21年上半期1位は興収90億円の『シン・エヴァ』、3位は安定のブランド力示した監督のヒット作

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ビジュアル
(C)カラー

ランキングのトップ10のなかで洋画はゼロ…

上半期興行ランキング1位は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。1月22日の公開予定だったが、2回目の緊急事態宣言が発令された影響で3月8日公開に延期。月曜が公開日という珍しい興行となったが、平日でも熱心なファンが映画館に足を運んだ。シネコンでの上映回数は通常は1日5回のところ、10回以上は当たり前。15回を超えるシネコンも多くあり、IMAX版、MX4D版、4DX版でも上映された。昨年『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』などの大ヒットを後押しした上映回数増が本作でも見られた。

緊急事態宣言の影響大きく、興収10億円超えのヒット作なく苦境の映画界

6月13日時点の興収は90億円。『Q』(12年、53億円)を上回りシリーズ最高興収を記録するとともに、『シン・ゴジラ』(16年、82.5億円)を超えて庵野秀明総監督作品の興収ナンバーワンを更新した。

2回目の緊急事態宣言下だったものの、映画館は営業中だったため予定通り公開したのが4位『花束みたいな恋をした』(38億円)。宣言の影響を受けずに大ヒットした。

一方、3回目の緊急事態宣言はゴールデンウイーク興行を直撃した。東京、大阪、兵庫、京都に4月25日から発令され映画館は休業。昨年の1回目のような全国一斉休業ではないものの、人口の多い都市部の休業を考慮して4月23日公開『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』や29日公開のスタジオジブリ新作『アーヤと魔女』などが延期された。

予定通り公開されたのが2位『名探偵コナン 緋色の弾丸』と5位『るろうに剣心 最終章 THE Final』だ。『名探偵コナン』は4月16日から公開され、その後、緊急事態宣言が発令された。『るろうに剣心』は4月23日公開で『クレヨンしんちゃん』のように延期することもできた。だが、公開に向けてキャストや監督を稼働させた大がかりな宣伝を実施してきたことや、6月4日公開で『最終章 The Beginning』が控えていることなどから延期を選択しづらかったと推測される。

名探偵コナン 緋色の弾丸』は6月13日時点で興収69億円。前作『紺青の拳(フィスト)』が93.7億円をあげており、8年連続のシリーズ最高興収の記録更新は厳しい状況だ。『るろうに剣心 最終章 THE Final』は6月13日時点で興収37億円。前2部作『京都大火編』(52.2億円)、『伝説の最期編』(43.5億円)を下回るペースだ。

邦画実写最大のヒットは3位『新解釈・三國志』(40億円)。福田雄一監督の新作で、中国の『三國志』を新解釈で描き、福田監督らしい笑いが満載。大泉洋、ムロツヨシ、小栗旬ら豪華なキャスト陣も観客を引き付けた。昨年の『今日から俺は!! 劇場版』(53・7億円)には届かなかったものの、『銀魂』(38・4億円)、『銀魂2』(37億円)を上回った。『銀魂』『今日俺』と異なり、福田監督のオリジナル作品で福田監督のブランド力を示した。

トップ10中、洋画はゼロ。『モンスターハンター』(12億円)が洋画ナンバーワンヒットだった。昨年と異なり『ワンダーウーマン1984』『トムとジェリー』『ラーヤと龍の王国』などハリウッドのメジャースタジオの作品は公開されているものの、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』『ブラック・ウィドウ』など延期も続いている。(文:相良智弘/フリーライター)

[2021年上半期ランキング]
1位『シン・エヴァンゲリオン劇場版』90億円
2位『名探偵コナン 緋色の弾丸』69億
3位『新解釈・三國志』40億
4位『花束みたいな恋をした』38億
5位『るろうに剣心 最終章 THE Final』37億
6位『STAND BY ME ドラえもん2』27億
7位『えんとつ町のプペル』24億
8位『約束のネバーランド』20億
9位『銀魂 THE FINAL』19億
9位『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』19億
(20年11月22日~21年6月11日までの公開作が対象。ムビコレ調べ。興収は6月13日時点)

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