役に立ちたい一心で、学び、挑む! 失われつつある古き良き“職人”への賛歌

#オーダーメイド#ギリシャ#ソニア・リザ・ケンターマン#ダフニ・ミホプール#テーラー 人生の仕立て屋#ディミトリス・イメロス#社会問題#経済危機#職人

(C)2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.

裏のテーマは、見過ごされつつある職人への優しい目

テッサロニキ国際映画祭3冠を獲得し、世界中の映画祭で喝采を浴びた感動の映画『テーラー 人生の仕立て屋』が、9月3日に全国公開される。このたび、映画の舞台裏に迫るメイキング写真が一挙11点公開された。

・どん底から一転! 世界に1着のウエディングドレスが幸せを運ぶ! 『テーラー 人生の仕立て屋』特報

今回公開されたメイキング写真からは、制作現場の陽気な雰囲気が伝わってくる。

監督のソニア・リザ・ケンターマンが主人公ニコス役のディミトリス・イメロスと話し合う様子や、ウェディングドレスで遊ぶ子役のダフニ・ミホプール、監督ソニアが自らカチンコを打つ姿、大勢のスタッフによる集合写真など、和気あいあいとした現場の様子がうかがえる。また、車載のクレーンカメラを使った撮影に挑む様子もある。

(C)Nikolas Kominis

実は本作品は、こうしたギリシャの陽気で明るい映像とは裏腹に、経済危機の余波が残る現代のギリシャの問題点を、職を失いかける主人公の職人を通して描いている。

ソニア監督は、「古い価値観と現在の経済が抱える課題がぶつかり、仕立て屋は現代社会に順応せざるをえなくなります」と、本作品の仕立屋が、古き良き職人の代名詞として使われていることを明かす。

そんな視点は、大企業が中心の社会にあって、日本でも見過ごされつつある各地の商店や伝統工芸といった貴重な歴史的伝承にいまいちど思いを致すきっかけとなるに違いない。

「我々は、この映画のように現在ギリシャのあちこちで職人技が消滅していくのを目の当たりにしています」と語るソニア監督。華やかなドレスや眩しいアテネの街並みとともに送る本作は、古き良き時代のギリシャや職人たちへの製作陣からのエールでもあるのだ。

(C)Nikolas Kominis

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「変わりたい」心機一転、ウェディングドレス作りをはじめる紳士服職人

本作品は、寡黙なスーツ職人が、ウェディングドレス作りに人生を賭けるようになるヒューマンドラマ。

ニコスはアテネで1961年の創業以来36年間、高級スーツの仕立て屋を父と共に営んできた。だが、ギリシャを不況が襲うと、店は銀行に差し押さえられ、ショックで父も倒れてしまう。崖っぷちに立たされたニコスは、手作り屋台で「移動式テーラー」を始めることに。しかし道端で高級スーツはまったく売れず途方に暮れていると、あるオファーが舞い込む。「ウェディングドレスは作れる?」──紳士服一筋だったニコスは、「変わりたい」との一心で、隣人の母子の助けも借りながら、世界にー着しかないオーダーメイドドレスを作り始めることに。青空の下、女性服の仕立てを学び、オーダーメイドのドレス作りを始めるが……。

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『テーラー 人生の仕立て屋』は、9月3日に全国公開される。

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