米国で『ランボー』新作公開。自ら当たり役を生み出し続けるスタローン

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『大脱出』撮影中のシルヴェスター・スタローン(右)
『大脱出』撮影中のシルヴェスター・スタローン(右)

アメリカで9月20日からシリーズ新作『ランボー:ラスト・ブラッド(原題)』が公開される。ランボーが復活するのは11年ぶり。同作ではシルヴェスター・スタローンが共同で脚本も担当している。現在73歳のスタローンは『ランボー』のほか、『ロッキー』『エクスペンダブルズ』『大脱出』『クリード』と5つのシリーズ作品を抱えている。多くの当たり役を持つ稀有なハリウッドスターといえる。

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スタローンのシリーズ作の特徴は、彼が脚本やプロデューサー、監督を兼ねるケースが多いことだ。脚本は『ロッキー』全6作、『ランボー』全5作、『エクスペンダブルズ』全3作、『クリード2』、プロデューサーは『クリード』全2作、監督は『ロッキー2〜5』『ランボー最後の戦場』『エクスペンダブルズ』で務めている。

『大脱出』以外はクリエイティブ面に携わることで、作品ごとに異なる当たり役を生み出してきた。

『ロッキー』は無名のボクサーのサクセスストーリー、『ランボー』は元ベトナム帰還兵の孤独な戦い、『エクスペンダブルズ』は自らを「消耗品」(エクスペンダブルズ)と名乗る傭兵軍団、『クリード』は年老いたロッキーが若者クリードのトレーナーになる。自らの発案ではないが、『大脱出』もキャラクター設定は異なり、セキュリティ・コンサルタントが最新鋭のセキュリティを誇る監獄からの脱出を試みる。

元々スタローンは出世作『ロッキー』で自ら脚本を書いて映画会社に売り込み、名を挙げた。自ら企画を立ち上げるセルフ・プロデュース志向が強いスターといえるだろう。同年代のアクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガーがクリエイティブ面には携わらないのとは対照的だ。

スタローンのクリエイティブ面を支えるのがインディーズ系の映画会社だ。近年の作品を見ると、『クリード』はMGM(ワーナー、ニューラインとの共同製作)、『エクスペンダブルズ』はライオンズゲート、『ランボー』新作もライオンズゲートが製作にあたっている。スタローンは全盛期の人気を過ぎたとはいえ、世界的な知名度は健在。インディーズなのでメジャースタジオのような巨額な製作費はかけられないが、スタローンに自由に作ってもらい、主演も兼ねてもらうことで世界的なヒットを目指す戦略だ。

近年の作品の興収を見ると、米国では『クリード』が堅調、米国外では『エクスペンダブルズ』が堅調だ。

●スタローン作品の米国内外の興収
『クリード』(15年)(米国の興収)1億1000万ドル/(米国外の興収)6400万ドル
『クリード2』(18年)(米国の興収)1億1600万/(米国外の興収)9800万ドル
『エクスペンダブルズ』(10年)(米国の興収)1億300万/(米国外の興収)1億7100万
『エクスペンダブルズ2』(12年)(米国の興収)8500万/(米国外の興収)2億3000万
『エクスペンダブルズ3』(14年)(米国の興収)3900万/(米国外の興収)1億7500万

9月27日からは日本で『大脱出3』が公開。『エクスペンダブルズ』は4作目の製作を発表し、出演者を女優だけに代えた女性版『エクスペンダブルズ』も企画が進んでいる。自ら当たり役を生み出し続けるスタローンの快進撃はまだまだ続きそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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