『白頭山大噴火』イ・ビョンホン インタビュー

白頭山の次なる大噴火を阻止せよ! 軍の特殊チームと元工作員が挑む決死のミッション

#イ・ビョンホン#白頭山大噴火#韓国#韓流

イ・ビョンホン

パニック映画であり、バディムービー。すべての感情が詰まった、ギフトセットのような映画

『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』
2021年8月27日より全国公開
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韓国で観客動員820万人超えの大ヒットを記録したディザスターアクション映画『白頭山大噴火』が8月27日より公開される。

北朝鮮と中国の国境地帯にそびえる白頭山(ペクトゥサン)で、観測史上最大の噴火が発生。遠く離れたソウルも大地震の直撃を受けて市民は大混乱に陥る。韓国大統領府が協力を仰いだ地質学者によれば、今後想定される第4次爆発は、朝鮮半島全体に壊滅的な被害をもたらす可能性が。それを阻止するには、75時間以内に白頭山の地下で人工的な大爆発を起こすという不可能に近いミッション。軍の特殊チームに任命されたチョ・インチャン大尉は、北朝鮮の工作員リ・ジュンピョンに接触し、ミッションに不可欠な核ミサイルを手に入れるため、北朝鮮に潜入するのだが……。

イ・ビョンホンハ・ジョンウマ・ドンソクという韓国のトップ俳優が共演。迫るタイムリミットの中、決死の作戦に身を投じる男たちの友情と裏切りのドラマが、大迫力の映像と共に展開する。ミッション成功のカギを握る、謎めいた北朝鮮の工作員リ・ジュンピョンを演じたイ・ビョンホンにインタビュー。

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──『白頭山大噴火』のシナリオを読んでどう思いましたか?出演を決めた理由も教えてください。

ビョンホン:本作はジャンルとしてはパニック映画だと思いますが、そのジャンルの中にも、色々な人々が人生で経験し得るすべての感情があると思いました。演じる側の立場から見た時、この映画の中には本当にユーモアもたくさんあるし、悲しみも愛も友情もあって、そして裏切りもあります。とてもたくさんの感情を演じることができて、また観客が十分にそれを楽しめる映画だと思いました。面白い映画になりそうだなと思って出演を決めました。

──リ・ジュンピョンというキャラクターを演じるために準備したこと、努力されたことはありますか?
白頭山大噴火

ビョンホン:私は今回、生まれて初めて北朝鮮の人の役を演じました。北京駐在の北朝鮮書記官で、後に南側の二重スパイという罪で北朝鮮の監獄に収監されるというところから始まります。とても愚かで、どこか人間味があるように見えるキャラクターですが、ある側面ではとても鋭くて誰よりも優れた直感を持つ、そんな人物だと思います。
劇中、初めて北朝鮮の言葉を話さなければならなかったですし、中国語のセリフもありました。最初はそのプレッシャーがありましたね。幸い、とても素晴らしい北の方言を教えてくださる先生が撮影現場で常にコーチしてくださいました。気になることがあればすぐに私から質問しましたし、またアドリブのセリフ箇所などもあった関係で常に現場に居ていただかなくてはならない状況でしたが、本当にたくさん助けて頂きました。中国語に関しても、中国の方に来ていただいてそのセリフのイントネーションや発音をチェックしてもらいました。北の言葉は基本的には韓国語と同じなので、継続して練習すればある程度はニュアンスやトーンもわかるようになって慣れてくるんですが、中国語はやってもやってもなかなか分かりませんでした(笑)。短いセリフでしたがとても大変でした。

──白頭山火山爆発をはじめ、映画の多くのシーンにCGが使われています。現場で演技をするにあたり、難しかった部分はありますか?

ビョンホン:CGが必要な場合にはブルーバックの中でとんでもないことが起こっているように演技をしなければなりません。それは他の映画でも経験してきたことなので、特にそこまで大変だとは思いませんでしたが、今回のこの映画の特殊性として、地震もあるので揺れもありますし、また追撃をするのですが車の中でハンドルをどっちに切るかによって体もその方向にふらつかなくてはならないんです。特にカメラで抜かれたら、その人と隣にいるもう一人も同じ動きをしなければならないので、そういった部分で混乱したりしました。タイミングが合わないともう一回撮り直して…ということも多かったです。

──CGによって完成された映画の中で、一番期待できるシーンはどのシーンでしょうか?

