「シンセサイザーを所有するのは金持ちがやることだった」『ショック・ドゥ・フューチャー』監督が語るエレクトロ・ミュージック前夜

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マークコリン
映画『ショック・ドゥ・フューチャー』劇中カット
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映画『ショック・ドゥ・フューチャー』が8月27日より公開された。今回、本作で監督デビューをはたしたマーク・コリン監督が、本作のストーリーや主人公アナについて語った。

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「ミュージシャンの現実を見せたかった」マーク・コリン監督が語るアートの難しさとは

本作は、1970年代後半のエレクトロ・ミュージックのブレイク前夜をフィーチャーした音楽映画。仏パリの音楽業界を舞台に、日本製のリズムマシン(ROLAND CR-78)に魅せられ、エレクトロ・ミュージックにのめり込む若き女性ミュージシャン・アナ(アルマ・ホドロフスキー)を描く。

本作のタイトルの意味について「もともとフルタイトルは『Le Choc du future, une journée particulière dans la vie d’Ana Klimova』(未来の衝撃/アナ・クリモヴァの人生の特別な一日)でした。アメリカのSF映画に、作家主義的なロシア映画の副題をつけたような響きで、気に入ってました。対立する2つの世界が並置されていることに惹かれていたのです。副題を取って『未来の衝撃』だけにしたのは、先見性を持ち、未来の音楽を予知した女性の物語だからです」と解説。「今では考えられないことですが、シンセサイザーを所有することは金持ちがやることだった。それほど当時はシンセサイザーが高価だったのです! そういう意味で、現在いたるところで使われているエレクトロニック・ミュージックの成功を、私は完全な勝利だと考えています。本作のヒロイン、アナにはそれが見えていた。こうなることを予見した。それは衝撃でした」と語った。

主人公アナ役のアルマは、オーディションなどを行わず、コリン監督が唯一オファーした人間だという。

「私は直感を信じます。まず、女優でもある歌手を選ぶことにしました。アルマについては、周囲の人たちからよく話を聞いていました。彼女のバックでキーボードを弾く友人もいますし、パーティーで彼女に2~3度会ったこともあります。彼女しかいないと確信しました。アルマは年齢もぴったりで、電子音楽に興味があり、歌も少しやっていましたし、キーボードを弾くことができる。私が台本を送って返事があったのは1ヵ月後でしたが、興味を持ってくれたのです。私は彼女以外には探そうともしなかった。彼女とスクリーンテストもしなかったくらいです。アナはアルマだった。シンプルなことでした」

音楽映画と言えば、主人公が序盤から成功し、さらに大成功へ進む物語を連想しがち。しかしコリン監督は「私はミュージシャンの現実を見せたかった」と話す。「彼女(アナ)は1日で、5年分の経験をするのです! 本人はうまくいくと思っていて、周囲の反応におだてられ有頂天になっているのに、その直後にどん底につき落とされる。これはすべてのアーティストが経験することです。友だちには好評なのに、レコード会社には相手にされず、2年後にまた来てくれと言われる。こうした現実は映画ではあまり描かれません。でも、彼女はその後スタジオに行って、誰かに声をかけてもらえさえすれば立ち直れる。最後は、これからも粘り強く自分の音楽を追求する覚悟を決めた彼女が、マシーンに向き合う姿で終わります。再びエンジンがかかり、彼女は希望を取り戻すのです」

インタビュー全文では、音楽活動の手法を取り入れたコリン監督の映画作りやその他キャストについても語っている。『ショック・ドゥ・フーチャー』マーク・コリン監督のインタビュー全文はこちら!

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