マジでまるだし！ 痛快ギャグBL『まるだせ金太狼』レビュー

BLフェスにて短編アニメ『まるだせ金太狼』が公開中

“恥っ殺 ポロリ落とし”などのとんでもない必殺技が炸裂するギャグBL「まるだせ金太狼」がまさかの劇場アニメ化！ ボーイズラブの世界を思いっきり楽しめる上映イベント「BL FES!!-Boys Love Festival!!-」（通称BLフェス）にて、2020年12月11日から『イエスかノーか半分か』(一穂ミチ・原作、イラスト・竹美家らら)の併映作として2週間限定公開中だ。

・BL界“帝王”こと声優・森川智之がエロシーンの生アフレコを披露！

「まる金」こと「まるだせ金太狼」は紅蓮ナオミ原作の「まさかの金太狼」の続編で、ぶっ飛んだ内容の学園コメディ。ストーリーや設定はもちろんあるけれど、それよりも何よりもとにかく笑えてインパクトのあるシーンが続々登場する愉しいBLだ。紅蓮ナオミは古典的で美麗な絵柄ながら、コミカルというか笑いに徹したギャグを得意とするBL漫画家。それが存分に生かされたのがこの「金太狼」シリーズだ。

祖父の遺言で貞操を狙われた真琴の窮地を金太狼は救えるか!?

受けは可愛い系の小野寺真琴。彼の祖父で小野寺学園の先代校長は「淫戯をつくして真琴をおとし、真琴を嫁にした者を次期校長にする」という、「は？ おじいちゃん何言ってるの？」と首を傾げたくなる遺言を残す。しかし、訳がわからないのは読者だけ。小野寺学園の教師たちは次々と真琴を狙って襲いかかるのだ。ピンチに陥った真琴は幼馴染の真坂金太狼を頼って、ボディガードになってもらうことに。

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攻めの金太狼はワイルドで強くて男らしいロン毛のイケメン。横に流した前髪もカッコいい。しかし、腹には金太郎のように真琴からもらった腹かけが！ 受けの真琴が貞操を狙われて下半身まるだしになるのは納得できるとして、 胸板の厚い引き締まったボディに腹かけをつけた金ちゃんまでまるだしになる必要はない！ ないけれども、まるだしになるのは面白い！ 腹かけ一枚でまるだしになってキリッと立っている姿はオモシロかっこいい！

そして、まるだしのまま相手の顔を股間で挟み込む“おいなりさん締め”や、お尻で顔面をアタックする“菊門アタック”、相手を股裂しながら逆さま落としして局部をポロリと出してしまう“恥っ殺 ポロリ落とし”などなど、珍妙な必殺技を大真面目な顔して繰り出すのだ。この勇姿には、真琴もウットリ。真琴も金太狼もお互いに愛し合ってラブラブなのがまたいい。ギャグなのに恥ずかしがったり喜んでいる真琴の表情が良くて、キュンとさせられてしまう。

森川智之のイケボで叫ばれる“恥っ殺技”は迫力満点で痛快！

劇場アニメでは、可愛い真琴の声は『ハイキュー!!』の山口忠役などの人気声優・斉藤壮馬が担当。金太狼はスーパー攻め様の役どころが多く“帝王”の異名を取る森川智之が演じている。真琴はイメージのままかわいいし、金太狼は当然カッコいい！

劇場版は短編アニメなので、細かい説明はナレーションなどでササッと済ませ、続編である『まるだせ金太狼』のおもしろシーンのダイジェストに。金太狼のヘンテコな必殺技が次々と見られるお得仕様なのだ。もちろん股間はまるだしで！

原作では局部もそのまま描かれているが(修正あり)、劇場アニメではそれぞれのキャラの顔で局部を隠してある。バラエディ番組で見慣れたやり方で、これはこれで見ていて楽しい。その上、森川智之のイケボで金太狼の必殺技が声高々に叫ばれるのが痛快だ。

そんな金太狼の大暴れにあっけにとられているうちに、あれよあれよとエンディングへ。エンディングは原作者・紅蓮ナオミによる愛が溢れる素敵なイラストが写し出されるなか、紅蓮ナオミが作詞し、森川智之が歌う主題歌「愛は無敵」が雄々しく流れてゆく。短編ながらも十分満足させてくれる。

『イエスかノーか半分か』を楽しみに来た観客はオープニングの『まるだせ金太狼』のぶっ飛び具合に驚かされるかもしれないが、ここは楽しんじゃった者が勝ち。「BLフェス」というだけあってお祭りなのだから。所狭しとスクリーンで大暴れする金太狼を見て大いに盛り上がろう。寒い季節だけど、熱い『まるだせ金太狼』を見れば寒さなんて吹っ飛ぶはずだ。（文：牧島史佳／ライター）

主題歌「愛は無敵」
歌：森川智之／作詞：紅蓮ナオミ／作曲・編曲：炭竃智弘
各音楽配信サービスにて順次配信中！