アカデミー賞ノミネートに見る「勝ち組」「負け組」映画会社。大躍進の新顔も登場!

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『ボヘミアン・ラプソディ』
(C)2018 Twentieth Century Fox
『ボヘミアン・ラプソディ』
(C)2018 Twentieth Century Fox

アカデミー賞作品賞にノミネートされた8本の米国での配給会社は以下のようになる。

『ROMA/ローマ』ネットフリックス
『女王陛下のお気に入り』フォックス・サーチライト
『アリー/スター誕生』ワーナー・ブラザーズ
『バイス』アナプルナ・ピクチャーズ
『ブラックパンサー』ウォルト・ディズニー
『ブラック・クランズマン』フォーカス・フィーチャーズ
『ボヘミアン・ラプソディ』20世紀フォックス
『グリーンブック』ユニバーサル

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勝ち組は、作品賞にグループとして2本ノミネートされたフォックスとユニバーサル。20世紀フォックスとユニバーサルが1本ずつ作品賞候補に入った他、20世紀フォックスのインディペンデント部門フォックス・サーチライト、ユニバーサルのインディペンデント部門フォーカス・フィーチャーズが1本ずつ作品賞候補に入った。

注目の映画会社は『バイス』のアナプルナ・ピクチャーズ。11年にプロデューサーのミーガン・エリソンが設立した製作会社だ。17年からは配給も始め、キャサリン・ビグロー監督作『デトロイト』が1作目。配給開始わずか2年目での快挙となった。同社の配給作品が作品賞にノミネートされるのは初めてだが、製作作品では過去にある。

13年に『ゼロ・ダーク・サーティ』(コロンビア・ピクチャーズとの共同製作)、14年に『her/世界でひとつの彼女』(ワーナー・ブラザーズとの共同製作)と『アメリカン・ハッスル』(コロンビア・ピクチャーズなどとの共同製作)、18年に『ファントム・スレッド』(フォーカス・フィーチャーズなどとの共同製作)が作品賞候補になっている。「アカデミー賞の常連の1社」と呼べる好成績だ。同社は著名な個性派監督と組むことが多く、ビグローとは2度(『ゼロ〜』『デトロイト』)、ポール・トーマス・アンダーソンとも2度(『ザ・マスター』『ファントム〜』)組んでいる。『バイス』は、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のアダム・マッケイ監督だ。

ミーガン・エリソンの兄デビッド・エリソンもプロデューサーで製作会社スカイダンスを設立。同社では『ターミネーター:新起動/ジェニシス』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』などアクション大作が多く、アナプルナとは作風が対照的だ。

 一方、作品賞にノミネートされていないメジャースタジオがパラマウントとソニー・ピクチャーズ。この2社が負け組といえる。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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