『白頭山大噴火』撮影中のイ・ビョンホン

ビョンホン:映画の後半に炭鉱でのシーンがあります。狭い洞窟のようなところを走りながら溶岩が出てきたり、いろんなものが出てきてどの道が合っているのかと混乱するシーンがあります。白頭山付近のシーンはとても期待できます。巨大な山と溶岩と地震が、映画でどう表現されるのか期待しています。

──これまでも様々な作品で、もともと台本にはない名セリフを生み出したりもされてきましたが、今回の作品では、ご自身が直接アイデアを出して生まれた演技やセリフはありますか?

ビョンホン:そうですね…この映画は(ハ・ジョンウ演じる)チョ・インチャンとリ・ジュンピョンのバディームービーとも取れると思うのですが、一人が南の文化で、もう一人は北の文化という設定です。互いにコミュニケーションが不便な部分もありますし、一つずつ学んでいく部分もあります。例えば、インチャンは略語をとてもうまく使いこなします。はじめはジュンピョンはその略語文化を全く知らないので、何のことを言っているのかまったく分からないのですが、ジュンピョンはやはりとても賢くて頭の回転が速い人間なのでそれをすぐに理解していきます。そしてそれが何を意味している言葉なのか分かるようになると、むしろ自分がインチャンよりも多く略語を使いこなし、面白い略語を自ら作り出したりするようになります(笑)。そうしたコンセプトはどうかと、監督と話して誕生したアドリブも中に混じっています。

──ハ・ジョンウさんとは初共演と聞きました。緊迫した状況の中で繰り広げられるジュンピョンとインチャンの意外な化学反応が印象的でしたが、現場ではいかがでしたか?

ビョンホン:バディームービーの特性上、二人の人物が互いに面白くてユーモラスな状況が多くなきゃいけなかったです。そうなると、もちろん台本にあるセリフも大事ですが、それ以外のアドリブも入れたりします。ジョンウさんはとても瞬発力のある人ですね。私はアドリブの時に動揺したりしないんですが、瞬間的にそのアドリブに合わせてまた違うアドリブをしてきたりします。ジョンウさんがアドリブをしてくると、私もそれが面白くなってまた違うアドリブをのせていったり、互いにとても合っていたように思います。

──(本作の共同監督である)イ・ヘジュン監督、キム・ビョンソ監督との仕事はいかがでしたか? 監督たちとは現場でどんな話をされたのでしょうか?
イ・ビョンホン

『白頭山大噴火』撮影中のイ・ビョンホン

ビョンホン:お二人が演出されると聞いて、一体現場はどんなふうになるのかとても気になっていました。誰に相談したり、誰と映画について話し、質問をしたらいいのか、二人の間に入って話をしなきゃいけないかなとか(笑)。もしくは公平に交互に質問をしなきゃいけないかなとか、とにかく色々考えました。最初はちょっとぎこちなかったんですが、三者対面が意外にも自然になってきて、むしろいつもより多く、もう一人ブレーンがいるという感じもあってよいアイデアも生まれました。その代わり、OKと声がかかる時には二度の関門を通過しなければOKになりませんので、他の映画よりもテイクは多かったように思います。

──最後に、本作が観客にとってどんな映画になってもらいたいですか?

ビョンホン:『白頭山大噴火』はパニック映画というジャンルですが、二人の男の友情と裏切り、そうした感情が描かれているある種のバディームービーのようでもあります。友情、愛、裏切り、そしてスリル、本当にたくさん色々詰まっている映画です。これだけ多くのことを一つの映画に込められるのかと思うほど、すべての感情が込められていて、まるでギフトセットのような映画だと思います。たくさん笑って泣いて、映画を見ている間は緊張とスリルが絶えません。ぜひ期待してください。

イ・ビョンホン
イ・ビョンホン
Lee Byung Hun

1970年7月12日生まれ。1990年代からテレビドラマを中心に活躍し、1996年に映画『ラン・ウェイ』で大鐘賞新人男優賞受賞、2000年に映画『JSA』で青龍映画賞人気スター賞、釜山映画評論家協会賞主演男優賞を受賞。ドラマ『美しき日々』(01年)や『オールイン 運命の愛』(03年)などで日本でも人気を博す。2009年に『G.I.ジョー』のストームシャドー役でハリウッドに進出。その後も『G.I.ジョー バック2リベンジ』(13年)、『RED リターンズ』(13年)、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(13年)などアクション作を中心に活躍。その他のおもな出演作に『インサイダーズ/内部者たち』(15年)、『MASTER/マスター』(16年)、『ブラック・ファイル 野心の代償』(16年)、『マグニフィセント・セブン』(16年)、『KCLA 南山の部長たち』(20年)など。