOOKS刊)が刊行されたばかり。






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