インタビューで語る「大惨事が防ぐことが私の願い」

チェルノブイリ(チョルノービリ)原子力発電所で起きた爆発事故。全世界を未曾有の危機から救うため命を懸けた消防士の物語『チェルノブイリ1986』。5月6日より公開されると、初日から幅広い客層が来場し、SNSでは「ここまでひどい事故だと映画を見て初めて知った」「このような事後が本当にあったんだと恐怖を感じた」など、その当時をあまり知らなかった若い世代からの反響も多く広がる中、「このような時期なので見るか迷ったけど、今だからこそいろいろな感情が渦巻いた」など今の情勢を踏まえて考えさせられるといった感想も上がっている。

そしてこの度、主人公アレクセイを演じたダニーラ・コズロフスキー監督からインタビューが到着した。

1986年4月26日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国プリピャチのチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故。この未曾有の大惨事は、のちに超大国のソ連が崩壊した一因になったとも言われ、数多くのドキュメンタリーが作られた。

そしてこの度、他とは全く違った視点で描いた映画『チェルノブイリ1986』を完成させた。人々の日常生活や生命をどれほど脅かし、彼らの人生に壊滅的な影響を与えたのか。事故発生当時、現地で撮影した経験を持つプロデューサーが、爆発直後に現場に急行した消防士たちの苦闘や避難民たちの混乱ぶりなど、一般市民の視点からリアルに映し出した、映画だからこそ描けたヒューマン・スペクタクル巨編がついに日本で公開された。

監督は「このテーマは魅力的かつ非常にインパクトがあり重要なため、私は絶対にこの映画を作らねばならないと感じました」と話し、自国の過ちを描く映画に関わるとは思っていなかったからこそ「非常にデリケートなアプローチが求められます。誰かを傷つけないこと、偏った見方をされないこと、事実と虚構の適切なバランスを保ちながら、誠実さとクリエイティブなアプローチでは妥協しないようにすることだった。」と話す。

「絶対にこの映画を作らねばならないと感じた」

監督と主演を演じるという大役についてコズロフスキーは「自分のプロとしてのスキルや役柄のレパートリーを増やしたいと思い、この作品に出演することを決めました。役者として雇われた自分の役割だけでなく、物語全体を最初から作り上げていくことに、私は常々面白さを感じていました」と自然な欲求だったと語る。

日本のファンへ向けては、「この作品を作るにあたり、私たちはできるだけ正直になるように心がけ、事件の責任が誰にあるのかという問題にはこだわらないようにしました。将来、このような人生を変える大惨事が防げるようになることが私の願いです。皆さんと同じように強く願っています」とメッセージを送っている。

本国での上映会で、映画を見た観客が席から立ち上がり拍手を送ってくれたことが嬉しかったと、コズロフスキー監督は語っている。

『チェルノブイリ1986』は現在、全国で公開中だ。

INTERVIEW