ゲイでフィリピンダブルの高校生男子、“養育費だけが繋がり”の実の父親を探し始めるも…?

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世界は僕らに気づかない
(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会

トランスジェンダーである自らの経験を元に制作した『僕らの未来』(11年)が国内外で注目を集めた飯塚花笑監督のオリジナル長編第5作目となる『世界は僕らに気づかない』。本作のポスターとキャストのコメントを紹介する。

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フィリピン人の母とフィリピンダブルの息子…親子の愛を描き出す

群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親を持つ。父親のことは母親から何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親との繋がりである。

純悟には恋人の優助がいるが、優助からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めずにいた。そんなある日、母親のレイナが再婚したいと、恋人を家に連れて来る。見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がった純悟は、実の父親を探すことにするのだが…。

8年の構想期間を経て結実した本作の主人公・純悟を任されたのは、『東京リベンジャーズ』(21年)でのパーちん役など、その存在感ある演技が輝く堀家一希。複雑なバックグラウンドを抱える難しい役柄かつ映画初主演という重圧もある中で、飯塚監督との深いコミュニケーションと共に丁寧に役作りをした結果、悶々として自分の本当の感情を吐露できない純悟を見事に演じきっている。

堀家は本作について、「この映画の見どころはやはり、親子の愛です。今まで気付けなかった、向き合えなかった愛に気づき、これから少しずつでも向き合えるようそっと背中を一押ししてくれる、そんな作品になっていると思います」と魅力を伝える。

息子である純悟への深い愛情を抱きつつ、感情的に厳しい態度もとってしまう母親・レイナを演じるのは、スコットランド人の父親とフィリピン人の母親を持つガウ。本格的な演技は初挑戦ながら、観客の視線を釘付けにするパワフルな演技を披露している。

ガウは、「映画のタイトル通りジェンダーや国籍または宗教、文化の間に挟まれて世界に気づかれず、理解されず苦しんでいる人々が多くいると思います。主人公の純悟やその周りの人たちはその一例でしかないのですが、この映画を通して少しでも多くの人に知ってもらい考えてもらえるきっかけになれたらいいなと思います」と観客へメッセージを送った。

公開されているポスターは、フィリピン人の母親・レイナと、フィリピンダブルの息子・純悟が真横を向き遠くを見つめるショットが大きく映し出される。日本語タイトルの他に英題「Angry Son」が大きくと入っており、さらに、「世界で一番嫌いな人 世界で一番愛する人」とコピーが添えられ、思春期という多感な時期にいろいろな問題がない交ぜになった環境の中、素直になれない息子の複雑で煮えくり返った怒りを感じられるポスターとなっている。

『世界は僕らに気づかない』2023113日より全国公開。