渡辺大

若手演技派が語った映画への思いと父からの言葉

 

『彼岸島』渡辺大インタビュー

映画『彼岸島』渡辺大インタビュー

 

僕自身はデキの悪い兄だと思ってます

  • 累計420万部を突破した松本光司の人気マンガ『彼岸島』。日本のみならず、韓国、台湾、タイなどアジア各国をも席巻し、フランスでも出版されているこの作品が、ついに映画化された!

    監督は、韓国の鬼才キム・テギュン。『ごくせん』シリーズでも人気を博す石黒英雄が主演し、その周りを渡辺大、水川あさみ、山本耕史ら若手演技派が固め、壮絶なサバイバル映像が展開していく。

    行方不明となった兄を捜しに、絶海の孤島にやってきた主人公と仲間たち。彼らが体験する地獄絵図をスタイリッシュに描いたこのアクション映画で、主人公の兄を演じた渡辺に『彼岸島』について、そして仕事への思いなどについて語ってもらった。

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  • ──原作は前からご存じでしたか?
  • 渡辺:知ってはいたのですが、最近は新しい作品に手を伸ばしていなかったので、読んだことはありませんでした。でも、出演のお話をいただいて読んでみたら、一気にハマってしまいました(笑)。
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  • ──魔物に支配された絶海の孤島を舞台にした作品で、血みどろの壮絶なシーンもあります。撮影中に怪奇現象などが起きたりはしませんでしたか?
  • 渡辺:撮影場所の1つである八丈島は、流刑の地でもあったせいか「見えた」人もいたようです。一度、山の中で夜間撮影をしていたときに、雨で照明がダウンしちゃったことがあります。その辺りは盛り塩がしてあったりするような場所で、怪現象がよく起きる所だったそうです。
     恐いとは思いませんでしたが、昔、刑場だった場所でも撮ったりしたので、畏れ敬う気持ちを持ちながら、撮影に臨んでいました。
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  • ──監督は韓国の方ですが、どんな風にコミュニケーションをとっていたのでしょうか。
  • 渡辺:海外の監督とのお仕事は初めてで、撮影前から簡単な英語で話したりして、コミュニケーションを深めていきました。
     撮影中は、お互い覚えたての日本語や韓国語を使って日常の軽いコミュニケーションなどをとっていたのですが、さすがに撮影時の重要な部分では、通訳を通じて意志疎通しました(笑)。でも、言葉はつたなくても、直接、韓国語や日本語でコミュニケーションをとったりしていると、ニュアンスがつかめたりするし、互いのことが分かってくるんですよね。
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  • ──海外の監督とまたお仕事してみたいですか?
  • 渡辺:ええ、してみたいですね。
     色彩感覚など、国によって感覚が違う部分があると思うのですが、今回もそれがいい刺激になり、学ぶべきところがたくさんありました。今回は韓国の方でしたが、中国やアメリカ、フランス……いろいろな国の監督と仕事をしてみたいです。
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  • ──この人と仕事をしてみたい!と思う海外の監督は誰ですか?
  • 渡辺:まずはウォシャウスキー兄弟ですね。『マトリックス』がすごく好きで、あの映像には圧倒されましたから。それから、『ソウ』のジェームズ・ワン監督。衝撃を受けた作品でもあるのですが、ああいう感性って、日本ではなかなかないような気がするので。
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  • ──本作では兄弟の絆も大きなテーマのひとつです。渡辺さんご自身は男兄弟ではなく妹さん(女優の杏)がいらっしゃるわけですが、男兄弟が欲しいと思ったりしたことはありますか?
  • 渡辺:多少ありますね。やっぱり、妹だと本気で殴り合うようなケンカはできないので。全力でぶつかれる兄弟が欲しいと思ったことはあります。
     だから、今回は弟ができたみたいで楽しかったですね。弟がいたらこういう感じなんだろうなって(笑)。
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  • ──演じられた篤という役は、優しくて強くて賢い「立派な兄」という設定ですが、ご自身との共通点は?
  • 渡辺:一番最初に生まれたことくらいです(笑)。デキの悪い兄だと思ってますから。
     ただ正直な話、長兄としてふるまわないといけないと、無意識に思っている部分はありますね。いい大人なので、今さら「お兄ちゃんなんだから」って言われることはないんですけど(笑)、兄としてしっかりしていなければいけないんじゃないかと、そう思っている部分があります。
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  • ──撮影は大変でしたか? 弟役の石黒英雄さんとの共演についても教えてください。
  • 渡辺:大変でしたね(笑)。男同士、これ以上、プライバシーのない撮影はないだろうというくらいでした。八丈島の撮影では英雄と僕とが一緒の部屋で、さすがにダブルではなくツインだったのですが、10日ほど共同生活をして、絆も深まりました。
     でも、八丈島は部屋も結構広めだったので余裕もあったのですが、友ヶ島での撮影は、共同生活というよりも収監されているみたいでした(笑)。狭い場所に、英雄と僕と、弓削くん(弓削智久)も加わって、3人で10日以上いたので、ムショ仲間みたいな感じでした。
     絆も深まって、みんないろいろな面が見れて面白かったですよ。共同生活も極限まで行くと、きれいゴトは言えなくなってきますから(笑)。
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  • ──俳優を目指したきっかけは?
  • 渡辺:高校生のときに、父親(渡辺謙)が主演していたドラマ(「壬生義士伝〜新撰組で一番強かった男〜」)に主人公の少年時代の話があり、「やってみるか」という感じでトライしたのがきっかけです。そのときは「学校も休めるし」みたいな軽いノリで引き受けたのですが、予想以上に面白くて。と同時に、やり残したことがあったようにも感じて、悔しくて……。やるんならトコトンやろう、と。
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  • ──お父様は反対しませんでしたか?
  • 渡辺:反対も賛成もしませんでした。ただ、「しんどいよ」とは言われました。それから、「やるからにはちゃんとやれよ」と。
     でも最近、父親から「大学まで行ったんだから、普通に就職するもんだと思っていた」と言われましたけど(笑)。
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  • ──今後の抱負を教えてください。また、製作や監督という仕事には興味がありますか?
  • 渡辺:役者として目指すのは、いただいた役を1つひとつありがたく頂戴し、真摯に取り組んでいくということです。これは僕の信念ですね。
     役者以外については、いずれ、チャンスがあってタイミングが合えば、演出もやってみたいですね。最近は監督の演出を見るのがすごく楽しくなっていて、頑張って、いずれはそういうことにも挑戦したいと思っています。
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(10/01/07)

映画『彼岸島』渡辺大インタビュー

わたなべ・だい
1984年生まれ、東京都出身。2001年にドラマ「壬生義士伝〜新撰組で一番強かった男〜」で俳優デビュー。その後NHK大河ドラマ『武蔵』(03)『功名が辻』(06)にも出演し注目を浴びる。03年『ぷりてぃ・ウーマン』で映画デビュー、08年に『ラストゲーム 最後の早慶戦』で初主演。ほかに『男たちの大和/YAMATO』(05)『クローズZERO』(09)などに出演。

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映画『彼岸島』渡辺大インタビュー

 撮影中の様子。右から3人目が渡辺大

 

 

映画『彼岸島』渡辺大インタビュー 

 『彼岸島』
2010年1月9日より新宿バルト9ほかにて全国公開

(C) 2010 松本光司/講談社・「彼岸島」フィルムパートナーズ
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