2月25日から全国で公開『GAGARINE/ガガーリン』 (C)2020 Haut et Court – France 3 CINÉMA

  2・25公開『GAGARINE/ガガーリン』“ネクスト!フローレンス・ピュー”と評されるエモーショナルな演技

圧倒的な映像美と世界観で世界中のメディアから絶賛されたフランス・パリ郊外を舞台にしたエモーショナルな青春映画『GAGARINE/ガガーリン』が、2月25日から全国で公開される。

同作は、第73回カンヌ国際映画祭の「オフィシャルセレクション」初監督作部門に選出、先ごろ発表された第47回セザール賞「新人作品賞」にノミネートされたことに加え、デビュー作にも関わらず第93回アカデミー賞国際長編映画賞フランス代表の最終選考まで突破した。

この度、“ネクスト フローレンス・ピュー”と話題となり、主演作『パピチャ 未来へのランウェイ』(19年)がアカデミー賞外国語映画賞にノミネート、その後も『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(21年)などの話題作にティモシー・シャラと共演、3月には世界最高の一流メゾン、ディオールを舞台に2人の女性の生き様を描いた人間ドラマ『オートクチュール』の公開を控えるなど、日本でも一気に人気がアップ、ブレイク直前のリナ・クードリの表情を捉えたシーン写真7点が公開された。

舞台はフランス・パリ郊外に実在、「地球は青かった」の言葉で有名な宇宙飛行士ガガーリンに由来する名前を持つ、赤レンガの大規模公営住宅“ガガーリン”。

16才のユーリ(アルセニ・バティリ)は、この団地の名前に導かれるかのように宇宙飛行士を夢見、部屋の天体望遠鏡から空を観察、そして、かつて自分を置いていった母の帰りを信じて待ち続けていた。

そんな中、2024年パリ五輪開催のため老朽化したガガーリン団地の解体計画が持ち上がる。

老朽化も進む団地では、次々と住人の退去が進むが、ユーリは帰らぬ母との大切な思い出が詰まったこの場所を守るため、友だちのフサーム(ジャミル・マクレイヴン)とディアナ(リナ・クードリ)と一緒に取り壊しを阻止しようと動き出す……。

無人の住宅を宇宙船に改造して守る!? 

自由で明るいディアナに恋心を抱き、彼女や親友フサームとのふれ合いの中で、不器用ながらも少しずつ成長していくユーリ。消えゆく世界に留まりたい、団地から抜け出して夢を追いかけたい気持ちとの間で揺れるユーリは、団地解体の刻が迫るなか、空っぽになった無人の住宅を大好きな宇宙船に改造して守ることを決意する。

しかし間もなく取り壊されるガガーリン団地と呼応するかのように、彼自身も自分の“世界”の喪失と再生に、葛藤する。募るユーリの思いはどこへ向かうのか……。

監督は、同作が長編デビューとなるファニー・リアタール&ジェレミー・トルイユの男女2人組。

団地が建設された1960年代当時の時代背景やそのインパクトのある外観、ロシアの宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンから名づけられていることに興味を持ったことが本作品を制作するに至った経緯だと語る。

「ガガーリン団地は貧しい人々が住む極地的なエリアだ。メディアはこの地域の治安の悪さばかりを取り上げる。フランスでは、本作品のような映画を『Film du banilieue(郊外の映画)』と呼び、描かれているもの全てについて、ある種の新しいジャンルであるかのように言う。しかし、それは違うと思っている。そこには様々な語られるべきストーリーがある。たまたま貧しい古い建物が立ち並ぶエリアに住んでいるだけなのだ」

加えて、「団地に住む子どもたちの中には、外界と交流をしたがらない子もいるが、主人公のユーリにとって、団地は宇宙船で、宇宙船から外に出れば自由になれる、息が出来ると思っている、ただ団地は彼の母のお腹の中と同じ。なかなか外に出る勇気が持てない。(団地を)そういう存在として描いた」と言い、特定の地域に住む子どもたちについてステレオタイプな描かれ方について疑問を抱いた彼らは、解体前のガガーリン団地で実際に撮影を行い、ノスタルジックで幻想的な映像美の中に、繊細な若者の心の機微を見事に映し出すことに成功した。

主演のアルセニ・バティリは、スクリーンデビューとは思えない程の高い演技力で主人公の揺れる心情を体現し、第17回セビリヤ・ヨーロッパ映画祭ほか各国の映画祭にて主演男優賞を受賞した。

公開されたシーン写真では、解体されるガガーリン団地を“生存”させるべく、さまざまな抵抗を試みるユーリとディアナの幻想的でエモーショナル日々を、いつもまっすぐに見据えた彼女の視線とともに、表情を捉えたものとなっている。

『GAGARINE/ガガーリン』は2月25日から、全国で公開される。

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