オープニング興収1億4700万ドル!『ワイルド・スピード』人気の秘密とシリーズのテコ入れ法

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『ワイルド・スピード SKY MISSION』
(C) 2014 Universal Pictures

4月3日から全米で公開されたシリーズ7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』が大ヒットスタートを切った。オープニング興収は1億4700万ドルで、前作の9700万ドルを大きく上回っている。通常、シリーズ映画は回を重ねるごとに観客に飽きられるが、逆に興収を伸ばす稀有な作品だ(表参照)。

ポール・ウォーカー インタビュー

『ワイルド・スピード』の米国と日本の興収
1作目(01年)1億4500万ドル/4.5億円
2作目(03年)1億2700万ドル/7億円
3作目(06年)6300万ドル/9.7億円
4作目(09年)1億5500万ドル/9.4億円
5作目(11年)2億1000万ドル/14.4億円
6作目(13年)2億3900万ドル/20.2億円

人気の秘密は斬新なアクションシーンの数々だ。例えば最新作ではタイトルの『SKY MISSION』さながらに、空中を舞うカーアクションが大きな見どころだ。大型輸送機で運ばれていたスーパーカーの数々が空中からダイブしたり、高層ビルから高層ビルへ飛び移る。悪役ジェイソン・ステイサムは得意の身体能力を生かしてFBI捜査官ドウェイン・ジョンソンと肉弾戦を繰り広げたり、ド派手な銃撃戦があったりと、アクションのバリエーションが豊富だ。

登場人物の友情物語も人気の秘密だ。1作目『ワイルド・スピード』では、潜入捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)が改造スポーツカーによる事件を追って、すご腕ドライバーのドミニク(ヴィン・ディーゼル)と出会い、ストリートレースを通じて育んだ男の友情が好評だった。だが、2作目『ワイルド・スピードX2』はポール・ウォーカーの単独主演作となりヴィン・ディーゼルが出演せず、3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』にいたっては2人から主役が代わってしまい、人気が尻すぼみでシリーズ存続が危ぶまれた。

4作目『ワイルド・スピード MAX』では2人が再び出演。麻薬組織を追っていたFBI捜査官ブライアンと麻薬組織への復讐を誓うドミニクが、組織のボスが仕切るストリートレースで再会。共通の敵を相手に2人がタッグを組むストーリーが好評で、人気が復活した。

5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』には新キャラのFBI捜査官役でアクションスターのザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)が出演。好評だったため、6作目にも再登板となった。7作目ではザ・ロックが三度登場する他、前作で復活したミシェル・ロドリゲスも登場する。悪役にジェイソン・ステイサムを起用したり、往年のアクションスターのカート・ラッセルや、『マッハ!』で注目を集めたトニー・ジャーがシリーズに初参戦するなど、常に新鮮なキャストを投入して人気を維持している。

主演のポール・ウォーカーが昨年事故で亡くなり、今作が見納め。だが、ユニバーサル・ピクチャーズのドナ・ラングリー会長は「ポールは今も、そしてこれからもこの作品の重要な一部です。ただ、ほかにもすばらしいキャラクターはたくさんいますし、新しくキャラクターを加えることもできるでしょう。今後少なくとも3本は製作する予定です」とコメントしている。(文:相良智弘/フリーライター)

『ワイルド・スピード SKY MISSION』は4月17日より全国公開される。

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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