【今日は何の日】水俣病やベトナム戦争の「あの1枚」、世界報道自由デーに見たい報道写真家を描いた映画

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MINAMATA
『MINAMATA―ミナマタ―』
(C) Larry Horricks
MINAMATA
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今日、5月3日は世界報道自由デー。報道の自由という基本的人権を称賛し、世界中の報道の自由を評価し、職務中に命を落としたジャーナリストたちの業績を称えるための日として制定された記念日だ。

報道写真というと、餓死寸前の少女をハゲワシが狙っている「ハゲワシと少女」などが有名だ。著名な報道写真たちはどれも、衝撃的なだけでなく、一目でその「背景」を想像させる力を持っている。今回は、そんな報道写真たちがどのようにして撮られたのかを知れる、報道写真家たちにスポットを当てた映画2本をご紹介しよう。

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水俣病を撮ったユージン・スミスを描く『MINAMATA―ミナマタ―』

熊本県のチッソ水俣工場による工業排水を原因とする“四大公害病”の一つ「水俣病」を世界的に知らしめた、写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスによる写真集「MINAMATA」。本作では、報道写真家であるユージンがアイリーンと共に水俣を訪れ、1971年から3年間現地で暮らし、人々の日常や抗議運動を写真に収めていく様子が描かれている。

ジョニー・デップが製作・主演を務め話題になった本作。ユージン・スミスそっくりなルックスには、思わずジョニーであることを忘れさせるほど。「長年彼に憧れを抱いていた」と語るジョニーが、かなり役作りに力を入れたであろう素晴らしい演技を見せている。

MINAMATAーミナマター

『MINAMATA―ミナマタ―』(C) Larry Horricks

本作には、ユージン・スミスの代表作である「入浴する智子と母」が登場する。胎児性患者である智子さんを抱く母の慈愛に満ちた姿から「水俣のピエタ」と呼ばれている写真だ。LIFE誌に掲載されるや否や世界中に衝撃を与えたこの写真がいかにして撮られたのかも、本作の中で描かれる。絵画のような美しさが見事に表現されている印象的なシーンに、ぜひ注目して見てほしい。

戦場カメラマン、一ノ瀬泰造の半生『地雷を踏んだらサヨウナラ』

本作は、70年代初頭のインドシナ半島の動乱期を背景に、実在の日本人フォト・ジャーナリスト、一ノ瀬泰造の生き様を描いた青春ドラマ。民族解放軍クメール・ルージュと政府軍との闘争が激化するカンボジアの首都プノンペンで、解放軍の聖地であるアンコールワットに魅せられた一ノ瀬は遺跡を目指しジャングルの中へ入っていく…。

本作で一ノ瀬泰造を演じているのは浅野忠信。1999年の映画なので当たり前なのだが、浅野が非常に若くて驚く。当時26歳で、一ノ瀬の享年とたまたま同じだったようだ。子どもや現地の住民たちから好かれる一ノ瀬の天真爛漫なキャラクターに、浅野の雰囲気がぴったり合っている。

『地雷を踏んだらサヨウナラ』DVD

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一歩戦場に足を踏み出せば、死と隣り合わせの世界。そんな戦場カメラマンとしての一ノ瀬の姿を描く一方で、本作は「日常」にもしっかりとフォーカスを当て描いている。カンボジアやベトナムに生きる人々の当たり前の暮らしを見ていると、ホッとする一方、いつまたこの幸せが壊れるかわからない状況にやるせない気持ちになる。

5月は平和に共存する国際デー(16日)、国連平和維持要員の国際デー(29日)と、戦争や平和に関連する記念日が多い月。『地雷を踏んだらサヨウナラ』などの映画を見て、改めて平和について考えてみてはいかがだろうか。(Y)