ホームプロジェクターのトレンド=4K/HDRとは? 家庭でも映画の魅力を再現する方法

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プロジェクター ホームシアター
SONY VPL-VW575(10月9日発売、実勢価格80万円前後)
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プロジェクター 4K HDR
プロジェクター 8K
プロジェクター 4K
プロジェクター HDR
プロジェクター 4K
プロジェクター超短焦点

巣ごもり需要もあり、リビングでテレビ番組や動画配信で映画を楽しむことも増えた。オリンピックが延期となったにもかかわらず、大型4Kテレビ花盛りとなっている。

だが、80インチを超えたらやはり映画館と同じくスクリーンにプロジェクターで楽しみたい。いや、プロジェクターの魅力は画面の大きさだけではない。バックライトの光が目に向かって飛び込んでくる直視型のテレビと、スクリーンに反射した映像を見るプロジェクターとでは、目への優しさ云々以上に、作品のニュアンスが違って見えてくるところが面白い。

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とはいうものの、プロジェクターの新製品紹介記事には技術用語が並び、どのモデルの何が凄いのかマニア以外にはイメージしにくいきらいも。そこで、テレビと比較しながら、プロジェクターのキーワードとして掲げられている4KとHDRに沿って見ていこう。

「ネイティブ4K」と「4Kエンハンスメント」

4Kとは、おおよそ横解像度が4キロ=4000(縦解像度が2000)であることを示す。国際通信規格ITU-Rの定義に従えば、縦3840x横2160をいう。一方、フルハイビジョンの解像度が1080と言われるが、これは縦解像度で、横解像度は1920。したがって、結果として、4KはフルHDの4倍の解像度ということになる。

ただ、地上波などハイビジョン放送とされている映像の解像度はほとんどが縦1440×横1080で、実はフルHDですらない。4Kテレビやプロジェクターの性能を生かすソースの筆頭は、4Kブルーレイだ。

以上を前提に、まずはテレビもプロジェクターも発売しているメーカー、ソニーを例にしよう。

間もなく発売となるソニーの最新4Kプロジェクターには、「HDR映像の原画に迫る明暗表現を再現する4K HDRホームシアタープロジェクター」とキャッチが付いている。VPL-VW775(9月18日発売、実勢価格135万円前後)、VPL-VW575(10月9日発売、実勢価格80万円前後)の2モデルがそれで、それぞれVPL-VW745、VPL-VW555をアップデートしたものだ。そして実はこの上位モデルにVPL-VW855(実勢価格270万円前後)、下位モデルにVPL-VW255(実勢価格50万円前後)がある。

どのモデルも「ネイティブ4K」のパネルを使っている。4Kプロジェクターと呼ばれるモデルには、4K信号を入力できて「擬似的に」4K相当の映像を出力するものがあるため、それと区別する意味で「ネイティブ」と称している。

「疑似」といわれるものは、ハイビジョンのパネルを0.5画素ナナメにずらすことで解像度を2倍にした製品で、カタログなどもよく読むと「4K相当」「4K対応」などと書かれている。エプソンの「4Kエンハンスメントテクノロジー」などがその例だ(長焦点タイプEH-TW7100が直販価格¥199,980/税別、短焦点タイプEH-LS500が9月17日発売で直販価格¥299,980/税別)。さらに、DMDという小さな鏡を高速で動かして明暗を作る方式では、RGBの色も時間的にずらして合成するタイプが現在主流となっている。

もっとも、こうした製品も実際にその映像を見るとハイビジョンとは別格のきめ細かさで、リーズナブルな価格や柔軟な設置が可能といったメリットも含めると、よほどのマニアでなければ十分満足がいくものだ。

一方、4Kテレビは文字通り4Kの画素で表示している。ハイビジョンの4倍綺麗だ、という意味ではない。ハイレゾだから音がイイとは限らないのと同じだ。

“いいとこ取り”を求めるHDR機能はプロジェクターに試練を与える

さらに今回のソニーの新しいプロジェクターのキャッチを見ていくと、“「ダイナミックHDRエンハンサー」が実現する、明るくきらめくHDRの表現力”とある。このHDRとは何だろうか?

HDRはHigh Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略で、要するに従来のスタンダードなものと比べてより明暗差を広く表現できる技術のこと。とすると、このダイナミックHDR〜というキャッチは……。

たとえば昼間に室内から窓越しに外も含めて撮影した映像では、屋外に露出を合わせると室内は真っ暗。逆に室内に合わせると、こんどは外の景色が白く飛んでしまう。その点HDRで処理すると、明るさの幅を広く取ることで、外も室内もバランスよく見えるように映像を作り替える。

これを再現しようとするとき、テレビのような直視型では、極端に言えば、映像を描くのに必要なドット状の画素だけを明るく点灯し、不要な画素は暗めに灯せばよい。しかしプロジェクターでは光源はひとつであり、明るい点と暗い点を同時に表現するのが難しい。そこで、もともとの映像をメリハリよく作り替えることによって、いわば“いいとこ取り“しようというのが、この機能だ。ただ、そのためには十分な明るさとコントラストの再現性、広い色域を持った基礎体力がプロジェクターに備わっていなければならない。結果として製品自体も高額になってしまう。

一方、ソニーと同じく家庭用のネイティブ4Kプロジェクターを推進するJVCは、2019年初頭から発売しているDLA-V9R(このモデルは8K相当、¥2,000,000/税別)、DLA-V7(¥1,000,000/税別)、DLA-V5(¥750,000/税別)のソフトウェアを無償でアップデートすることで、すでに搭載していたHDRに関する機能を進化させる。

まず、シーンやコマごとに異なる明るさをリアルタイムに判別し、明るすぎて空の色が飛んだり、暗すぎて潰れて見えなくならないよう調整する(「Frame Adapt HDR」機能)。その際あわせて、色味も自動的に調整したり、グラデーションも滑らかにして自然に絵を作る。今年は11月にこの機能がver.2となって緻密になる予定だ。また、作品のマスタリング情報があればそれを反映させる機能(「オートトーンマッピング」機能)も搭載済みで、加えて今年は部屋の環境に合わせて明るさを調節する(「Theater Optimizer」機能)。プロジェクターの映像の場合は、リビングなど明るさを残した環境での視聴もありうるため、視聴環境も考慮して自動で最適な画質に調整するのは理に適っている。

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このように、ホームプロジェクター技術の向上とともに、4K/HDRを再現する技術も地道に進化している。ぜひお気に入りの4Kブルーレイを持参して、ホームシアター専門店で実際の映像を見て欲しい。プロジェクターが映画館以上にストイックに映像を描き出すことに驚くとともに、作品に対する印象もきっと変わるはずだ。(文:fy7d)

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