片山慎三監督「意外性が出て怖さが強調されるはず」佐藤二朗起用の理由明かす

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片山慎三監督
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10月11日、佐藤二朗主演のスリラー映画『さがす』が、第26回釜山国際映画祭ニューカレンツ(コンペティション)部門でワールドプレミア上映された。日本からは片山慎三監督がリモートで参加し、映画を見終えたばかりの現地一般客とのQ&Aセッションを実施。片山監督と『新感染ファイナル・エクスプレス』(16年)のヨン・サンホ監督による日韓監督対談も実現した。

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片山慎三監督、佐藤二朗のパブリックイメージ覆す

本作のストーリーの出発点を聞かれた片山監督は「電車の中で手配中の殺人犯を見た、という話を自分の父親が家族にしたことがありました。そのときは誰も信じなかったけれど、数年後に逃亡犯が捕まった際に足取りを調べたら、父が見たという人物こそ、その犯人でした」と自身の実体験がアイデアの種であったことを告白。

本作では、佐藤がユーモラスなパブリック・イメージを封印し、不穏な言葉を残して娘の前から姿を消した父・原田智役を演じた。そんな佐藤二朗を父親役に起用した理由については、あてがきで脚本を執筆したことを明かし「ユーモラスなイメージのある佐藤さんが二面性のあるお父さんを演じたら怖いのではないか、と思った。佐藤さんが普段やっていないようなキャラクターだからこそ、意外性が出て怖さが強調されるはず」と狙いを明かした。また、完成版を見た佐藤の反応について「ディテールが面白くて、表情からも満足している様子がうかがい知れました」と笑みをこぼした。

ヨン・サンホ監督、片山作品に惚れ込み「フェイスブックに友達申請した」

WOWOWドラマ『さまよう刃』で初めて片山作品に触れたというヨン監督は、一瞬でその才能に惚れ込み、片山監督のフェイスブックに友達申請したという。本作も鑑賞したヨン監督は「ファーストカットから引き込まれ、最初のシーンやカットを見ただけで片山監督のビジョンが感じられる。俳優の演技も素晴らしく、カメラワークや演出など、片山監督のビジョンが映画全体を覆っている。それを実現するためにどんな秘訣があるのかぜひとも知りたい」と興味津々。

さらにヨン監督は「今日の対談も私からぜひ! とお願いしたから実現したものです。私は様々なスリラー映画を観てきましたが、『さがす』は私が大好きなスリラー映画の1つになる。映画史には伝説的スリラー映画があるけれど、この『さがす』も伝説的作品の1つとして名前を挙げることになると思います。僕はもはや『さがす』マニア。ソフト化されたら早く買いたいです」と絶賛だった。

片山監督とヨン監督は同世代。日本映画界に期待することとして片山監督は「日本映画は画やストーリー、内容の力で面白い作品を作り、ヒットさせる意識が必要だと感じます。ヨン監督の作品のように誰が見ても共感し、楽しめて感情移入できるような作家性と商業性を両立させた作品が増えてほしい」と熱弁。ヨン監督も「片山監督のような創作者に果敢な投資を行い、予算をつけていけば必ずすばらしい作品ができるはず。お互いに切磋琢磨しながら、何か一緒にできるような環境を作っていければ嬉しい」とエールを送り、片山監督は「一緒に何かできたら嬉しい!」とコラボレーションに意欲的だった。

『さがす』は2022年より全国公開。

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