『ジョーカー』で初オスカーの期待高まるホアキン・フェニックス、演技力見せつけたS・ヨハンソン他2019年に活躍した映画人

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アダム・ドライヴァー(奥)とスカーレット・ヨハンソン(手前)が共演した『マリッジ・ストーリー』/Netflixにて配信中
アダム・ドライヴァー(奥)とスカーレット・ヨハンソン(手前)が共演した『マリッジ・ストーリー』/Netflixにて配信中
アダム・ドライヴァー(奥)とスカーレット・ヨハンソン(手前)が共演した『マリッジ・ストーリー』/Netflixにて配信中
『ジョーカー』に主演したホアキン・フェニックス
『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』に出演するラミ・マレック
『クレイジー・リッチ!』で注目を集めたオークワフィナ(左)

ハリウッドで多様性が重視され始めた2019年、映画のテーマもキャラクターも、より幅広いものが登場するようになった。そんな作品を彩った印象深い映画人を挙げてみよう。

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9月にヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞し、10月に公開されるや日本でも大ヒットを記録した『ジョーカー』。バットマンの敵役であるジョーカー誕生までを独自のストーリーで描いた映画は架空の都市ゴッサムシティが舞台だが、格差の広がる現代社会の写し絵のようであり、そこでどん底の生活を送る主人公アーサーを演じたのがホアキン・フェニックスだ。痛々しく悲しい主人公の狂気を体ごと表現した迫真の演技は多くの共感を呼び、アカデミー賞ものの呼び声が高い。これまで『グラディエーター』『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』『ザ・マスター』で3回オスカー候補になっている彼が念願の初受賞となるか、注目したい。

今期の賞レースでフェニックスの前に大きく立ちはだかるのがアダム・ドライヴァーだ。『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レン役でおなじみだが、Netflixで12月から配信が始まった主演作『マリッジ・ストーリー』でさらなる注目を集めている。アカデミー賞前哨戦のゴッサム・インディペンデント賞やデトロイトやサンディエゴの批評家協会賞など各映画賞で主演男優賞を受賞。前回のアカデミー賞では『ブラック・クランズマン』で助演男優賞候補となったが、来年2月に発表されるオスカー主演男優賞に現時点で最も近いと目されている。

現在はAmazonプライム・ビデオでも主演の『ザ・レポート』が配信中、いよいよ「スカイウォーカー・サーガ」の完結編となる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』も12月20日に公開となり、快進撃は年が明けてからも続きそうだ。

今年2月のアカデミー賞で主演男優賞に輝いたのは『ボヘミアン・ラプソディー』でフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレック。圧倒的な歌唱力と唯一無二のカリスマ性を誇り、誰も演じることは不可能と思われてきた伝説のスターになりきったマレックは、並み居る名優たちを抜いてオスカー像を手にした。エジプト系という出自で、多様性や包摂性を意識し始めた新時代を担う責任感は強く、『007』シリーズ最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』( 2020年4月10日公開)の悪役を引き受けた際も、演じる役を「特定の宗教やイデオロギーを反映したテロ行為をする人物にはしない」という条件をつけたという。

女優で印象深い活躍をしたのはスカーレット・ヨハンソンだろう。『マリッジ・ストーリー』ではアダム・ドライバーと離婚寸前の夫婦を演じ、2人揃って各映画賞で主演賞にノミネートされ、受賞も果たしている。セクシーな悪女役やマーベル・シネマティック・ユニバースのブラック・ウィドウのイメージが強いが、『マリッジ・ストーリー』では、母として職業人として地に足のついた生活を送る女性を演じ、演技力の幅広さを印象づけた。彼女はもう1本、日本では来年1月公開の『ジョジョ・ラビット』での助演も好評で、今後発表の映画賞では主演・助演でのダブル・ノミネートや受賞の可能性も高そうだ。

日本では来年4月公開の『フェアウェル』に主演し、こちらも各映画賞で健闘しているのは『オーシャンズ8』『クレイジー・リッチ!』のオークワフィナ。7月に全米で4館というごく小規模な限定公開ながら口コミで人気が広がり、最終的に全米891館で上映された同作は、中国からアメリカや日本など世界各地に渡った親族一同が余命わずかの老婦人に会うために一同に会する物語。オークワフィナはニューヨークで育ったこの老婦人の孫娘を演じている。コメディアンとしてキャリアをスタートし、これまでの出演作ではパンチの効いた役を演じてきた彼女が、中国とアメリカの文化の違いを痛感しながら、祖母への愛情あふれる孫娘の心情をきめ細やかに演じている。今年は12月13日より公開の『ジュマンジ/ネクスト・レベル』にも出演、アジア系のスターとして大きく飛躍した。

キャリアよりも、めずらしく私生活で大きな話題を呼んだのはキアヌ・リーヴス。『ジョン・ウィック:パラベラム』のプロモーションで来日した際は、予定よりも1週間早くやって来て、香川県の美術館などを訪問。偶然同じ場所に居合わせた一般人がツーショットをSNSに投稿したことですでに来日中だと発覚し、大騒ぎになった。実はこの時も一緒に来日していたのが恋人のアレクサンドラ・グラント。現代美術のアーティストで46歳の彼女とは10年来の友人同士だったが、今年から交際が始まったという。春ごろから何度か親密そうな写真を撮られていたが、11月になってイベントのレッドカーペットに手をつないで登場。はっきりした交際宣言などはなかったが、リーヴスは今まで恋人とレッドカーペットを歩いたことは一度もなかっただけに、この行動だけでも十分すぎるほどの意思表示になった。