ハリウッドからは黙殺スルーのゴールデングローブ賞 人種差別や接待三昧の古い体質が招いた末路

#ゴールデングローブ賞#ドライブ・マイ・カー#ミカエラ・ジェイ・ロドリゲス#レイチェル・ゼグラー

ゴールデングローブ賞
ゴールデングローブ賞の公式Twitterより

受賞発表のツイートでは、ユーモア上滑りで失笑買う

毎年、アカデミー賞の結果を占う前哨戦の1つとして注目されるゴールデン・グローブ賞。先日発表になった第79回では濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』の非英語映画賞受賞が日本でニュースになったが、今年は授賞式の中継は一切なく、候補作に関わるセレブたちの出席もなく、ひっそりと開催された。

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その理由は、現在世界中で猛威をふるうオミクロン株による感染拡大ではない。

ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)は、パンデミック対策として、無観客でレッドカーペットなしの開催を発表したが、それ以前に同団体が抱えている問題が背景にあるとみられている。

昨年2月、HFPAではメンバーの人種の偏り(投票権を持つ黒人が1人も所属していなかった)や接待三昧の実態などがロサンゼルス・タイムズの報道によって明らかになり、その結果、ハリウッド業界はHFPAと距離を置くようになっている。

昨年の報道を受けて、HFPAは改革に着手すると宣言したが、長年にわたって授賞式を中継してきた米TV局のNBCは今回の授賞式は放映しないことを早い段階で決定した。

今年の授賞式はプライベートな形式で開催され、授賞についてはTwitterのアカウントで随時発表していく異例のスタイルとなり、受賞者によるスピーチも当然無し。賞が発表された後のセレブの反応も薄かった。

TVの部(ドラマ)で『POSE/ポーズ』のミカエラ・ジェイ・ロドリゲスがトランス女性として初の最優秀主演女優賞を受賞した際に、インスタグラムで「世界中にあるたくさんの色とりどりで美しい虹に」捧げると喜びを表明したほか、映画カテゴリーのミュージカル・コメディ部門の主演女優賞に輝いたレイチェル・ゼグラー(『ウエスト・サイド・ストーリー』)もTwitterで反応。「2019年1月9日に『ウエスト・サイド・ストーリー』のマリア役にキャスティングされて、2022年1月9日に同じ役でゴールデン・グローブを受賞しました。人生はとても不思議なものです」とツイートした。

ゴールデン・グローブ賞のツイッター公式アカウントは、各賞の紹介に気の利いた一言を添えようとしたが、そのユーモアは滑り気味で失笑を買ったり、気取りすぎてわかりにくいといった声がSNSに上がった。

慣れないスタイルで、誤表記かと思われるハプニングがあり、『ウエスト・サイド・ストーリー』の作品紹介の際には「もしも笑いが、あなたを苦しめるものへの最良の薬だとしたら、『ウエスト・サイド・ストーリー』が治療法です」という一文が添えられたが、このツイートは削除され、その後に「笑い」を「音楽」に書き換えて再投稿された。

映画の部ではドラマ部門の主演男優賞をウィル・スミス(『ドリームプラン』)、主演女優賞をニコール・キッドマン(『愛すべき夫妻の秘密』)、ミュージカル/コメディ部門では主演男優賞をアンドリュー・ガーフィールド(『Tick, tick… BOOM!:チク、チク…ブーン!』)、主演女優賞を先述のゼグラー(『ウエスト・サイド・ストーリー』)、助演女優賞をアリアナ・デボース(『ウエスト・サイド・ストーリー』)が受賞し、例年のように華やかな顔ぶれが受賞者リストに名を連ねたが、特に業界内での黙殺モードには寂しい印象は否めない。

ベネディクト・カンバーバッチ主演のNetflix作品『パワー・オブ・ザ・ドッグ』がドラマ部門の作品賞、監督賞(ジェーン・カンピオン)、助演男優賞(コディ・スミット=マクフィー)に輝き、最多受賞作となった。

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