ビースティ・ボーイズのアダムが音楽担当! ソリッドなサウンドと柔らかビジュアルとがどう結びつく?

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『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』
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【映画を聴く】『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』/前編
映画プロデューサーはアダムの実姉!

レベッカ・ミラー監督の『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』は、小説家を目指している文化人類学者の夫=ジョン(イーサン・ホーク)と、その妻で仕事最優先の大学教授=ジョーゼット(ジュリアン・ムーア)、アーティスト・コーディネーターとして大学で働く“こじらせ女子”=マギー(グレタ・ガーウィグ)の三角関係を描いたハートフル・コメディ。

急逝から一年、“出火吐暴威”の性を超越した妖しい絡みに狂喜!

監督の母校であるニュースクール大学やワシントン・スクエア・パーク、プロスペクト・パークといったニューヨークのロケーションが複雑な人間模様と絡み合う、よくできた中編小説のような作品に仕上がっている。ニューヨークを舞台とする同趣向の女性監督作品という意味で、ノーラ・エフロン監督『ユー・ガット・メール』を思い出す人も多いかもしれない。

昨年末に公開された『ブルーに生まれついて』では、ジャズ・トランぺッター&シンガーのチェット・ベイカーの破滅性とロマンティシズムを際立たせた演技が話題となったイーサン・ホーク、シリアスさの中に可笑しみを含んだ演技に定評のあるジュリアン・ムーア、自身も脚本や監督を手がけるなどマルチな才能を持つグレタ・ガーウィッグの競演が本作の一番の見どころであることは間違いないが、当コラム的にはサウンドトラックをビースティ・ボーイズの“アドロック”ことアダム・ホロヴィッツが担当していることにも注目したい。

ヒップホップにパンクやハードロック、ジャズなどを自在に掛け合わせた音楽性で知られるビースティ・ボーイズなので、本編を見るまでは彼らのソリッドなサウンドと映画の柔らかなビジュアル・イメージがどう結びつくのか想像するのが難しかったが、本作における音楽監督としての彼の役回りは“作曲”ではなく“選曲”。ビースティ・ボーイズ的な音楽で映像を塗り固めるのではなく、編集ラフを見ながら映像に合った音楽を探し出して提案することがおもな仕事だったという。

ちなみに本作でプロデューサーを務めているのは、アダムの実姉であるレイチェル・ホロヴィッツ。デヴィッド・リンチやウディ・アレン、ウェス・アンダーソン、アレクサンダー・ペインらと組んで多くの名作、ヒット作に関わってきた人で、2011年のベネット・ミラー監督『マネーボール』はアカデミー賞作品賞など5部門にノミネートされるなど高評価を得ている。

後編「聡明さと天然っぽさを併せ持つ女性にはスカが合う!?」へ続く…

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