21年のアカデミー賞は波乱の予感、Netflix一人勝ちの可能性も

#アカデミー賞

アカデミー賞
アカデミー賞公式サイトより

授賞式は2ヵ月延期

21年の注目トピックのひとつがアカデミー賞だ。21年2月28日に予定されていた第93回授賞式は4月25日に延期された(ノミネート発表は3月15日)。これに伴いアカデミー賞の対象となる映画の上映期間を延長。当初は20年1月1日~12月31日にロサンゼルスの映画館で1週間以上上映される必要があったが、第93回に限り、20年1月1日~21年2月28日に期間を延長した。さらに、(VODや動画配信サービスなど)デジタル配信でリリースされた映画も対象にした。

・[おすすめ動画配信サービス5選]ドラマ、映画はネットで見る時代。まずは無料で!

・2021年、動画配信サービス競争激化? ディズニー+は3億5千万の会員獲得見込む

アカデミー賞の規定が変更されたことで、「ネットフリックスが作品賞のノミネート数で歴代最多記録を更新する可能性がある」と映画業界紙「バラエティ」が報じている。これまで『ROMA/ローマ』『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』が作品賞にノミネートされている。20年は新型コロナウイルスの感染が拡大した4月以降、メジャースタジオ作品の公開は激減しているため、ネットフリックスに有利な状況となっている。

映画会社別のノミネート過去最多は1937年MGMの5作品

映画会社別の作品賞ノミネート最多記録は、1937年にMGMが達成した5作品(10作品中)だ。ネットフリックス作品でノミネートが有力視されているのが2作。デビッド・フィンチャー監督、ゲイリー・オールドマン主演で名作『市民ケーン』の誕生秘話を脚本家“マンク”ことハーマン・J・マンキウィッツを主人公に描いた『Mank マンク』と、シカゴでベトナム戦争反対を訴えるデモ隊と警察が衝突し大勢が負傷する事件が起き、逮捕・起訴された7人の裁判を描いた『シカゴ7裁判』(アーロン・ソーキン監督)。このほかのネットフリックス注目作には、故チャドウィック・ボーズマンとビオラ・デイビスが主演した『マ・レイニーのブラックボトム』、メリル・ストリープとニコール・キッドマンが共演したミュージカル映画『ザ・プロム』、スパイク・リー監督がベトナム戦争とアメリカの闇を描いた『ザ・ファイブ・ブラッズ』、ジョージ・クルーニーが監督・製作・主演を務めたSFドラマ『ミッドナイト・スカイ』などがある。

なお、ベネチア映画祭の金獅子賞とトロント映画祭の観客賞を受賞してアカデミー賞の有力と目される『ノマドランド』は、20年12月4日公開が21年2月19日に変更された。アカデミー賞の対象期限間近の公開に延期することで、注目度を高める狙いがあるものと推測される。

ちなみに、授賞式のプロデュースはスティーブン・ソダーバーグ監督ら3人が務めることが発表されている。授賞式が通常通り会場に出席者が集まり開催されるのか、オンラインになるのかも気になるところだ。(文:相良智弘/フリーライター)

INTERVIEW