【今日は何の日】いじめられっ子VSダメンズイケメン!? 「クラシックの日」に見たい天才の伝記映画

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『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
(C) 2013 Summerstorm Entertainment / Dor Film / Construction Film / Bayerischer Rundfunk / Arte. All rights reserved
『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
『ワン チャンス』

「ク(9)ラシ(4)ック」の語呂合わせから、9月4日はクラシックの日だそうである。多くの人にクラシック音楽を楽しんでもらおうと制定された記念日とのこと。そこで今回は、生まれた時代もキャラクターも全く異なる、2人のクラシックの天才にスポットを当てた映画をご紹介しよう。

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元いじめられっ子がオペラ歌手に! 奇跡の実話を映画化

最初にご紹介するのは『ワン チャンス』である。ご存知の方も多いかもしれないが、イギリスの素人オーディション番組で予想外の美声を披露して話題となった、ポール・ポッツがモデルの実話に基づく作品だ。同じく、外見からは想像もできないような美声を披露して一躍スターダムに昇りつめた果報者にスーザン・ボイルがいる。だがポールは、彼女より2年ほど早く栄光への切符をつかみ取っている。

『ワン チャンス』

『ワン チャンス』 (C)2013 ONE CHANCE, LLC. All Rights Reserved.

ずんぐりした体形でどことなく気の弱そうなポールは、子どものころからずっといじめられっ子だった。歌うことが大好きで地元の聖歌隊に入って美声を披露していたが、それがいじめ回避の役に立つこともなく、気づけば携帯電話販売店の冴えないセールスマンになっていた。世の中には本当にツイてない気の毒な人というのがいるものである。子どもの頃からのいじめっ子とは地元にいるがゆえ何かと縁が切れず、盲腸になったり交通事故で骨折したりと健康面でもトラブルに見舞われて生活は困窮するばかり。ただ、オペラへの情熱だけは尽きることがなかった。そしてついに、これでダメならオペラ歌手への道はすっぱり諦める、という「人生最後のワンチャン覚悟」で、例のオーディション番組へのエントリーを決意する。たとえラストの展開がわかっていてもそのシンデレラボーイストーリーに胸が熱くなるのは、やはりこれが実話に基づく物語だからだろう。

悪魔呼ばわりされた稀代のヴァイオリニストの素顔や如何に?

次にご紹介する作品の舞台は、一気に現代から19世紀に遡る。主人公もいじめられっ子とは極めて対照的で、情事や賭博に明け暮れるダメンズ系イケメンだ。『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』は稀代の天才ヴァイオリニスト・パガニーニの伝記映画であるが、パガニーニ本人がイケメンというより、この作品でパガニーニを演じたモデルでヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットがイケメンなのである。当のパガニーニは痩せて色黒で目つきが悪い悪魔的容貌だったようで、映画を見てから肖像画を見るとちょっとガッカリするのでご注意を! 時代を先取りする超絶技巧により悪魔の異名を取ったヴァイオリニストであるが、その二つ名には彼の外見も一役買っていたらしい。

実在の人物をモデルにした作品なのだが、映画を見ただけでは「演奏技術は超人的だけれど女癖が悪くて賭け事に目がなくて自己管理ができないかなりダメな人」ということしかわからない。パガニーニがどんな人物だったのかを知りたければ、後追いでインターネットリサーチのお世話になる必要がありそうだ。それはさておき、死後も教会から教会墓地への埋葬を拒否されたほど悪魔がかって狂気じみた演奏は、一聴の価値ありである。そして何より映画の中のパガニーニはイケメンなので、目の保養効果は抜群だ。(T)