17歳で妊娠した少女が手術前に…「避妊具を拒否された?」「脅された?」普遍的問題あぶり出す質問

#17歳の瞳に映る世界#シドニー・フラニガン#ネオリアリズム賞

「家の中で起こっている秘密は、20分では解決できない」

2020ネオリアリズム賞受賞をはじめ、世界中の映画賞を賑わせる珠玉の物語『17歳の瞳に映る世界』が、716日より公開中。Web上では、「静かで深くて強い、最高峰のシスターフッド」「繊細な演出が光る作品」「女性たちの優しさを信じてみたくなる」など、賞賛の声が続々と上がっている。この度、原題になった印象的なシーンが解禁された。

・予期せぬ妊娠が発覚! その時、17歳の少女たちの選択は……

17歳の少女たちが向き合う世界を鮮やかに活写した物語。ペンシルベニア州に住むオータムは、愛想がなく、友達も少ない17歳の高校生。ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている、いとこで唯一の親友スカイラーは、オータムの異変に気づき、ふたりで事態を解決するため、ニューヨークへ向かう……。少女ふたりの旅路は、どの国にも通じる思春期の感情と普遍的な問題をあぶり出す。17歳の少女の瞳を通して浮かび上がるこの世界をみずみずしく活写した新たな傑作が誕生した。

主役のオータムを演じたシドニー・フラニガンは、本作が長編映画デビューでありながら、等身大の演技が絶賛され、第86回ニューヨーク映画批評家協会主演女優賞、第41回ボストン映画批評家協会主演女優賞など、数々の俳優賞を獲得している。監督のエリザ・ヒットマンは、性的アイデンティティに悩む青年を描いた第二作『ブルックリンの片隅で』で、2017年サンダンス映画祭監督賞を受賞し、一躍注目を集めた新進気鋭の女性監督。また、『ムーンライト』の監督・脚本のバリー・ジェンキンスをはじめ強力なプロデューサーが製作に名を連ねている。

解禁されたシーンは、実在の施設で撮影された、主人公のオータムが中絶手術を受ける前に診察室でカウンセラーから質問されるシーン。「相手との関係もきかせて。とても大事なことなの」と問診を受け、「立ち入った質問をするわよ」との前置きのあと「答えは4択。一度もない、めったにない、時々、いつも。テストじゃないから。」と優しく語りかけるカウンセラーに、終始表情が硬いオータムも「オッケー」とやっと口を開く。「この1年間で相手がコンドーム装着を拒否した?」「相手が避妊の邪魔をして妊娠させようとした?」「相手に脅された?」「相手に殴られたり、暴力をふるわれた?」「一度もない、めったにない、時々、いつも」から一つ選び、慎重に答えていくオータム。答えづらい質問が続くこのシーンは、緊張感のある撮影となることが予想されたが16ミリによる長回しで撮影された。そこで監督は、少しでもオータム役のシドニーの負担を減らすため、静かで落ち着ける部屋と時間を用意し、後半のシーンに集中できるよう、質問には自身の家族のことを答えるよう伝えたという。キャストへ徹底的な配慮が行われ撮影されたこのシーンは、原題にもなったシーンでもある。

また、実際にセンターで働く女性がカウンセラーとして出演したことで、よりリアリティのあるシーンとなった。監督は、メディカル・センターに勤めるケリー・チャップマンから「エリザ、中絶は決してただの危機ではないの。家の中で起こっている秘密は、20分では解決できない。妊娠、セクシュアルヘルス、パートナーによる暴力、暴力から安全を確保する方法、すべてが絡み合っている」との話に胸を打たれ、このエピソードを物語に取り入れたと語っている。「映画が信頼できるものであってほしい」との願いから、この場面のような会話をこれまで何度もしてきているケリーを、カウンセラー役としてキャスティングしたと明かした。本作では、こういったやりとりを過度な演出一切なしで忠実に再現したことで、オータムの絞り出した回答とその隠された想いに、観客が惹きつけられるシーンとなり、「原題の意味が分かったシーンで号泣した」「この言葉の意味を絶対に忘れない」という熱い感想がSNSでは飛び交っている。少女ふたりの旅路は、どの国にも通じる思春期の感情と普遍的な問題をあぶり出し、17歳の少女の瞳を通して浮かび上がるこの世界をみずみずしく活写した。

17歳の瞳に映る世界』は、716日より公開中。

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