世界が認める川井憲次、仕事が早くて完璧!なスゴ腕に驚かされる

#映画を聴く

『ゴースト・イン・ザ・シェル』『バイオハザード:ヴェンデッタ』と話題作が目白押しの音楽監督・川井憲次
『ゴースト・イン・ザ・シェル』『バイオハザード:ヴェンデッタ』と話題作が目白押しの音楽監督・川井憲次

…前編「マイク・タイソンが大暴れ! 宇宙最強男とのアクションシーンは屈指の出来映え」より続く

【映画を聴く】『イップ・マン 継承』後編
『ゴースト・イン・ザ・シェル』にも楽曲を提供

映画音楽だけでなく、テレビアニメやOVA、ドラマ、ゲームなど、幅広いジャンルで活躍する川井憲次。あまりに作風が幅広く変幻自在なため、本人の作家性を「こういう感じ」と特定することは難しい。いわゆる職人タイプの音楽家であり、あくまでも素材(映像)ありきのサウンド・メイキングを得意としている。

詳しくは本稿と同じタイミングでアップされている川井憲次へのインタビュー記事をご参照いただきたいが、“イップ・マン”シリーズに関わることになったきっかけは『セブンソード』の公開記念パーティがベネチアで行なわれた際、ドニー・イェンからウィルソン・イップ監督を紹介され、『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』を担当した流れだという。

『かちこみ!〜』から数えて4作目となるイップ監督との共同作業。すでにお互いのことを熟知した間柄であるため、制作にあたって監督と改めて打ち合わせするようなことはなかったそうだが、前編で触れた通り、本作ではイップ・マンの人間性や妻への愛情にクローズアップしているということで、自然と音楽もメロウでドラマティックなものの比重が多くなったとか。

ひじょうに多作で、なおかつ制作スピードが速いことで知られる川井だが、本作では約1ヵ月の制作期間で30曲近いスコアを書き上げている。生のコーラスをフィーチャーしたオーガニックな楽曲から、ファイト・シーンに映えるソリッドなギター・サウンド、重厚なストリングス曲まで、楽曲の振り幅もいつものように広く、そのマルチぶりに改めて驚かされる。

先述の『ゴースト・イン・ザ・シェル』のほか、5月公開の『バイオハザード:ヴェンデッタ』、今年公開の中国映画など、その担当作品が今後もいくつか控えており、世界中の映画ファンにその才能が知られることになりそうだ。(文:伊藤隆剛/ライター)

『イップ・マン 継承』は4月22日より全国順次公開中。

伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの 趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラ の青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる 記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。

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