アームストロング息子も絶賛!人類初の月面着陸描く『ファースト・マン』トロント映画祭レポ

#アポロ11号

ライアン・ゴズリング(左端)、クレア・フォイ(中央)、デイミアン・チャゼル監督(右から2人目)
(C) Universal Pictures and DreamWorks Pictures

人類で初めて月面着陸をはたしたアポロ11号計画を、同号の船長で、人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング目線で描いた『ファースト・マン』。この映画の公式記者会見が9月12日(現地時間9月11日)にトロント国際映画祭で行われ、『ラ・ラ・ランド』で一昨年の同映画祭で観客賞を受賞し、最新作が注目されるデイミアン・チャゼル監督、主演のライアン・ゴズリング、クレア・フォイほか出演者と、ニール・アームストロングの息子兄弟も出席した。

『ファースト・マン』トロント国際映画祭、その他の写真

本作製作のきっかけについてチャゼル監督は「『ファースト・マン』は『セッション』に続き、同様のテーマで目標や野望を達成するために払う犠牲について探求する良い機会になると考えていた」とコメント。だが、進めるうちに「アームストロングは今まで描いた役柄と比べ、単なる野望にとどまらず、絶えず彼方にある何かを見たいという欲求があった。そんな彼が、歴史上あの期間に起きていた宇宙戦争の中で、少年の頃から抱いた飛行への情熱であったり、その何かを見たいという欲求を、自身の任務を通して昇華させたという点に興味を引かれ、何とかして映画化したいという思いに突き動かされた」と続けた。

一方、そんな監督から直々に主演オファーを受けたというアームストロング役のゴズリングは「監督から神話のように語られるアームストロングの真実の姿を描きたかったと聞き、責任重大だと感じた」と回答。月面着陸シーンを演じることの重要性について聞かれると「英雄的な瞬間を自分のことでなく、森羅万象に関わることとして名言を残した彼を理解すること、そしてその過程に携われたことは大変光栄なことだった」と振り返った。

また、妻のジャネット役を演じたフォイは、アームストロングの人間性や、傍で支える妻の姿にスポットが当たった本作の脚本にとても感銘を受けたそうで、「本作の素晴らしい点は、月に行く男たちの人間性という、誰も重視せず、興味も持たなかった面に光を当てたこと。彼らには私生活があり、(月に行くにあたって)妻や子どもと口論をしたことなど、誰も気にかけなかった。今回は脚本を読んで『ぜひ出演させてほしい』と思いました」と話した。

会見には、アームストロングの息子であるリック・アームストロングとマーク・アームストロングも登壇。マークは「本作は真実に忠実であることを物語っている。すでに4、5回見ているが、昨晩も見てまた泣いてしまった。映画の内容および出演者たちの演技が、いかに真に迫っているかを物語っている作品だと思います」と称賛。ゴズリングによると「息子ら家族は撮影に協力と支援を惜しまず、宇宙シーンの撮影には実際のアポロ計画の宇宙飛行士、セットには原作者のジェイムズ・R・ハンセンが常駐した」そうで、「みなさんがニールとジャネット、そして彼らの功績をとても大切にされていて、事実と異なる描写がされないようにあらん限りの情報を提供したいと思ってくださっていることを強く感じた」と感謝の言葉を述べていた。

本作は第75回ヴェネチア国際映画祭オープニング上映作品に選ばれ、上映後にはスタンディングオベーションが巻き起こった作品。トロント国際映画祭ではガラ・プレゼンテーション部門に選出。公式上映はIMAXスクリーンの劇場で行われ、視界に広がる没入型宇宙体験で観客を圧倒。海外の映画評論家からますますの高評価が集まっている。

開催中の第43回トロント国際映画祭の授賞式は現地時間9月16日に実施予定。『ファースト・マン』は日本では2019年2月に全国公開予定となっている。

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