たった一言が命取りに…ジョニー・デップが“キャンセル・カルチャー”の問題点訴える

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『MINAMATA–ミナマタ−』公開中
(C)Larry Horricks
『MINAMATA–ミナマタ−』公開中
(C)Larry Horricks

誰も安全ではいられない。ハリウッドの過度な商業化に警告

現在、製作も務めた主演作『MINAMATAーミナマター』が日本で公開中のジョニー・デップが、キャンセル・カルチャーについてコメントした。

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キャンセル・カルチャーとは、問題行動を起こしたり、その疑いのある人物が社会的に追放されることを指す。SNS上での不適切な発言、他者へのハラスメントなど何年も遡った過去の行いが明るみに出て“キャンセルされる”セレブは後を絶たない。

デップは22日(現地時間)、スペインのサン・セバスチャン国際映画祭で生涯功労賞を受賞したが、その際に「誰も『キャンセル・カルチャー』から逃れられない」と語った。

「これは複雑な状況です」とデップは言い、キャンセル・カルチャーを「吐き出された汚染された空気に基づいて判断を急ぐこと」と例えて、「誰かが何か一言でも言おうとする限り、誰も安全ではない。たった一言」が命取りになると語った。

デップは元妻アンバー・ハードへのDV疑惑が報じられて以来、イギリスの大衆紙を名誉毀損で訴えるも敗訴となり、『ファンタスティック・ビースト』シリーズを降板、『MINAMATAーミナマター』のアメリカ公開の予定が立たず、8月に受けたインタビューで「ハリウッドからボイコットされている」と訴えていた。

キャンセル・カルチャーというムーブメントが「手に負えなくなっているので、誰も安全ではないと言い切れます。あなた方の誰1人も。そのドアの外にいる誰もが。誰かが一言でも言おうとする限り、誰も安全ではないのです」。

「これは私だけでなく、多くの人に起こっていることです。このような出来事が女性にも男性にも起きました。悲しいことに、ある時点で彼らはそれが普通だと思い始めるのです。あるいは、それが自分のことだと思ってしまう。そうではないのに」と述べた。

「他の人たちがいつ、何を考えているのかはわかりません。でも、私は誰も安全ではないと思っています。ただ、真実というもので武装する、それだけが必要なすべてです。判断に多少の芸術性があっても関係ありません」

デップに生涯功労賞が贈られることが発表された際、DV疑惑に端を発した騒動によって、授賞について一部から抗議の声が上がっていた。デップは映画祭に出席することで、「人々の気分を害することになるのではと心配だった」と語り、映画祭ディレクターとサン・セバスチャンの市長の「変わらない支援」を讃えたうえで、「私は何もしていません。映画を作ってきただけです」と語った。

デップはハリウッドが商業的になりすぎた、という私見も述べた。「映画作りに関わる者として、私から見ると、スタジオはどれだけ多くのフォーミュラが必要なのでしょうか? 観客として、どれだけ見下されれば気が済むのでしょうか?『OK、みなさん、これから20分ごとにストーリーの全体像をお見せします』というような。ハリウッドはグロテスクなほど、観客を過小評価していると思います」と主張した。