出演しているのはすべて私のCGキャラ
それでも、あれは自分だって思えるの
- 『タイタニック』以来、12年ぶりにメガホンを取ったジェームズ・キャメロン監督の新作『アバター』は、22世紀の未来に、地球から5光年離れた衛星パンドラで、環境破壊などを気にすることなく、莫大な資産をもたらす鉱物の採掘を行おうとする人類の姿を描いたSFファンタジー・アクション。この映画で、ヒロインであり、パンドラの先住民であるナヴィ族の娘ネイティリを演じているのがゾーイ・サルダナだ。
2000年に『センターステージ』で映画デビュー。その後、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(03年)、『ターミナル』(04年)など、確実にキャリアを積み重ねて来たゾーイ。今年はJ.J.エイブラムス監督の『スター・トレック』でウフーラ役を演じて話題を集めた。
そんなゾーイに監督のキャメロンのこと。そして、自身が演じたCGで作られたネイティリというキャラクターへの思いなどを尋ねてみた。
[動画]ゾーイ・サルダナのインタビュー動画
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- ──今年は、『スター・トレック』でJ.J.エイブラムス、『アバター』でジェームズ・キャメロンと、ハリウッドを代表する2人の監督とお仕事をされました。2人の共通点などがあれば教えてください。
- ゾーイ:両監督には、本当に素晴らしい体験をさせていただきました。2人はとても共通点が多い監督で、その1つが、ベストを尽くすこと。一緒に仕事をしていると、常にベストを要求されるんです。また2人とも、ディテールに対するこだわりも素晴らしい。そして、もっとも大きな共通点が、魅力的な女性の役を描ける監督である点です。
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- ──今回演じたのは、パンドラという星の先住民であるナヴィ族の娘ネイティリという役。異星人を演じるために、どのような役作りをしたのでしょう?
- ゾーイ:肉体を鍛えることを要求される役だったので、これまでの経験の中でも、もっともチャレンジ精神を必要としました。また、肉体だけでなく、精神的にも鍛える必要がありました。というのも、ずっと撮影しっぱなしというわけではありませんが、撮影期間が1年半と、とても長かったからです。
肉体面では(ネイティリも戦いに参加するため)、武術や馬術、アーチェリーも訓練しました。また、ナヴィ族が話す言葉も学んだし、独特な動きがあるため、その動きを、シルク・ドゥ・ソレイユの方を迎えて教わりました。こうした訓練は私だけでなく、ナヴィ人を演じた俳優すべてが体験しました。実際に撮影に入るまでに6か月間かけ、こうした準備をしたわけです。ですが、その間、私は毎日ハッピーでした。なぜなら、私は自分を「“ミニ”ジェームズ・キャメロン」と呼ぶくらい、仕事仕事という状況が大好きなんです。
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- ──撮影や訓練中には、どんな食事を?
- ゾーイ:訓練は1週間のうち6日間ほど、毎日6〜7時間も行われたので、非常に高カロリーの食事が必要だったんです。だから、そのときは、とても嬉しかったですね(笑)。
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- ──先ほど、ナヴィ族が話す言葉を学んだと仰っていましたが、今回、その言葉は、すべてキャメロンが考えて作ったと聞いています。覚えるのは大変でしたか?
- ゾーイ:確かに、とても大変でした。なぜなら、あの言葉はまったく新しいもので、実在しない言語。それをキャメロンは、ゼロから言語学者と一緒に作り上げていったんです。ただ、この言葉を取得するよりも、もっと難しことがありました。それはナヴィ語を母国語とするネイティリが、ナヴィ語のアクセントで英語を話すこと。一番難しかったですね。
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- ──この映画でゾーイさんが演じているネイティリ役は、全シーンが(俳優の動きをコンピューターに取り込む)パフォーマンス・キャプチャーという技術によって作られたCGキャラクターになります。演じていて「これが私?」と思ったことはありませんか?
- ゾーイ:確かに姿形は私とは異なります。でも、見栄とか虚栄心とか、そうしたものを一旦、捨ててから目を向けると、ネイティリには私の演技がそのまま反映されているって思えるんです。全身全霊を込めて演じているので、鼻の穴の膨らませ方といった細かなことから、話し方、戦い方、飛び方、弓矢の使い方、それらはすべて私が演じたものであり、例えブルーの肌をしていても、あれは本当に私だって思えるんです。とても奇妙な感覚でした。
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- ──女優として仕事をする上で大切にしていることと、女性としてプライベートで大切にしていることを教えてください。
- ゾーイ:女優としてはストーリー、伝える物語がもっとも大切だと思っています。いかにヘアメイクや衣装が完璧でも、クルマが大爆発するようなハデなアクションシーンがあろうとも、キャラクターとストーリーが未完成では、ただフワフワと要素が浮いているだけで何も伝わらない。ストーリーが要素と要素を結びつけてくれるので、だからこそストーリーが大切なんです。
また、個人的に大切にしているのは“人”ですね。女優として常に人を観察していますし、そこからいろいろなインスピレーションを受けることも少なくありません。ただ座って人を観察しているだけで、そこで見ていた経験を自分が演じる役に反映させることもあります。
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- ──『アバター』では、主人公のジェイクが人間で、ゾーイさんが演じるのはパンドラの先住民ナヴィ族の娘。2人は恋に落ちますが、同時に敵対関係にあります。もし、ゾーイさんが、この映画の役のように許されざる恋に落ちてしまったら、どうするのでしょう?
- ゾーイ:私とネイティリという役には、とても共通点が多く見られるんです。なので、私も許されない恋に陥ってる状況にあったなら、きっと、恋のために戦うと思います。私はそういう風に育てられてきたのだと、そう思っているんです。
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(09/12/23)
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Zoe Saldana
1978年、アメリカ生まれ。幼いときからバレエやダンスを学ぶ。映画デビューは2000年の『センターステージ』。以降、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(03)などに出演。スピルバーグ監督作『ターミナル』(04)ではムービーライン誌からヤング・ハリウッド・ワン・トゥ・ウォッチ賞を贈られる。09年に『スター・トレック』と『アバター』で大ブレイク中。



東京国際映画祭でキュートな赤いミニスカドレス姿でグリーンカーペットを歩くゾーイ・サルダナ。
『アバター』より。パンドラの住人と同じ外見のアバターになっているジェイク(右)と、ゾーイ・サルダナ演じるネイティリ(左)

『アバター』
2009年12月23日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国拡大公開
(C) 2009 TWENTIETH CENTURY FOX

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