性的暴行疑惑のケヴィン・スペイシー、無罪判決 涙ながらに陪審員たちに感謝の言葉述べる

##MeToo#ケヴィン・スペイシー#裁判

ケヴィン・スペイシーについて報じるThe Guardianウェブ版
ケヴィン・スペイシーについて報じるThe Guardianウェブ版

2001年〜2013年にかけ4人の男性に性的暴行を加えたとして追訴されていた

ケヴィン・スペイシーが26日(現地時間)、ロンドンの裁判所で性的暴行などの罪で訴追された件について、無罪評決を言い渡された。

・未成年含む性的暴行めぐる降板でケヴィン・スペイシーに35億円の損害賠償命令

スペイシーは2001年から2013年にかけて4人の男性に対して7件の性的暴行、2件の同意なしの性的行為を加えたとして訴追されていたが、ロンドンのサザーク刑事法院で4週間の裁判の後、陪審団は無罪評決を言い渡し、奇しくも同日が64歳の誕生日だったスペイシーは評決を聞くと、胸に手を当てて涙を流し、陪審員たちにむかって「ありがとう、ありがとう」と涙ながらに感謝を述べた。

サウス・ロンドンの裁判所の外で、スペイシーは涙ぐみながらコメントし、評決に達した陪審員たちに感謝を述べた。

「今日起きたことが、私にとって消化するには多くのものがあると大半の皆さんに理解していただけると思います」、「陪審員たちの方々に非常に感謝していることをお伝えしたいです。判決に至るまで、すべての証拠とすべての事実を時間をかけて慎重に検証してくださいました。そして、今日の結果を謙虚に受け止めています」。

裁判所の外にはファンが集まり、彼がタクシーに乗り込む際に「私たちはあなたを愛してます、ケヴィン」と叫んだ。

スペイシーは2004年から2013年にかけて、20代から30代の男性4人に対する9件の性犯罪で無罪となった。

法廷でスペイシーは容疑を否認し、自分に対する疑惑は「狂気」、「全くのでたらめ」、「背中から刺された」と主張した。そして被害を訴えた男性たちは金銭的な動機があったとして、そのうちの1人については「金、金、そして金」を目的としていたと訴えた。

検察側は、スペイシーが自身の名声と権力を悪用して告訴人たちを性的に虐待していたと訴えたが、陪審員たちは、スペイシーが3人の男性の股間を“乱暴に”つかみ、俳優志望の男性が彼のアパートで眠っていた時に性行為を行ったという検察の主張を退けた。

スペイシーは、運転手と俳優志望の男性とは合意の上で性的関係を持ち、コッツウォルズでのパーティで男性を“不器用に口説いた”可能性があると述べる一方、証言の際は著名人との交流も語り、エルトン・ジョンが主催したチャリティ・オークションで「史上最高額のミニ・クーパー」を購入したエピソードなどを披露。ジョンと夫のデヴィッド・ファーニッシュは弁護側の証人として呼ばれた。

スペイシーは2017年、俳優のアンソニー・ラップから「14歳の時に性的暴行を受けた」と告発され、当時主演していたTVシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を降板させられ、撮り終えていた主演作『ゲティ家の身代金』は彼の出演シーンを全てカットし、クリストファー・プラマーを代役に再撮影を行った。

その後もスペイシーからの性的暴行被害を訴える男性は続々と名乗り出たが、そのうちの1人で2016年に被害にあったと訴えた匿名のマッサージ・セラピストは裁判を前に20199月に死亡、訴訟は取り下げられた。その3ヵ月後には2007年のノーベル平和賞授賞式コンサートでスペイシーに下半身を触られたと告発したノルウェーの作家で同国王女の元夫のアリ・ベーン氏が自殺した。

スペイシーは2017年以降は、告発以前に撮影していた『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』(18年)以外は俳優としての活動は休止を余儀なくされているが、2021年にイタリア映画でフランコ・ネロ監督・主演の『L’uomo che disegno Dio(原題)』に出演、8月にアメリカで公開予定のインディーズ映画『Peter Five Eight(原題)』に主演するなど、徐々に仕事を再開している。

・[動画]ケヴィン・スペイシーのセクハラ問題降板から怒涛の再撮影問題をまとめた特別映像/映画『ゲティ家の身代金』

INTERVIEW