丸山健志の若者賛歌『スパゲティコード・ラブ』

映像クリエイター丸山健志が手掛けた初めての長編映画『スパゲティコード・ラブ』が11月26日より全国で公開される。公開を前に、各界の著名人が応援コメントを寄せた。

・東京の夜で悩み、もがく、等身大の若者13人…簡単に死ぬことなんてできないってわかってる

映画評論家のくれい響は本作品を、「東京を舞台にした『恋する惑星』」と分析し、「もはや日本映画界は、丸山健志監督から目が離せないだろう」と評価した。

映画評論家の森直人も、「かつてウォン・カーウァイが『恋する惑星』や『天使の涙』で描いた香港を培養したような「東京」のきらめきと哀感、人間関係の交通網」と共感した。

映画監督/MV ディレクターの高橋栄樹は、「都市生活者たちの、一見バラバラに思えた人間関係が結ばれてゆく時に、今の時代の希望がほのかに見える。この映画が驚くほどオリジナリティに溢れるのは、その希望の映し出し方にあるのであって、それは丸山健志監督にしか描けない、街の息遣いであり、映画として絶対的に正しい」と映画人として賞賛した。

映画ライターのSYOは、「あの日、雑踏の片隅で、会社のトイレで、夜中のアパートで呟いた本音。なぜこの映画は、知っているのだろう。 そうか、君もだったのか。何者かになろうと足掻く僕らを見守り、孤立から救う一本」と若者の共感を得られる作品であることを指摘する。

ライター・編集者の今祥枝も、「13人の若者たちのそれぞれの葛藤に、人生はそんなに甘くないよと年長者視点で見ていたら、思いがけず”優しさ”に触れた気がしてはっとした」と吐露。世知辛い今の世の中で必要なのは、「監督&脚本家の若者に向ける眼差し」だと希望的に語った。

女優の中谷美紀は、「キラキラと美しい映像が映し出すのは、登場人物たちの声にならない心の叫び。ヒリヒリと胸を焦がすような痛みすら眩しく見えるのは、若さゆえの生きづらさも、ナイーブネスも通過儀礼であり、特権でもあるからなのだと、この作品に気付かされました」とコメントした。

悩み、もがくの若者たちを等身大で生々しく綴る

本作品は、誰かと繋がりたくて、夢を諦められなくて、この街のどこかに居場所を探している東京の街でもがく若者たちの苦悩や葛藤を13人の登場人物を通じてリアルかつ優しい視点で描く。

フードデリバリー配達員の羽田天(倉悠貴)は、大好きなアイドルへの思いに区切りをつけるため、1000回配達を目指し走っている。シンガーソングライターの夢を諦めた桜庭心(三浦透子)は苦手な友だちとダラダラ過ごしている。大森慎吾(清水尋也)は定住しないノマド生活で、Facebookの友だちが5000人を超える。広告クリエイターの黒須凛(八木莉可子)は天才と称されるプレッシャーと周囲との距離に苦しんでいる。コミュ力だけで渡ってきたカメラマンの日室翼(古畑新之)は、越えられない壁を自覚している。高校生の赤羽圭(青木柚)と彼が片思いをしている千葉桜(xiangyu)は噛み合わない会話を続けている。モデルの綾瀬夏美(香川沙耶)は、仕事よりパパ活の方が忙しくなってきた。不登校の高校生・小川花(上大迫祐希)はインスタで嘘のリア充投稿に明け暮れている。中学生の宍戸一樹(三谷麟太郎)は毎日コンビニのイートインで時間をつぶしている。失恋のショックで引 きこもりになった渋谷桃子(佐藤睦)は、復縁を願い電話占いにハマっている。桃子の隣人で同じく引きこもりの目黒梅子(ゆりやんレトリィバァ)は、隣から聞こえる桃子の独り言を聞いている。カフェで働く剣持雫(土村芳)は、恋人に尽くすことだけが生き甲斐だ。

こうした恋人同士、元カレ・元カノ、すれ違った他人……彼らの行動が複雑に連鎖し、思いもよらぬエンディングに向かっていく。

「映画を見る人に、日常を肯定して欲しいと思っています」と語る丸山監督は、「この映画には悩み、もがきながら苦しんでいる若者たちがたくさん出てきます。そんな彼らを見て、悩みを抱え苦しみながら生活することは誰でもそうだし、何にも間違っていないと感じて欲しいです」と、本作品に込めた思いを明かす。

『スパゲティコード・ラブ』は、11月26日より公開される。

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