巣ごもり時代を迎え、スマホ&イヤホンでなく、家で音楽を聞く機会も増えたことだろう。ここでは、お気に入りのCDをいい音で楽しみたいと思い立った人に向けて、「CDプレーヤー選びから始める、タイプ別機器選び」を考えてみたい。

・AVアンプ“3つの潮流”が新製品から明らかに。アナタならどのタイプ?

「ちゃんとCDが聞きたい」ならCD再生専用機。ただし予算は青天井

一通りオーディオを経験してきた人で、CDプレーヤーが壊れたり、久しぶりに手持ちのCDをきちんと聞き直したいという方は、一点集中で予算をCDプレーヤーにつぎ込んだら良い。ハイレゾファイルやストリーミングが普及して、CD再生にこだわったメカ自体の供給が危ぶまれている昨今、質の良いCDプレーヤーを新品で購入できるチャンスはあと僅かだからだ。ただ、もはやめぼしいのは真面目に作り続けている国内メーカーのモデルばかりという状況になっている。

CDプレーヤー

DENON DCD-A110

今年登場した本格的なSACD/CDプレーヤーはというと、基本的なディスク再生機能に特化して高品位を実現したデノンの110周年記念モデルDCD-A110(¥280,000/税抜)のほかは、USBで繋いでPCオーディオの再生もできるアキュフェーズのDP-570(¥650,000/税別)や、エソテリックのK-01XD(¥1,750,000/税別)やK-03XD(¥1,100,000/税別)、昨年末発売ながら人気のトップモデル、ラックスマンD-10X(¥1,200,000/税別)などマニア向けの高級機になってしまう。

「バランス志向」でインテリア性と充実機能を装備。20万円台後半のプレーヤー

このタイミングでCDプレーヤーにそんなに投資できないという方も多いだろう。しかし、単体のネットワークプレーヤーと同じ価格で、それに負けない音質のCDプレーヤーを選ぶのは存外難しい。

その意味で、今年の新製品の中で、費用対効果を考えるとウェルバランスといえそうなもののひとつが、20万円台でネットワークオーディオと同じくCDも高音質で楽めるマランツのSACD30n(¥270,000/税別)だろう。

CDプレーヤー

MARANTZ SACD30n

このモデルは、USBを使ったPCオーディオやネットワークオーディオのみならず、SACD/CDも、回路上、同等品質になるように設計されている(同社オリジナルDACの直前で、全デジタルソース共通に高品位のリ・クロック処理)。また、CD再生時には、ネットワーク再生に使う回路部分をOFFにしてノイズを防ぐ機能を持つ。いわば“CD専用機”になるのだ(逆にネットワーク再生時にはCD回路をシャットアウトできる)。加えて、湾曲したフロントパネルに施されたメッシュ柄がライトONで浮かび上がる仕掛けは、インテリア志向のリビング空間にもマッチする。

実はこの20万円台後半という価格帯は、CDプレーヤー激戦区。先ほどのDCD-A110やこのSACD30nの外にも有力な候補が多い。

USBを使ったPCオーディオのほか、CDと互換性がありながらハイレゾ収録が可能とされるフォーマットMQAもサポートするパイオニアのPD-50AE(¥252,728/税別)が発売。昨年のモデルだが同等のものとしてラックスマンD-03X(¥268,000/税別)、加えてネットワークプレーヤーとしての機能も持ったテクニクスのSL-G700(¥280,000/税抜)などがある。

また、再生機器がひとつである以上、ネットワークオーディオを再生しても、CDを再生しても、同じような音の傾向になる。また、どのモデルを選んでも、メーカーごとの個性はあるが、解像度、立体的空間表現、低音の抜け、僅かな華やかさといった要素を持ち合わせた現代的な音作りである。

CDプレーヤー

Technics SL-G700

この“なんとか手が届きそう”な20万円台の製品は、これからCDプレーヤーを新品で購入し、愛蔵盤のCDを手許に置きながら、今後に向けて高品位なネットワーク再生も実現したい人にとって後悔しない選択肢といえるだろう。

「できるだけシンプルに」→プレーヤー+アクティブスピーカーという選択

とはいえ、以上に挙げたのはあくまでプレーヤー=再生機器。アンプがなければスピーカーを駆動できない。だが、これ以上ハコ形の機器をリビングに置きたくないという家庭もあるだろう。その点、ソースの「入口」であるCD&ネットワークプレーヤーと、「出口」である(アンプ内蔵)スピーカーという最低限の構成で済ませることができればシンプルだし、ひとつひとつの機器に予算を掛けられる。

たとえば、先に挙げたマランツの新製品SACD30nは、リアパネルに「VARIABLE(可変出力)」を持っている。これを好みのアクティブスピーカーに繋げば、CDもネットワークオーディオも、オーディオグレードで再生できるシステムになる。オリジナルのアプリも用意されており、タブレット端末からボリュウム操作も可能だ。

CDプレーヤー

マランツアプリの操作画面「ライン出力レベル」=可変出力を選べばアプリからボリュウム調整可能

同様の使い方は、先に挙げたCD&ネットワークプレーヤーのテクニクスSL-G700も対応している。

アクティブスピーカーは、ヨーロッパではすでに主流とも言えるほどボリュウムゾーンとなっており、日本にも早晩普及してくるだろう。これに自分の聞きたいソース機器を直接繋ぐというシンプルで合理的な方法もあることを念頭に、プレーヤー選びをするのも有効だと思う。(文:fy7d)

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