【週末シネマ】年末年始にふと見たくなるような、愛と希望に満ちた『ハッピーニューイヤー』

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『ハッピーニューイヤー』
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『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン監督最新作

なぜか2003年公開の韓国映画『ラブストーリー』を思い出し、今や国民的名曲となった主題歌を繰り返し聞いては思い出に浸っている時期に、本作を見る機会に恵まれた。『ラブストーリー』で恋愛映画の巨匠となったクァク・ジェヨン監督による最新作だ。

年末年始の高級ホテル〈エムロス〉を舞台に繰り広げられる14人のオムニバス形式の恋愛群像劇。それぞれが魅力的なキャラクターではあるが、ここでは特に印象に残った2つのエピソードを紹介したい。

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ホテルのCEOを巻き込んでの自殺阻止計画の顛末は――!?

公務員試験に落ち続け、恋人にも愛想を尽かされた就活生ジェヨン(カン・ハヌル)は、人生に絶望し、大晦日に高級ホテル〈エムロス〉で自殺しようとやってくる。住んでいたアパートを引き払い、有り金全てをはたいて1週間前から〈エムロス〉に滞在するジェヨン。モーニングコール、室内プール、ルームサービスを利用し、意外とホテルライフを満喫しているかのように見えるジェヨンの姿には、辛く厳しい時期をこのように乗り越えるのも悪くないと思わせるものがあった。

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そんなジェヨンが何の気なしに床に捨てた自殺計画のメモをハウスキーパーが拾ってしまったことから、ホテルのCEOを中心とした一大自殺阻止計画が敢行されることになる。ここからは、コミカルに話が展開していき、映画の世界にあっという間に引き込まれていく。

監督にとっても、自分と同じ名前にしたキャラクターだけあり、役に対する思い入れもひとしおだったようだ。

両想いだと信じて疑わなかった男性からまさかの!

ホテル〈エムロス〉のマネージャー、ソジン(ハン・ジミン)は、有名占い師に「年末までに告白される」と言われ、15年も片想いをしている男友達のスンヒョ(キム・ヨングァン)との未来を期待していたが、いきなり婚約者(コ・ソンヒ)を紹介されてしまう。

大学の同級生であるソジンとスンヒョ。他の男性2人も交えて4人で会う場面では、てっきりスンヒョがソジンにベタ惚れしているのかと錯覚するほどのラブラブ光線を放出していた。それだけに、スンヒョが他の女性との結婚報告をしたときには、見ている方も「え?え?どうして?」と納得できない気持ちで一杯になる。しかも、ソジンが働く〈エムロス〉で式を挙げるというのだから、彼女にとっては拷問以外のなにものでもないだろう。挙式当日までなんとか婚約破棄させようとあがき続けるソジンの奮闘ぶりは見ものだ。

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10年、20年後、年末年始にふと思い出す映画に!

クリスマスイブから始まり、年末年始の“悲喜こもごも”を描いた本作。イ・ドンウク、ウォン・ジナ、ソ・ガンジュン、イ・ジヌク、少女時代のユナなど、最旬豪華キャストが総出演しているところも、韓国映画好きにはたまらないところだ。

冒頭の『ラブストーリー』の話に戻ると、2003年当時は、その映画の良さがあまり理解できなかった。しかし、約20年たった今、一番好きな映画を聞かれたら、筆者は間違いなく『ラブストーリー』と答えるだろう。このように、本作『ハッピーニューイヤー』も、10年後、あるいは20年後、そして年末年始の頃にふと思い出す映画になるのではないだろうか。そして、今年悪い事続きだった人は「来年こそは!」と願い、今年良かった人は「来年も更に良い年に!」と思えるような、愛と希望に満ち溢れる映画だった。(文:渡邉啓子/ライター)

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『ハッピーニューイヤー』は、2022年12月9日より全国公開中。

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