91歳にしての新作! ジョージア映画界を代表する女性監督が描く過去との和解の物語

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(C)3003 film production, 2019

激動の時代と人々の過去、そして古都トビリシへの愛情

ジョージア映画界を代表する女性監督ラナ・ゴゴベリゼ監督の『金の糸』が、来年22年2月26日より全国順次公開となる。今回、予告編と場面写真が公開された。

・ラナ・ゴゴベリゼ監督の『金の糸』その他の場面写真はこちら

サンレモ国際映画祭グランプリ『インタビュアー』(78年)、東京国際映画祭最優秀監督賞『転回』(87年)などが高く評価され、テンギズ・アブラゼ監督、オタール・イオセリアーニ監督、ギオルギ・シェンゲラヤ監督たちとともにソヴィエト時代からジョージア映画の発展を担ってきた伝説的な女性監督ラナ・ゴゴベリゼ。その27年ぶり、91歳にしての新作が『金の糸』だ。

本作品で描かれるテーマは、過去との和解。舞台は、ジョージアの古都トビリシの旧市街の片隅だ。

79歳を迎えた作家エレネのもとへ、娘の姑でソヴィエト時代に政府の高官だったミランダが引っ越してくる。そこへ突然、60年前の恋人アルチルから電話がかかってきて……。ジョージアの激動の時代を生きた3人の過去が明らかになっていくというストーリーだ。

題名の『金の糸』には、日本の「金継ぎ」から着想を得て、「未来を見るために過去を金で修復する」という意味がこめられた。主役のエレネは、『ロビンソナーダ』(87年)で知られるジョージア映画界の重鎮ナナ・ジョルジャゼ監督が演じている。

今回公開された予告編は、主人公の女性作家エレネがキーボードを叩くシーンから始まり、風に揺れる花瓶の花、エレネの母親が監獄で作ったという人形、中庭のあるトビリシの伝統的集合住宅などが挿入される。

そしてエレネとミランダの激しい衝突はソヴィエト時代に何があったのかを想像させ、「金継ぎ」を元にしたアートに重ねられた「過去に囚われても過去を壊してもいけない金で継ぎ合わせるの」という言葉から、本作品のテーマが浮かび上がる。

・公開された予告編はこちら

繰り返し流れる美しい音楽は、19年に惜しまれつつ亡くなった国際的なジョージア人作曲家ギヤ・カンチェリによるもの。自身の母もスターリンの大粛清で流刑された経験を持つゴゴベリゼ監督が自分の経験を投影しながら描いた本作品は、映画の王国ジョージアを代表する女性監督にふさわしい新作だ。

『金の糸』は来年22年2月26日より全国で順次公開される。