ほかのドラマとどこが違う? 『バーン・ノーティス』人気の秘密を直撃!【後編】

マット・ニックス(Matt Nix)……本作の製作総指揮、脚本を担当。1971年生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身。曾祖父は脚本家ハリー・チャンドラー。「Chekhov's Gun(原題)」「Mike Feeny's Secret for Success(原題)」(97)で監督・脚本を担当。同じく脚本も手がけた短編監督作「Me and the Big Guy」がスラムダンス映画祭で話題に。07年から「バーン・ノーティス」に携わり、製作総指揮・脚本を担当。08年には優れたミステリーに送られる、エドガー賞を受賞している。
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このページは海外ドラマ『バーン・ノーティス』の製作総指揮・脚本を担当するマット・ニックスのインタビュー記事の【後編】です。【前編】から読みたい方は以下をクリック!
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──このドラマが、ほかのスパイドラマとどこか違うのかを教えてください。
マット:僕にとって大きな要素は、ほかのスパイドラマはスパイvs.スパイの構図なのに対し、マイケルは普通の犯罪者たちに対して彼のスキルを活用する点なんだ。彼はそういうことに長けているからね。並みの犯罪者なんかよりもずっと頭が切れるんだ。これが違いの1つの要素だと思うよ。
 その一方で、マイケルにとって難しいのは、母親や家族、ガールフレンドとの付き合いだね。マイケルは戦いには絶対に背を向けないのに、ガールフレンドや母親との関係からは逃げようとする。あと、大抵のスパイドラマには、多くの集団が出てくる。スパイには資金もたくさんあるし、機器も充実している。ところがマイケルの場合は、全部自分で作らなくちゃならない。自分で見つけたり、ガールフレンドから借りたり、盗んだりするんだ。つまり、ほかのドラマと比べて、事件そのものの内容よりも、マイケルの人間らしさの方がよく表れているんじゃないかな。

──マイケルの母親役を演じるシャロン・グレスさんが「マイケルの解雇理由が判明するまでに何年間もかかると嬉しいわ」と言っていましが、あと何シーズンくらいを想定していますか?
マット:楽しめる限りは続けられると嬉しいと思ってるよ。新鮮なアイデアが浮かぶ限りはね。シーズン1ではストーリーを考え出すのがすごく大変で、ネタが尽きてしまうんじゃないかと思った。シーズン2ではちょうどいい感じにストーリーが浮かぶような感じになった。シーズン3では、いろんなストーリーが浮かんできて、使えなかったものを集めて別バージョンのシーズン3が作りたいと思うほどになっている。だから今はとても新鮮で楽しくて、みんなで充実した時間を過ごしているんだ。
 終了するとすれば、いいストーリーが浮かばなくなったときか、スタッフやキャストが楽しめなくなったらだろうけど、今のところは、みんな大いに楽しんでいるから、質問の答えはシーズン20までかな(笑)。

──それはマイケルがもっと大変な目に遭うということですか?
マット:マイケルがかなり年を取ることになる、という意味だね(笑)。

──ほかにも多くのドラマが放映されるなかで、視聴者を飽きさせないためにどんな工夫を?
マット:ほかのドラマがどんなことをしているかについては気を配っているよ。とはいえ、僕らの利点の1つは、ほかのドラマがしていることの多くを、まったく違う方法でやれること。多くの場合、事件に対するマイケルのアプローチは、ほかのドラマで見るのと対照的なものばかりだからね。
 シーズン2で、マイケルが犯罪に巻き込まれて銀行に閉じ込められるエピソードは、ほかのドラマでも見たことのあるような設定だけど、僕らの場合は同じような設定でも、まったく異なる手法で描き出すことができる。 
 さらに、このドラマの見どころの1つは、マイケルが絶対に銃を撃たないこと。どのエピソードでも、悪者たちは自分たちが誰を相手にしているのか、まったくわかっていないんだ。スパイのように相手に罠を仕掛けて、相手を翻弄して自滅させる。そういうのは、ほかのテレビドラマでも見たことがあるけれど、こんな風に見せるのは、このドラマがはじめてさ。

──『マイアミ・バイス』以来のマイアミを舞台にしたドラマです。『CSI:マイアミ』ですら、設定こそマイアミですが、撮影はマイアミではありません。そんな中で、マイアミにこだわる最大の理由をお聞かせ下さい。また、マイアミの利点とそうでない点も教えてください。
マット:マイアミを舞台にしたテレビドラマや映画は何本もあるけど、多くの作品が、マイアミのビーチエリアで撮影をして、別の場所で街の撮影をしているんだ。でも、僕らにとってマイアミは、とても特別でいろいろなテイストを持った街だという利点がある。日差しも全然違うし、レストランもさまざま。おかげで、マイアミと呼ばれるビーチと街以外の場所でも撮影することもできるんだ。
 ほかにもマイアミらしさのある近隣環境がいろいろある。それが利点の1つ。マイアミを訪れるには飛行機を使わないといけないという不便な点もあるけど、僕らにとっての大きな利点は、マイアミのスタッフは、マイアミを舞台にした大規模な映画をすべて経験しているという点だね。
 だから、このドラマのスタッフには、もっと大規模なアクションやスタントなどの経験を積んだ人たちが揃っているんだ。仮に、彼らがL.A.のスタッフほど数多くのテレビドラマの場数を踏んでいなかったとしても、僕が「ヘリコプターから飛び降りるシーンを撮りたい」と言えば、スタッフからは「問題ないよ」という返事が返ってくるんだ。すでに経験済みだからね。「カーチェイスシーンで車をひっくり返して、おまけに3台爆発させたい」といえば、「4台にすれば? その方が簡単だよ」という返事が、きっと返ってくると思うよ。

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